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縛られない支配者になるために…!  作者: 八風ゆず
魔国前哨戦編
20/31

ファートルド事変:1 新なる世界

場所は魔王城下町。

そこに、一匹のデッドスケルトンが、雨の中ヨロヨロと走り、門を通ろうとする。


「まて、何者だ?」


漆黒の鎧を着たゴーレムがデッドスケルトンに話し掛ける。


デッドスケルトンは、「カラカラ」と口を動かす。


「分かった。行くがいい」


デッドスケルトンは、魔物の街を抜け、魔王城の中に入る。

そして、「魔王の間」の扉を開ける。


「…何事か。中級魔物が、我の食事を邪魔するとは」


デッドスケルトンは、口を開き、魔王にも通じる言葉で話す。



「ま、魔王様…!き、緊急事態でございます!」


魔王は、スープをすくい「ズズッ」とのむ。


「勇者とは別の…正体不明の者により潜伏隊第三基地が打たれました…!」


魔王は、もう一度スープをすくおうとしていた手を止める。


「…なんだと?」


魔王は威圧を纏い、デッドスケルトンを睨む。


「す、すみません…!私も突然の出来事だった物で……」


魔王は椅子から立ち上がり、デッドスケルトンの前に立つ。


「な、なので……どうかぁ……」


デッドスケルトンは声を震わせる。

すると、魔王はデッドスケルトンの頭を掴み上げる。

その後、漆黒の螺旋が渦を薄く巻いて魔王の腕をつたう。


「……あ、アァ……ア……」


デッドスケルトンの(コア)はみるみる灰色になってゆく。

魔王は頭を離し、デッドスケルトンは地面に叩き落ちる。


「………バードルはいるか?」


魔王がそう呟くと、一人の男が魔王の影から出てくる。


「はっ……此方に…」


「……潜伏隊第三基地を討ち滅ぼした者を調べよ。そして、お前に第七潜伏隊を付かせる。発見した後、攻撃を行え」


「はっ…承知いたしました」


魔王が指を鳴らすと、骸骨の仮面を被った黒ずくめの男八人が影から出てくる。


「我を邪魔する者は全て…捻り潰してくれる……フッ…フフッ、フハハハハハッ!!!」


高笑いと同時に、雷鳴が鳴り響いた。


その中バードルは、魔王を睨みつけていた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


俺は、大和を眺めていた。が、動かない。

もう一度見てみると、歯車が二、三個足りなかったのだ。


「マジかよ…ってか、他の資料あんまり出来てないな…ま、一隻作ってくれたから、まぁ良いか、後でもう一度言っておこう」


フェランも疲れていたんだろう。

でも、また最初っからか~。

プラモもそうだったなぁ。


はぁ…面倒くせぇ…。


その時だった。

ふと、変な気配を感じた。

なんかゴワゴワした魔力波を俺は認知した。


なんだ?この魔力……。


……とりあえず、結界を強化して、存在を隠しておこう。


結界により、俺は存在を隠すことが出来る。

分立結界を固有結界へ組み直し、固有結界へ魔力を最大限に放射し、別空間をコピーし作り出す。

そして侵入してきた者を別空間へ移動させれば…隠蔽工作特化の固有結界の完成!


っと…とりあえずこれで…良いのかな?


そして、俺はもう一度大和の制作に取り掛かった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


深淵狂気の森の木々をシュンッ!シュンッ!と移動する九人。


「………こちらブラック、異常なし」


「……こちらバード、指定された場所に到着。探索を開始する」


バードルは渓谷を見渡す。その時、バードルは結界に気づかなかったため、オーバーローズは発見されなかった。

それが貿易国アトラスにとっては良かったのか悪かったのか、此処で発見されていたら、運命は変わっていたのかも知れない。


「………こちらバード、異常なし。次に第三基地へ移動する」


「「「「「「「「はっ…!」」」」」」」」


素早いスピードで移動する第七潜伏隊。

そして、第三基地へ付き、捜索をしているときだった。


「お前達は何者だ!」


強気な女性の声が聞こえる方向には、髪型がポニーテールの長い白く染まった髪に紅色の瞳、白竜騎士団団長「リアナ・ディアステラ」がいた。

その後には、首都周辺警備中の白竜騎士団百七十名。


「見たところ、お前達は魔人だな?」


バードルと八人は黙って、リアナを見つめる。

それは、どこか殺意も混じっている。


「今ここで、お前達を処分する」


リアナは突きの構えをとり、バードルと、ブラックと名乗る八人へ向かって走り出す。

それに連れて白竜騎士団団員も剣をそれぞれ構え、一斉に走り出す。


バードルは真ん中、ブラックは、右に四人、左に四人と散らばる。


足裏へ魔力を集中させ、空気中を蹴る。

そして……。


「グァッ……!」


「グゥッ…!」


バードルとブラックは目に見えないほど加速し、団員達を切り裂いてゆく。


「っ……!おのれ魔人めっ!」


リアナは大剣を大きく振りかぶる。


迅速刃(バーニングストライク)!!」


一線の閃光がブラック三人の左に肘に当たる。

当たった三人のブラックは肘を押さえる。


バードルは着地した後、命令をする。


「………此処らは取りあえず撤退だ。お前達、付いてこい」


「「「「「「「「はっ……!」」」」」」」」


ブラックとバードルは、もう一度空気を蹴り、加速する。


「クッ……!逃がした。早く団員の治療を行え!」


リアナは右手を団員達の方へ向けて、命令を下した。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


場所は深淵狂気の森西区。


そこには、焚き火を焚いているバードルとブラックが居た。

九人は丸太の上に腰を下ろし、土竜(コモドラゴン)の肉を焼いている。


「お前達、この私について行くつもりはあるか?」


「……勿論ですとも、我々は貴方に憧れて潜伏隊になったようなものです。五闇(いつやみの)の一闇…幻影のバードル(・・・・・・・)様」


「……分かった。私は……新たなる世界を作ろうと思う。魔王様の物でも無く、誰の物でも無い、我々の世界を……それで、潜伏隊最強のお前達、第七潜伏隊の力が必要だ。強力してくれるな?」


「「「「「「「はっ!」」」」」」」


バードルは、安心したように立ち上がる。


「……それでは、光の都、ナスカラディアを奇襲する…!」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


リアナは、魔人出現の報告を国へ報告していた。

だが、捜索隊及び戦闘団員の出動許可は、約一週間かかる。

その事についてリアナは悩んでいた。


なんせ、魔人を発見したとしても、首都内へ侵入するか、周辺警備中しか戦闘を行うことが出来ない。

それは騎士団のルール上決められたことで、騎士団内の反乱を無くすため、真剣は出動時、または警備中しか使えない。


「…どうすれば良いのだ、魔王軍に一番狙われやすいのはこのアトラスだというのに…」


そう言い、頭を抱えながら唇を噛む。

そうしている間にも、運命の時間は迫っていた。


アトラス国史上最悪の出来事が始まろうとしていたのだった。

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