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プロローグ:召喚直後
目の前に少女がいる。
雪のように白い髪を腰まで伸ばしていて、手足も髪と同様に白く、故に紅色を宿したワンピースと同色の瞳がコントラストをつけ少女の美しさを際立たせていた。
「あぁ……、やっと……!」
その少女は声を震わせている。今にも溢れそうなほど涙を浮かべて。
「だ、大丈夫か?」
ここはどこだ。
俺は自室で寝ていたはずだ。
聞くべきことも、混乱も渦巻いているが、あまりにも少女が弱々しいばっかりに心配する言葉を投げかけた。
「寂しかったよぉ……っ!」
黒髪短髪の凡庸な少年——風見翔也(16)に抱きついて、赤ん坊のように少女は泣き続けた。