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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

戦争ゲームに浸っていたら異世界転生した件

作者: いも抹茶

この物語はフィクションです。実在する人物や団体、商品などとは一切、関係ありません。


20xx年2月6日...

仕事から帰ってきた俺は、部屋に入るなり直ぐ様テレビとKS5(家庭用ゲーム機)の電源を入れた。

季節は冬だけあって省エネモードでストーブは焚いていたが、流石に夜にもなると部屋の中は凍えるくらいに冷えていた。

「寒ッ!!」(率直な感想)

毎度ながら独り言を呟き、ストーブの温度をあげる。吐息がタバコの煙を吐く様に白く宙に舞い消えて行く。部屋の中は無情にもKS5の起動音と、KS5を製造した会社ブランド名のロゴタイトルがテレビ画面に映っていた。

服を部屋着に替えた俺は、部屋の照明をつけずに急いでテレビの前に置いてあるローテーブルの上に、玄米茶のボトルとタバコを乗せてソファーに鎮座した。

「はぁ。」(溜め息)

今日は普段以上に仕事量がハードだったな。深い溜息をつきながら、KS5のコントローラを握る。此処からはステージチェンジだ!また、常連ユーザーと共に大荒野の戦場を駆け抜けよう!!

スタート画面に変わる前の見慣れたオープニングデモムービーが映り始めた。テレビ画面の中では紫と白の格子状迷彩服を着た兵士がタクティカルベストを身に纏い、2人1組で市街地を進んでいる。辺りでは機関銃や自動小銃の銃声が鳴り響き、車か何かが衝突する様な爆発音や女性の悲鳴が遠くから聞こえる。いくつもの弾痕で装飾を施した住宅の壁がアップされたと思いきや、その角からこちら側を睨む様に顔を出す兵士。目の前に敵がいないと認識したのだろうか…。隠れている自分達を映すカメラアングルに切り替わると、先ほど睨みつけた右側の兵士がバディを組む左隣の兵士にボディータッチで合図を送り、睨みつけた方向に銃を構えながら進んでいく。

握っていたコントローラをローテーブルに置いた俺は、タバコの箱を手にすると多少、焦るかの様にタバコを(くわ)えると、これまた焦るかの様に銜えたタバコに火をつけた。

ライターの火が一瞬、目の前をふさぐとテレビから発せられた閃光がいつも以上に眩しく写し出された。


この物語は宗教戦争や代理戦争、独裁政権者共と治安防衛維持協定を以て闘う同盟国の話…。

太陽の裏側にあるとされる地球に似た惑星。その惑星にフェルファイムという名の国があるのだが、フェルファイム国にあるキュラート大陸の少子高齢化が過疎し、経済情勢から各国が合併を始める中...同じく経済情勢事由で非常事態宣言を発表した隣国カリーナとの協議の上、そのカリーナ国との間にあるマルヴェーヌ大陸と、キュラート大陸とを分割して領域を増やすという内容で意見決定。事実上の合併を果たしたフェルファイム国内だが、その一方で、キュラート大陸では独立を主張する反乱分子との対立が激化していた改定東暦2年7月の話...。


改定東暦2年6月10日

暴動が多発し、尚且つ道路整備困難区域にあたるフェルファイム州ミヤデケノータム地区の治安維持を計り...政府は新たに区域内で民間治安維持活動をしている非営利支援団体「LR」を議会に招待し、連日に渡る話し合いの結果。LRを国家指定防衛維持部門「Dam's(Defense.Advanced.Make.)」への移行を決定した。これに依りミヤデケノータム地区内の治安防衛維持は軍部活動で行うとメディアへ提示すると共に、翌13日にはパレードを実施し国民へアピールを行った。


改定東暦2年8月24日

ミヤデケノータム地区にて銀行強盗が発生。LRが出撃したものの犯人を捕まえられず、ミヤデケノータムに一番近いスウィーコ(元カリーナ領内)地区への警戒体制強化指令を届けると共に指名手配を呼び掛けた。


改定東暦2年10月17日

ミヤデケノータム地区にてパルプ工場全焼全壊事故が発生。


改定東暦3年1月5日

東暦時代に数百年にも及んだ冷戦から改定東暦への繰り上げを行う際、連邦で開発・所持・使用を禁止した長距離誘導式広範囲垂直爆撃型の核弾頭「RH254V」と同型のミサイルが、ヴィケット第7師団駐屯地内に着弾。駐屯地内だけでなく近隣のムビ地区やアルフォック地区が放射能被害地帯になる。


改定東暦3年5月30日

放射能汚染区域での除染作業が始まり5ヶ月が経過したが、国民との対立に依り一向に中間貯蔵処理施設場所が定まらない状態が続く中...ミヤデケノータム地区を保持するLRが住民の反対を押し切り、施設建設に同意した。これに伴い住民のデモ運動が暴動へ変化し、銃撃戦が繰り広げられる。


改定東暦3年7月12日

ミヤデケノータム地区内にて、中間貯蔵処理施設建設中の工事現場内で爆発事件が発生。当初は工事作業中に気温との科学反応で発生した事案だと考えていたのだが、対立する住民に依る事だと判明。政府は事件に関与した住民14名を現地で拘束し、連邦刑務所へ輸送した。


改定東暦3年12月15日

ミヤデケノータム地区内で建設していた中間貯蔵処理施設が完成。依然、対立が続く中...披露展が実施された。


改定東暦4年6月23日

クルズデン島領内にあたるディベート地区より長距離誘導式広範囲垂直爆撃型核弾頭「RH254V」が射出されたのをR.F.E.統合管制塔のレーダーが捉え、DPAGとの連携で空中にて迎撃措置を実施し被害は免れた。連絡を受けた政府は直ちに、ディベート地区統括警務部へ事情聴取と事情調査を図るも...ディベート地区統括警務部門は此れを拒否。連邦情報警備局の参事官や他の重役が現地へ向かい、直接の会合を提案したが統括警務部ピュローサ司令長は行方を眩まし捜査が難攻する。


改定東暦4年8月9日

潜入捜査を進めた結果。長距離誘導式広範囲垂直爆撃型の核弾頭「RH254V」の件に、クルズデン島を監視するダムスが関与している事が判明。事実調査を踏まえてダムス総司令長マッカローナ元帥へ事情聴取を図った所...マッカローナ元帥が自動小銃を発砲。駆けつけた一般警務兵(DEP)やR.F.E.邀撃歩衛小隊(Dry-funk)を含めた巡視員27名、部隊員6名がダムス領地内で死亡。事情聴取を提示したところ、至近距離で自動小銃を発砲されたが、幸いにも着用していた防弾ベストのお陰で一命を取り留めたミハイル中尉は「同伴していた兵士にプランCへ移行すると言っていた。」と、入院中の施設でマッカローナ元帥が当時、喋っていたことを語った。


改定東暦4年8月20日

クルズデン島内の自治区総選挙にて、ツェダール独立改革宗教団の創設者で広報も担当するケンチーブ・オツベェ会長と、現職のベトヌ・ヤマベが接戦票数の中、ヤマベが第7期の島長に当選するとケンチーブ会長がコレを「ヤラセだ!」と発言し、再選する様に管理委員会へと申告した。だが、委員会側は「正当な選挙結果だ」と、発信し拒否した為にヤマベは委員会自体を直訴へと踏み切ったのだが、翌9月1日にはヤラセ疑惑を呈したケンチーブ会長の直訴について「根拠や証拠のない個人的な思惑だけの発言だ」と反論なる事由を踏まえた防衛政策局が、彼の直訴を取り下げた。


改定東暦4年10月21日

暑さも着々と静まりを魅せる季節。自然に溢れた植民地でもあり、キュラート大陸内GDPの麦95%と鉱物80%を占める、大陸上で最も自然に恵まれたところで有名なクルズデン島。スウィーコ地区から船で上陸することが出来て、人気エリアとして知られる。その島内にて、食文化に敬称を鳴らすツェダール独立改革宗教団が政府に対し『フェルファイム州からのクルズデン島を離脱』を申し出、島の政権を握る為の抗議デモを実施。これに伴い政府は連合軍を傘下に鎮圧を図ったが、翌23日にはデモ隊が反乱分子と合流して武力を用いての交戦へと発展。26日時点で市民参加者70名と鎮圧業務参加隊員100名規模の負傷者が出た。依然として事態が治まる傾向に無い状況を考慮した政府は、治安防衛維持同盟と緊急保全協議の上で邀撃歩衛小隊(Dry-funk)を各地へ派遣。島民の安全を優先する様、現地職員へ対応を促すと非殺傷を前提に新たな作戦が実施された。



(冒頭で話していた戦争ゲームのオープニングデモムービーかの様な映像に切り替わる)



              ─11:24 am...


市街地での戦闘を想定した掃討作戦実施中に届いた出撃要請。新入隊員が訓練中に急遽、実弾入りの自動小銃を手渡されて現地へ向かう様に指揮官から告げられたなら、狼狽する所かパニックを起こすだろうとな──。だが、戦場経験者でさえも茫然とする場所に巡り会うとは誰も思わなかっただろう。


「陽射しがあると、風吹いてもロウリュー気分になっちまうよなぁ。」

「おとといみたいな早朝に雨でも降られてたら、地獄気温だったろうな?」

突然の出撃連絡にも動じること無くハンヴィーに乗り込み現場へと向かう隊員達。今回、要請があったのは何故かデモ活動陣と鎮圧を図る部隊が固まっている所よりビジネスエリアにあたる場所だ。

「流石に反乱分子とやらも、民間人には危害を加えることは、多分、ないだろう。」

在ること無いことを話ながら到着までの時間を楽しむムードを作る彼等。中心街へ差し掛かると住民を交えたデモ隊と遭遇し、何かを訴えかける光景は賢明にも感じられるが、その抗議とは何ら関わり無い通行人から疎ましがられている所を見受けてしまうと、なんとも言えない様だった。

若干、理論的な話題に華を咲かせていた頃。乗っているハンヴィーが3つ目の交差点を右折、問題のオフィスロードに進入してから暫く走っていたのだが、何かを見つけた運転手がブレーキを踏んで車を停めると、助手席に座っている通信兵と何かを話し始めた。

強風の影響だろうか…。ハンヴィーの周りの景色を砂煙が消している。少々、気にしながら彼等の視線を背後から辿る隊員達。その先には複数の穴が開けられた煉瓦模様の壁が見える。

「連絡はがあったのは、この辺か?」要請があった場所を本部と交信し、確認する様に運転手が通信兵へ問い質した途端、外で物凄い破裂音と同時に、眺めていた煉瓦壁が鉄垢色の噴煙に包まれた。上程コンクリート壁や内部の鉄筋、衝撃で割れたガラスが通りに降り注がれた。

今日が幸いにも休日にあたる曜日だからなのか。仮にも通っている人が居たなら大惨事になっていただろう。

我々の到着に合わせたのか、はたまた目の届く場所に隠れて爆発を仕組んだ者が何処かに居るのだろうか。反乱分子による遠隔操作式爆弾の可能性は高いが、位置確認を踏まえて現状、起きたことも本部へ語る通信兵。煙を上げたところは一階にテナントを設けていたのだろう...。煉瓦調の壁は二階部分までで、それから上は他のビルにも似せた灰色の壁に成っている所を見受けると、コレだけ周りに会社が在るんだし飲食店か何かが入っていたのかもしれない。

本部からの指令がない限り、外にすら出られない状態を前に、車内から様子を眺める空間にムシャクシャする一同。通信兵が話を一通り終え、司令部からの返答を待っていた¨その時¨崩壊したビルの更に奥に位置する解体途中でものけの殻になった廃墟風の建物から2つの閃光が走り、それに続く様に搭乗しているハンヴィー左側のサイドミラーとフロントガラスへ火花と弾痕を飛ばしてきた。

「EG!」緊急事態を表す用語を無線機越しに叫ぶ通信兵。唯一、この言葉を発した時だけ、本部や指揮官の指示を待たずとも行動へ移せるというのを、訓練生時代に頭が痛くなるほどに学んできた隊員達が勢い良くドアを開け外に飛び出すと、そのドアを盾にして発砲してきたとされる方向へARを構えた。後方の仲間に遅れをとりつつ、車を降りる通信兵。砲弾か?いや、スカッドミサイルでも半壊させるには数十発は必要なはずだ...。灼熱にも感じる気温に肌が焼かれる中『非戦闘地など有り得ない』という何処かの偉人が発した言葉は如何であれ、改革運動の傍らで至近距離での紛争勃発は好ましくない。と呟く仲間を背に...本部から届いた指示に従い、発砲をしてきた人物の特定と身柄の拘束任務へ移行した。

とはいえ、仕掛けたのは一人でも複数の同意者が存在し、同じ場所に潜んでいる可能性もあると想定した上で、通常作戦でのフォーメーションをとる事にした彼等は、通信兵をセンターポジションに配置しツーマンセル(2人1組)でバディーを整えると、各班共に斜めラインを形成しながら前進を始めた。現在地より1ブロック先の交差点の方が風は強いのか...。オフィスで使われていそうなプラスチック製のゴミ箱が流される様に横へ転がっていくのを目にしながら一人は前を、もう一人は周囲を警戒しながら進む。

インカムからは本部からの「万が一、銃撃戦へ展開しても、着弾判定がない限りは...」などと、先程の指示についての注意事項が続けられている中、先導班の1名が後続隊員へ停止合図を送ると、そのまま指の形をピースサインへ変えた。

見える範囲では少なくとも2名は銃を持っている人物が存在するという合図だった。話を終えた本部に続いて対象者の発見と、武装解除を訴え身柄の拘束へと転じるために実施報告を本部へ伝え始める通信兵。つい先程の爆発が印象的なのか?と感じるほどデモ隊の叫び声も聞こえず、静まり返った場に違和感を抱く。

その代わりに遠くで鉄同士を引っ掻きながら喘ぐ様に坂を登る列車の声が響いていた。曇っていた空から陽が少し顔を出し、瓦礫の山やシャッターの隙間を陽の光で引き立たせている様にも思える。

通信兵の連絡に対し、本部が「了解...out」と返事をして交信が終了したときだった。彼等の背後、搭乗してきたハンヴィーの更に背後にある半壊したビルの4階の一室。室内が丸見えになっている部屋から影を成した数人が立ち、彼等が投げたとされる石の様な物体が、こちらへ飛んでくるのが目に入った。恐らく、それはグレネードランチャーから放たれた擲弾なのだろう...。「避けぇー!」散開する様に仲間へ告げたのだったが、隊長の叫びも虚しく辺りに着弾した物体が大きな炎を上げて彼等を釘付けにした。


ーEnd.


       

ご閲覧ありがとうございます。

作者の「いも抹茶」です!

この話は、まだ今の様にゲーム媒体や電話が進化する以前の幼少期に、妄想しながら(?)自由帳に描いていたオリジナル漫画の切り取りです。

小学生⇒中学生の頃は、ひたすらノートに漫画を描き、高校時代は文字起こしをして脳みそを柔らかくしていました。

当時は、独自のホームページが作成できるサイトのおかげもあり、ガラケー(ガラパゴス携帯)で自身のホームページをつくり、その中でちょいちょい小説を投稿していたものです。

この話は、その頃→ホームページにアップしていた物語を多少着色したものでもあります。

(◯.o)゛当時は単なる火遊びでやっていたことが、ときが経てば文庫化できる様になるとは良き時代ですね!!

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