表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アチコ

作者: 文月しわす

 とある私の休日。


 ふと、アチコのことを思い出した。


 そういえばアチコって魚卵食べられないんだっけ、なんてどうでもいいことが掃除機をかけている最中に頭に浮かんだ。


 掃除機を置いて、貴重品を入れてある棚をあさる。

 通帳、パスポート、マンションの契約書の下から手帳が出てきた。

 ぶどう柄の紫色の手帳。


「里香が絶対買わないだろうデザインと色で選んだ」


 そんな風にアチコからプレゼントされた手帳ーーーだったと思う。

 手帳には写真が4枚挟まっていた。

 教室、学校の帰り道、私の部屋、病院、どれもこれも見覚えのある場所。写真は全てツーショットで、私と一緒に写っている女の子がーーーアチコだ。


 そうだそうだこの顔だ、思い出した。

 神様がプロモーション用に作った顔、なんて男子に言われてたっけ。モテてたなーこいつ、ノーメイクでこの華はずるいわ。これで高校生なんだから、確かに横の私と比べると作り方が全然違う。


 写真と手帳を持ってソファーに腰を下ろす。

「数学は地球外生命体」「チョコミントは事象の地平面」

 意味のわからないアチコの言葉が次から次へと頭のなかで再生される。

 掃除はもう終わり、昼はカップラーメンだな。

 


 今、アチコは戦っている。



 思い出したということは、そういうことだ。

 手帳をめくる。

 アチコのことを忘れるまで、アチコのことを想うだけ。

 私にできることはそれくらい。



 大丈夫、アチコならきっと魔女に勝つ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ