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召喚され少女と密室二人きり、俺が死ぬまでの七日間。そこから始まるアタシの物語  作者: うさぎさう
3章 【エルフの里で見上げた月】

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3章:番外編

3章本編に入れられなかった合間の話です


 ——これは、エルフの里に滞在したフミーたちのとある一幕である。




 エルフの里の静かな朝。フミーは宿泊先の旅館で自身のリュックを広げ、荷物の整理していた。


「あっ、これも持って来てたんだった」


 リュックの中に入っていたある物を掲げる。

 茶色く、四角いフォルム。それは、インスタントカメラであった。

 かつて風見翔也と共に召喚したそれはフミーにとってとても大切な物である。


「おっ、フミー。何してるのだよ」


 引き戸を軽やかに開け、ルルーミャが部屋に入ってくる。


「お祖母様!」


「なんだぜ!?」


 弾かれたように立ち上がって祖母に横から抱きつくフミー。ルルーミャが驚きの声を上げるのも束の間、フミーはシャッターを切った。すれば、ゆっくりと二人の写真が出てくる。笑顔のフミーと突然の抱擁に驚きつつ照れているルルーミャの姿が写されていた。


「一瞬でこんなリアルな絵を……!? 一体どうやったんだ……?」


「シャシンだよ」


「シャシン?」


「そうシャシン。これでエルフの里の様子を写してくる!」


 そう言ってフミーは外へ飛び出した。


「あっおい! シャシンってなんなんだ——!?」



———



 自然と和が混ざり合ったエルフの里。

 その写真を衝動のままフミーは撮る。長い人生、何年経っても思い出せるように。ここに来ていないリクに見せれるように。——いつか風見翔也と再会した時に見せれるように。


「ネオン!」


「あっ、フミー」


 エルフの里を散歩していたネオンを発見し、フミーは声をかける。


「何かポーズとって!」


「……え?」


 フミーに無茶振りされ、咄嗟にネオンはダブルピースを作った。それをカメラに収める。


「これもあとでリクに見せよう」


 そんな感じにインスタントカメラをフミーは活用していた。



———



 ——これは、フミーたち一同がファースト大陸へ帰ってきた後の一幕である。




 場所はミスティーユ・エンド・トルドーニャ大図書館。

 そこで二人の少女が話をしていた。少女と言ってもそれは見た目の話に過ぎない。実年齢はその見た目からかなりかけ離れている。片や妖精族、片や長寿の血筋なのだから。


「え、じゃあつまりミーにチョジュラスの槍を見つけたって言った時は手に入れてなかったの? それなのに手に入れたみたいなこと言ってたの?」


「ミーちゃんに教えた時は吸血鬼の国に封じられてるって情報を手に入れてただけだぜ。でも、そんなの手に入れたも同然だろ?」


「……」


 あっけらかんとしたルルーミャにミントは沈黙を流す。呆れているのではない。口にはしないが、そんな自信家なところをミントは好ましいのだ。


 フミーの祖母ルルーミャと大図書館の司書ミントは『ミーちゃん』と『ルールー』と呼び合う友人関係にある。長い時を生きる者同士、古い付き合いでもある。

 そんな二人は久しぶりに再会を果たし、会話に花を咲かせていた。


「そもそも、吸血鬼の国は鎖国国家でしょう。ルールーはどうやって侵入したの……?」


「そりゃあもう想像を絶する大冒険があったのだよ。聞いたら腰抜かすぜ?」


「で、そうまでして手に入れたチョジュラスの槍を孫に渡した、と」


「そうだな」


 大きい緑の瞳をミントは細める。


「いいの? ルールーだって欲しかったんでしょう。生き返らせたい人が——」


「1人しか蘇生できないなんて話はないぞ。まっ、もしそうでもいいんだけどな」


「わからない。孫とは言っても会ったばかりの他人なはず」


 チョジュラスの槍について教えたのはミントだ。しかし、本当にそんな槍が存在し、それをルルーミャがあっさり譲るとまでは想定していなかった。


「『お祖母様』ってそんなもんよ。ミーちゃんもなればわかる」


「———」


 ミントは孫どころか子供すらいない。そう言われてしまえば押し黙るしかなかった。


 ルルーミャの姿を彼女は改めてじっと見る。前に会った時と変わらない幼い姿だ。


「ルールーのことだから大丈夫と思ってたけど、もう少し経っても会えないようならミーが探しに行くところだった」

 

「アルウェイル森林地帯に? ミーちゃんが? 冗談だろう? ミーちゃんがここを出るとか信じられないぜ」


 ルルーミャは目を見開き、ミントの正気を疑う。

 そんな失礼な態度にも、ミントは微笑んで返す。


「おかえり、ルールー」


「ただいまだ、ミーちゃん」

次章が最終章になりそうです

今月中には更新します

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