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縛られない支配者になるために…!  作者: 八風ゆず
魔国前哨戦編
22/31

ファートルド事変:3 失われし深淵の色

リアナは目を覚ます。


いつの間にか、リアナは倒れていた。

倒れる前の記憶は曖昧だ。

そのせいで、上手く頭が回らない。


でも、確認できるのは、ぼやけた光、天井だった。


(ん…?天井?)


その時、リアナは勢いよく体を起こす。


「おや。お目覚めですかな」


そこには、少し老けたお婆さんと子供が居た。

それを追うかのように、一人の、少し老けた筋骨隆々のお爺さんが出てきた。


「ん?おぉ!起きたか!」


「わぁあ!ビックリした!」


リアナは思わず声を上げた。

なんせ、老いている割に筋肉が凄いのだから。


「いやはや、白竜騎士団団長様が深淵狂気の森前に倒れていたとは…何かありましたか?」


男は、話ながら座る。


「え、あぁ。それが……」


リアナは、一部始終を話した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「な、なんと!そんなことが…」


「はい、それで…此れからどうしようかと…」


「でしたら、我々ハルカラ村が騎士団長様を手助けしましょうぞ!」


「本当ですか!?って、…ハルカラ村って…」


「ああ、すいません。申し遅れました。私は、この村の村長、ベルドです。このハルカラ村は、ナスカラディアの近辺にある小さな村で御座います」


「あ!思い出した。確か、デッドスケルトンの……」


言葉を口にした瞬間、ベルドは暗い表情を見せる。


「…………娘と、一人の青年が、デッドスケルトンに殺されました……」


「あ、すいません。つい……」


「良いんです。過ぎたことはもう戻りませんので…」


ベルドは涙を流す。


「あなた…」


「お父さん…」


奥さんらしき老けた女性がベルドの背中をさする。


「とにかく、ナスカラディアがそんな状態であれば、我々も動かなければ、此方にも危害を加えてくるかも知れない」


ベルドは立ち上がる。


「是非とも、協力しましょうぞ!」


「そうしてくださると、とても有難いです!」


リアナは立ち上がり、ベルドと手を取り合う。


そして、本格的なハルカラ村騎士団作戦が決行されることとなった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


目の前には、真っ暗闇。

そこで、俺は目が覚める。


だが…。

俺は…何をしていたんだ?


目の前には、不思議な城が見えてくる。


ここは…何処だ?


俺は…ガヴ…何だっけ?


俺は、何だ?





俺は………………誰だ?(・・・)






「おい!ゴミ!」


ご…ゴミ?


ブラックは俺の頭を蹴る。


「早く働きやがれ!クソ野郎」 


ゴミ…それが、名前?


「ゴミ…それが、俺の名前……?」


「あぁ…?」


ブラックは、首を傾げる。

すると、ブラックは俺をあざ笑う。


「あぁそうさ!ゴミ!お前はゴミだよ!ハッハッハッ!」


なるほど、俺は、「ゴミ」と言う名前なのだな?


「そうなんですか、それでは、俺は何をすればいいのですか?」


「あー?見りゃわかんだろ。働くんだよ。ゴミ、早く行け!」


働く…あぁ、なるほど。


「建物を建てれば良いのですね?」


「あたりめぇだろバカが」


「バカ…それも俺の名前?」


すると、ブラックは俺のことを睨む。


「…お前頭おかしいんじゃねぇか?オラ!早く行けや!」


俺は、背中を蹴られる。


何だろう。

この心苦しさは……。

こんな、こんな生活は、当たり前の筈なのに。


何故か、もの凄く嫌だ。


そして、何か大切なものを失っているような…。

………でも、今の俺は、この仕事をやらなければ。


俺は鉄柱を持って、城の中へ運ぶ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


システムローズは、混乱に陥っていた。

ナスカラディアが、一夜にして壊滅したのだ。


そして、こんな緊急時に長が居ない。


余りにも急すぎる緊急事態に、シリウスは五芒星を集める。


四人、シリウス、アルファード、アーク、ベガが揃っているところに、カノープスがドアを壊すような勢いでノートの部屋のドアを開ける。


「ねぇ!主君様がナスカラディアにまだ居るって本当なの!?」


すると、ドアがバタン!っと取れる。

それに連れてカノープスは「あ…」っという言葉をこぼす。


「はぁ…全く。なんで貴方はそこまで乱暴なのよクソビッチ」


「は、はぁ!?ビッチじゃないわよ失礼ね!」


二人のやり取りに他三人は苦笑いをする。


「で、皆を集めた理由なのだけど…」


すると、シリウスはもう一つの扉の方を向く。

その時、一人の女性がドアを開ける。


シルフィードだ。


「誰…?」


アルファードが呟く。


「五芒星の皆様、初めまして。私は、マスター。ガヴァ・ノート様に宿りし精霊で御座います」


シルフィードは、青と白透明のスカートを両手で少し持ち上げ、お辞儀する。


「主殿の…精霊」


「ともかく、そう言うこと。それで、シルフィードから聞いた話によると、ブラック、バードルと名乗る者達にナスカラディアは支配されている。それで、主様は現在……現在………」


シリウスは不味そうな顔をしながら下を向く。



「彼奴らの…配下になってるわ」



「「「「っ……………!?!?」」」」


「な、なんで!?」


ベガが一歩前に出る。


「それが…私にも分からない。影から出てきてみれば、ゴミだの何だの言われ放題で、命令に従ってマスターは動いてた」


シルフィードが俯き呟く。


「………ともかく、私達の目的は、システムローズ全勢力を持ってしても、主様を奪還すること」


「……でも、なんで?主君様にすればあんな奴等…」


「なにか、策略…みたいな物なのでしょうか。アークちゃんはどう思う?」


アークは手を組む。


「…それか、なにか弱味を握られてるのかも」


「「「「「っ……!」」」」」


「だとしたら、主君様は…もう、戻ってこないって事…?」


「とにかく!とにかくよ!まずは主様に一度話をしましょう。それで、ベガ」


シリウスはベガの方向を向く。


「は、はい!」


「主様に、現在の状況を話してきて。それで、主様自身の身になにが起きているかを聞いてきてちょうだい」


「は、はい!分かりました!」


そして、ベガは廊下へ出て、走り出す。


「……主人様、無事でいて」


ベガはそう小さく呟いた。


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