大艦巨砲
天下天上作戦が発令され、システムローズ内が大慌てだった。
本格的にシステムローズが動き出すという事でもある天下天上作戦を主から発令されたためだ。
これは期待に応えなければいけないという焦りの気持ち。
やっと魔国に復讐できるという歓喜の気持ちが意地混じり、全員がその自分の仕事をいつもより素早く、完璧にこなす。
我が主のため、全員が働く。
俺は大和に向かう途中、考えていた。
この血戦でどれだけ世界の一部が手に入るか。
ユラーザは無しとして、アトラスは半分取ればいいくらいだ。
まぁ、本拠地がアトラスの為、アトラス十分の一は手に入っている。
深淵狂気の森のオーバーローズから続く、暗黒狂乱の森の地中には大聖堂、漆黒狂変の森の上にある天空島、結界で隠しているがアトラス大陸一周出来るように作られた線路。
だが、俺はわざわざアトラス国民共の世話をしたくはない。
支配するけど、政治は面倒くさいから王様には居て欲しい。
だから王様から直接貰うのが理想だ。
ちなみに、オウギワシは艦載機の整備や燃料補給で航空母艦自体は花港で待機中だ。
大和につけさせていた零戦は、一応まだ動けている。
だから爆撃は実行出来る。
俺はワープをして、大和の艦橋内へ入る。
「わぁ!しゅ、主君様、いつの間に……」
カノープスが頬を赤くし驚く。
「今さっきだ。状況はどうだ?」
カノープスは顔を横に振り真剣な顔つきに戻る。
「はい、現在はアトラス海岸から3キロ離れたアトラス沖にて停泊中です。いつでも艦砲射撃を開始する事ができます」
カノープスがよくわからない色々書かれている紙を見ながら話す。
「ふむ。分かった。私は少しやる事がある。席を外す」
「はい。行ってらっしゃいませ」
俺は水晶玉を取り出す。
一つ、二つ、三つ、四つ、それは紫の光と共に増えてゆく。
そして、数十個の水晶玉が各地に飛ぶ。
ユラーザ、アトラス四の都、ヴィーダ。
誰一人としてそんなどうでもいいことなんか気づかなかった。
だが、どうでもいいことなんかじゃなかった。
俺はリアナに向けた水晶玉をもう一つつくり、飛ばす。
星のように水色の水晶玉は粒子状の魔力を飛ばしながら白竜騎士団の城。リアナの部屋へ向かう。
リアナは頭を使いすぎた。
地下院王城に居るボルグ・リュ・ア・アトラス王への報告もしなければならなかったのだ。
疲れ疲弊しきったリアナは仮眠を取っていた。
だが、苛立たしいガラスの割れる音と共に水晶玉がリアナの頭を叩く。
そのせいでリアナはすっかり目を覚ます。
すると、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「やぁ団長様。良い夢は見れたかな?」
リアナは目を見開き水色の魔力を膨張させる。
「ガヴァ・ノートッ!」
「まぁそこまで慌てなくてもいいだろう。今から素晴らしい物が見れる」
「……?一体何のこと?」
「見れば分かる。少し待て」
その言葉を聞いて、一つの嫌な予感がリアナをよぎった。
「っ……!もしかして、爆発魔法?だとしたら……」
その一言で、俺は少し察した。
ん?これはもしや……ハルカラ村のことかな?
まずい。流石に威嚇射撃のつもりだから、居ないけど探しに外に出て巻き込まれたら困る。
「ハルカラ村には誰も居ない。安心しろ」
それは即答だった。
それと同時に嫌な想像がリアナを凌駕させる。
ガヴァ・ノートという男は、人を殺すことに対してなんら躊躇いもない。だが、この街を救ってくれた事は確かだ。
だからこそだ。あの悪夢から解放させる程の力、バードルを殺してもなんら躊躇いもない精神。そこが彼の一番恐れるところだ。
しかも、何を考えているか分からない。
頭脳も恐らく世界一レベル。
だからリアナは恐怖しているのだ。
「………ま、まさか……。貴様!貴様ッ!」
リアナの美人な顔から出ることが可笑しいほどの荒々しい声を上げる。
同時に机を思い切り叩く。
そして、ノートは何も答えない。
うるっさいな……。
俺は、それだけを思っていた。
うるささは例えると、ASMRで発狂した様な感じだ。
水晶玉はこれだからあまり使いたくない。
俺はしばらく耳を押さえた。
まぁ、取りあえず団長様にはこれくらい煽っておけば、すんなりと何とはまだ言わないが貰うだろう。これで、シナリオ道理になる。
「まぁ、もう少し待て」
そして、水晶玉は自動的に割れる。
その後、ノートの高笑いが聞こえた。
リアナは何故か正義感に押され、住民に呼びかけに行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は艦橋へワープをして戻る。
さっきワープを使わなかったのは雰囲気だ。
そして、命令をだす。
「カノープス。主砲は使えるか?」
カノープスは俺の声に気づき口を開く。
「はい。完璧です」
俺は「フッ」っと嗤う。
「殺れ」
その言葉の後……。
「標準合わせー!目標地点、ナスカラディア近辺」
カノープスが命令をだす。
そして……。
「打て」
俺がそう言った瞬間だった。
凄まじい轟音と反動、大和には乗ったことなかったけど、やっぱり四十六センチ砲はすごい。
「二発目はどういたします?」
「いい。爆撃機を出す」
俺は指を糸を操るように動かし飛行機を操作する。
「さぁ、悪夢を再会しよう……」