46:はじめての協力(イラガ「ぶっ殺すぞクソガキッッッ!」)
『呪法』思いつきましたら名前や効果をせまひ感想欄まで〜
尊宝ワラジとの決戦が始まった。
「“雪獄・八寒・我が統べるは紅蓮の氷河”! 乱れよッ、『氷結呪法』!」
俺に放たれる猛吹雪。
軌道上の床や天井が一瞬で凍り付くほどの寒波だが、
「えんがちょ(疑似発動『断空呪法』)」
再び目の前の空間を固定化。
こちらには一切の冷気も届かない次元の壁と化す。
「チィッ、やはりそれは部下の呪法! 盗みおったな貴様!」
「まんがむらかんりしゃ~(サンキューワラジ)」
これ便利だぜ。
「ふんっ、たしかにその呪法は強力だ。だが、そう長く続くものじゃない!」
その言葉通り、徐々に空間の壁が解けていく。
吹き寄せる冷気も徐々にこちらに伝わってきた。
「所詮は一時しのぎの盾よ。このまま氷漬けにしてやるわ!」
そう叫んで笑うワラジ。
あぁなるほど。コイツの言う通り、この呪法は身を守ることしか出来ないようだ。
だがしかし。
他の呪法と組み合わせてみたら!?
「こらぼ(呪法融合)」
俺はさっそく思いついたアイデアを試すことにする。
「ぱわーーーーーーーー(『羅漢呪法』『剛力呪法』『千力呪法』三重疑似発動)」
筋力強化能力を三つ使用。
俺の赤ちゃん筋肉に赤いエネルギーのラインが奔り、ビキビキになった。
さらに、
「いくってばよ(疑似発動『手裏剣呪法』)」
投擲・射出能力を概念的に身に宿す呪法を発動。
さぁ準備は整った。
俺はビキビキになった腕で、空間の盾に触れると、
「しゅうううううううううううううううと!(ぶっ飛べオラァーーッ!)」
空間の盾を一気に押し出す!
「なぁッ!?」
三重強化からなる射出は、一瞬にして空間の盾を亜音速の弾丸へと変換。
その光景はまさにレーザーだ。
屋敷をめちゃくちゃに破壊しながら、ワラジを飲み込んで消えていった。
「じゃに~?(もう終わりか?)」
あっけない。
もう少し試したいことがあったんだがと、そう思ったところで、
「――まだですウタさんっ! あの人の呪法は『覚醒』を遂げているッ!」
キリカさんが鋭く叫んだ。
それと同時に危機察知能力『先見呪法』発動。
危機感のままに飛び退いた瞬間、俺のいた場所に三方向から吹雪が放たれた。
「「「くっ、キリカめ余計な忠告を!」」」
俺は思わず目を見開いた。
なんとワラジの野郎が三人も現れたからだ。
「まんがむら、どうじんあんてな、ひまわりどうが……!(三人に増えただと……!?)」
驚く俺に、キリカさんが「あれは氷の分身です!」と叫ぶ。
「精神、あるいは技術的な革新を遂げることで、呪法は稀に能力が拡張することがあります。それによりワラジの『氷結呪法』は、自分そっくりの氷像を生み出し、さらに操作することが可能になりました」
「「「黙れっ、尊宝家のオンナが敵に情報を与えるな!」」」
キリカさんに氷柱の槍を放つ三人。
俺は咄嗟に彼女の前に来て、空間の壁でそれを防いだ。
「「「えぇい邪魔をするな!」」」
「たからじゅか~(うるせーボケ。寄ってたかって女傷付けるやつがいるか)」
ともかく氷の分身能力か、理解したぜ。
じゃあさっき吹き飛ばしたワラジも最初から偽物だったってことか。
これは強力だ。
なるほど。
「びぎゅもたぁ……!(じゃあまだ遊べるな)」
「「「っ!?」」」
ちょうどいい練習台を見つけちまったな。
思わず可愛い赤ちゃんスマイルになっちまったぜ。
「「「な、なんだその地雷系女子のような危うい笑みはッ!?」」」
誰が地雷系女子だ。
「「「化け物めッ、貴様はここで必ず殺す! ――覚醒術式『富嶽寒烈・氷衛星』!」」」」
瞬間、床の氷などが圧縮して形を変え、四匹目のワラジが現れた。
さらに五匹、六匹と増え、計九匹までワラジが増える。
「「「「「「「「「さぁ、嬲り殺しにしてくれるッ!」」」」」」」」」
一斉に氷の槍を放つワラジども。
いいぞいいぞ、それくらい抵抗してくれたほうがやる気が出る。
さてまずは、
「しゅばばばばばばば!(呪法融合『韋駄天呪法』『夜叉呪法』『這裏呪法』)」
高速化呪法+自在に吸着できるようになるコンボだ。
それにより俺は超高速ハイハイを可能とし、壁や天井までもを駆けまわった!
「「「「「「「「「くそっ、当たらんッ!?」」」」」」」」」
毎秒九発以上の氷柱を放つワラジども。
しかし三次元的動きをする俺に点の攻撃は当たらない。
さて次だ。
「てんばいやーーーーーーー(呪法融合『六臂呪法』『獣身呪法』『羅漢呪法』)」
俺の周囲に現れる腕。
それらは史上最大の古代鮫・メガロドンと化し、さらに全身がムキムキになった。
ここまでは術師たちと戦いでやったやつだ。
これに、さらに。
「ぱわーーーーーー(追加発動『剛力呪法』『千力呪法』)」
筋力強化呪法を重ね掛けだ。
これで筋肉巨大鮫たちは超ムキムキ筋肉巨大鮫になった上、
「ぬすんだばいくではしりだす!(追加発動『凶刃呪法』)」
俺は、身体の鋭利な部分をさらに凶悪に尖らせる呪法を加えた。
これにより鮫たちの乱杭歯と、さらに『全身の楯鱗』が凶刃化!
さぁ完成だ……。
『『『『ギシャァァアーーーーーーッ!』』』』
「むきむき・はんぐれ・てんばいやーッ!(最悪生物の出来上がりだぜ!)」
「「「「「「「「「なにぃーーーーーーーーッ!?」」」」」」」」」
筋肉は極限まで膨張し、全身には無数の刃を纏った鮫たちだ。
そいつらはミサイルのようにワラジたち目掛けて突撃し、その身体を嚙み砕いていった。
「「わっ、我が分身たちが!?」」
あっという間に残り二体だ。
戸惑うそいつらには俺自身が接近し、ハンマーシャークに変えた腕で殴り抜いた。
すると、
「えーあいいらすと~(やはり偽物か)」
二体とも氷になって砕け散った。
まぁ最初のワラジが偽物だった時点で予想していたがな。
『ふっ、ふはははは! 徒労だったな大文字ウタ! 貴様の攻撃は全て無駄に終わったッ!』
四方から響くワラジの声。
さらに今度は十八体ものワラジが現れた。
なるほど、ここまでの戦いは無駄だったか。
「そんなわけがないでしょうに」
俺の代わりにユキネママ様が答える。
「たとえ本体にダメージがなかろうが、間違いなく呪力は消費しているでしょう?」
『っ』
「それに」
瞬間、屋敷の天井に大穴が空いた。
そこから伸びる蛸の腕。それはママ様を優しく包むと、天井の上に引っ張り上げた。
『なにっ!?』
ワラジの軍勢が上を見上げる。
そこには、
「嫁は大切にすべきだぞ。さもなきゃ色々怖いからな……」
美少女メイド・イラガと、囚われの身だったキリカさんの姿があった。
『キリカがっ!? そんな、いつの間に……!』
「ですですですですでぇす(戦っている間にだよ)」
元よりイラガたちと決めていたことだ。
まずは彼女の安全を確保しようってな。
「ですですでぇす、ですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですでぇぇぇええええええええええす(それと、戦闘中にお前の呪法も研究させてもらったよ。分身たちが一斉に喋ることから、あくまでも術師の操り人形ってことはわかった。つまりお前ひとりの意識さえ逸らしてしまえば、隙をついてキリカさんを保護することは容易ってわけだ。お前は先ほどの戦闘を無駄と言ったがずいぶんと俺に情報を渡してしまったぞ?)」
『がああああああーーーーーッ! 何言ってるのかわけわからんわァアアーーーーーーーッ!』
流石は悪党、失態への指摘を“わけわからん”と呆けたふりか。
まぁ俺も赤ちゃんだから舌が回らなくてちょっと変な言葉になってるかもだが、それでも頑張ればわかる程度だろたぶん。
「ですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですですでぇぇぇえええええええす(聞けワラジ)」
『もう黙れ! 頼むから黙れッ!!!!!』
おっとついに対話拒否ですよ。こわいね~。
「たまねぇ!(おいイラガ)」
「誰がタマ無だッ!?」
ほら反省してるイラガには通じた。
「チッ、貴様の言いたいことはわかっている。屋敷にいた非術師の使用人たちは全て避難させた。せいぜい全力で暴れるがいい」
おぉそりゃ重畳だ。
「とよた~!(イラガ有能!)」
「褒めているのか? ……ふんっ」
「かれはじゃい(まぁ下半身は不能だが)」
「ぶっ殺すぞテメェッ!?」
言ってることわかってきたからなクソガキッ!!! と喚くイラガだが、ユキネママ様に「アナタうるさい」と一言言われてくぅんと黙ってしまった。
大変っすね。
『ぐぅうッ、こんなふざけた連中に負けたら一生の恥だ! 皆殺しにしてやる!』
「いいよ(こいよ)」
俺もこっからはさらに全力で暴れられるからな!
さぁいくぜ、
「ふんぐるいふたぐん!(『召喚呪法』百連発動――!)」
【次回予告】
戦いが佳境を迎える中、ユキネママは運命に翻弄されるばかりだった若妻・キリカに一つの選択を迫る。
ユキネママ『選びなさい。〇ンコを造るか×ンコを造るか』
キリカさん『っ!』トゥクンッ
・次回、第七章決着――!
【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】
すこしでも
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今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。
あなたのそのポイントが、すごく、すごく励みになるんです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン
何卒、お願いします……!(『呪法』のアイデアもぜひ感想欄に!)