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番外編 1

喫茶店


「おはよォ-」


頭をボリボリ掻きながら1人が2階から降りてきた


ここは喫茶店であり何でも屋である

本業は何でも屋

喫茶店はここに勤める3人組の1人の趣味


3人組で昼過ぎの今、起きてきたのはメタル

あまり客の居ない店内で皿を洗うのは金田

喫茶店を開いた仮店長のガルス


この3人で経営している

最近は何でも屋の仕事の依頼もなく、もっぱら喫茶店で儲けている

しかし儲けも少ないのでこれを乗り切るのは、金田の節約術とガルスの料理テクニックである


「ガルス、コ-ヒ-くれ」


寝ぼけながらもコ-ヒ-を要求するメタル


「…ミルクは?」


「いいや、いらない」


「そうか…」


毎朝、くり返されるような会話


これを一気にぶち壊す金田の一言


「…依頼来てるぞ」


「マジで!?」


興奮気味のメタル


「何?ベタな猫探しとか?」


一見冷静なガルスだが口元がにやけている


「…西の盗賊団の討伐以来だな」


この国は元々4つの国だった

北、東、西、南と分かれており何十年か前に4国が和平を結び1つの国となった

今はそれぞれ4つの地域に分けられていて

北、東、西、南にそれぞれ統治者がいる


「よし!来た!!」


最も喜んだのはメタル


戦闘しか活躍できないためである


「依頼者は西の村の村長だな」


金田はつぶやく


「報酬金30万か…」


完全に頭の中で計算が始まっている


金田は一言で表すと、金の亡者

何の因果か名前に金まで入っている…


「出発じゃァァァァ!!!」


叫ぶメタル


メコッ


鈍い音がメタルの頭がい骨に響く


「コ-ヒ-飲んでけ…それと閉店は夜の7時だ」


店のカウンタ-の中に鉄パイプが何本もあり、その一本がメタルの頭にめり込んだ


「ッ…!」


「食品を無駄にするべからず、まだ客も居るんだから静かにしろ」


ガルスはこんな台詞を今まで何回言ったことか…


「ガッハッハハ!!良いよ!ガルスちゃん!賑やかな方がいい!」


常連のお客さんしか居ない店内


しかもこの店が在るのは崖っぷち

海がよく見えるように、と、金田がここに建てたのだ

しかしそのせいで場所だけでなく売り上げも崖っぷち…


「すいません…」


「良いよ!俺たちも賑やかな方がメシもうまいってモンだ!」


「いよっしゃ-!!じゃぁ、騒ごうぜェ!!」


メタルの呼びかけに対して客も呼応する

そして2本目の鉄パイプがメタルの頭に食い込む…

そうしているうちに閉店を迎えた


西の廃村


「…ここか」


荒れ地に立つ3人


「依頼主は?」


「村長」

「いや、元村長だな」


「?」


「盗賊団が原因で、村人が去って行って、今は村長1人だ」


「…なるほど」


「行くぞ」


村長の家


「失礼します」

「村長さんはいらっしゃいますか?」


「…ワシじゃよ」


老いぼれたボロボロの老人が出てくる


「アンタ達が何でも屋かの?」


「そうです」

「西の盗賊団はどちらに?」


村長が廃墟ビルを指さす


「アレじゃ」

「今は丁度、村々を襲ってる時間じゃな」


「…解りました」

「行ってきます」


歩き出す金田達


「気をつけなされ」

「相手の数は相当なもんじゃぞ」


「何人ぐらいですか?」


「ざっと、5、60人ぐらいじゃな」


「その程度なら問題はありませんよ」


微笑む金田



廃墟ビル


「…汚いな」


地面には、空き缶やゴミが溜まっている


「掃除しがいが有りそうだぜぇ…!!」


腕をまくるガルス


「掃除しに来たんじゃないぞ」


「そうだっけ?」


「そうだよ」



「いいや、掃除されに来たんだろ?」


ガチャガチャ!!


大量の銃が3人に向けられる


「…お早い、お帰りで」


「おう、「お早い、お帰り」だ」









ガタガタガタガタ!!


イスに縛り付けられる3人


「どんな死に方が良い?」

「俺達のアジトに乗り込んできたんだから、覚悟は出来てるだろうな?」


にやける盗賊団のボスと、その団員達


団員達は奪ってきた肉を、むさぼり食っている


「「覚悟」…ねぇ」


ため息をつく金田


「アンタ達、取引をしねぇか?」


「何だ?」


「諦め…」


「ふざけんじゃねぇ!!」


金田の言葉を遮り、怒鳴る盗賊団のボス


周りの団員からも、ヤジが飛ばされる


「何が「諦めて」だ!?」


「ふざけんな!!」


「怖じ気づいたか!!」


「弱虫かぁ!?」


「給料、安過ぎなんだよ!!」

「もう少し、贅沢させろ!!」


「殺すぞ!!」


「おいおい!馬鹿かぁ!?お前は!!」



「ほら、俺の部下も言ってるじゃねぇか」

「殺されたいのか?」


「…」


遠い目で、ボスの後ろを見つめる金田


「…あ?どうした?」


「アンタ、鈍いな」


ガルスが、自分の横を見る


そこにはもぬけの殻と化したイス


「!?」


「あ、ばれた」


肉をむさぼり食うメタル


「!?!?!?!!?」


「い、いつの間に!?」


「ばらすなよ-!この肉、美味いのに…」


「どうでも良い」

「交渉決裂だな」


パラ…


縄を解く金田とガルス


「なぁ!?」


「結びが甘いな」

「ちょっとした技術が有れば、すぎに解ける」


「こ、殺せ!!」


ダダダッダダダダダ!!


大量に発射される弾丸


「大量の銃弾でも、当たるのは限られてる」


2丁の拳銃を取り出す金田


パパパパッパパパン!!


一瞬で、自分に当たる可能性が有る弾丸を全て打ち落とす


ガルスは、斧を取り出す


「むぅん!!」


激しい風圧で、弾丸を吹き飛ばすガルス


「ば、化け物かぁ!?」

「撃て撃て撃て!!」


何度も撃っても、全て2人に届く前に地に落ちる


「くそ…!!」


「馬鹿だなぁ-!2人とも!!」


爆笑するメタル


「将を射んとすれば部下を射よ」だろ?」


カチン


刀をしまうメタル


ドサッ…


倒れる団員達


「!?!!??!」


辺りを見回すボス


立っているのは、メタル達を除き、自分のみ


「「馬を射よ」だよ!馬鹿!!」


「あれ?そうだっけ?」



「くそぉぉぉ!!」


銃を取り出し、メタルに向けるボス


「コイツがどうなっても良いのか!?」


「え?何だって?」


「だから、コイツが…」


ボスがメタルを見ると、自分が向けていた銃が地面に落ちている


「…え?」


正確には、銃を向けていた腕が落ちている


「ぎゃぁぁぁあああぁ!?」


「先刻の取引、受けてれば良かったのに…」


ため息をつくガルス


「金田が言おうとしてたのは、「諦めて、盗賊団は解散しろ」だ」

「墓穴を掘ったな」


「ち、ちくしょぉぉぉぉお!!」


「さて、金田!!」


「何だ?ガルス、メタル」


「掃除のしがいが有りそうだな?」


「じゃぁ、掃除するか」







村長の家


「はい、依頼、終わりましたよ」


「あ、ありがとうございます!!」


何度も頭を下げる村長


「では、報酬金を…」


大きな金袋を渡す村長


「はい、毎度あり」

「それでは」


去っていく3人



喫茶店


「大もうけ-!!」


バンザイする金田


「いや-!30万なんて、この喫茶店の何ヶ月分の給料だよ!?」

「最高だな!!」


爆笑するメタル


「そう言えば…」


ガルスが気付く


「どうした?ガルス」


「あの盗賊団が、金田にヤジを飛ばしたとき…」

「「給料、安過ぎなんだよ!!」」

「「もう少し、贅沢させろ!!」ってヤジも飛んでなかったか?」


「…」


メタルを睨む金田


「…」


目をそらすメタル


「…まぁ、単なる愚痴さ!!」


ウインクするメタル


「…」


無言でメタルを担ぎ上げる金田


「え?何?何してんの!?」


ガラッ


窓を開けるガルス


「え!?冗談だよね!?ジョ-クだよね!?ちょっと!?イズディス、ジョ-ク!?」


ポイッ


「ぎゃぁぁあああああああああ!!」








後日、「昨日は喫茶店から流れ星が流れた」と噂された

ちなみに、それから1週間、メタルの姿を見た者は居ない


読んでいただきありがとうございました

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