43:はじめての襲撃!②(おらおら~!)
白鯨を振り下ろし、尊宝家の巨大門を叩き潰してやる。
すると大屋敷の中から家の者がぞろぞろ出てきた。
「なんだこれは!? 白い靴下に詰められた巨大なゴルフボールか!?」
「白い靴下に詰められた巨大なゴルフボールが門を破壊したぞ!!!」
「そんなわけがあるかッ、あれは白い鯨だ!」
「馬鹿言えここは海のない埼玉だぞ!? 鯨がいる確率よりゴルフボールの可能性が高いだろうが!」
「くっ反論できない!」
連中はかなり戸惑っているようだ。
うるさいので腕を元に戻してやる。
「むッ、ゴルフボールが消えて……見ろ! 女と赤ちゃんと、とんでもない美少女メイドがいるぞ!?」
「誰がとんでもない美少女メイドだッ!」
イラガがキレた。
褒められてよかったな?
「ふざけるなよっ私は男だ! こんな姿になったのはそこのクソ赤ちゃんのせいでだなッ!?」
「アナタは黙ってなさい」
「くぅん……」
とイラガを黙らせるユキネママ様。
彼女は集まってきた尊宝家の者たちへと口を開いた。
「申し遅れました。私たちは『呪術人妻会』。このウタ会長率いる組織です」
「えっ(えっ)」
お、俺って例のママ集団の会長だったのかよ!?
作ったミズホじゃないのか!?
「あらウタ様お嫌でしたか?」
「そんなこと(ないです)」
俺は速攻で受け入れた。
ユキネママ様の言葉は全て尊重する方針なのだ。
女を舐めてるこの世界の男術師たちと違って、『逆らっちゃ駄目な女性』は見抜いてるんだよ……!
「くっ、なんなんだ貴様らは!?」
とそこで。
屋敷から出てきた者の一人が声を荒らげた。
さぁなんなんだと言われてもなんなんでしょうね?(※組織図を把握していない)
「俺は尊宝ワラジ。この尊宝家が当主だ」
「ご丁寧にどうも。私は四条――」
「黙れ、女は口をつぐんでろ」
ってユキネママ様になんて恐ろしい物言いを!?
男は地雷を踏んだとも知らず、俺を鋭く睨んできた。
「貴様、特等術師の大文字ウタだな……!?」
そうだよ。
「一体どういうつもりで呪法を振るった!? 此度の狼藉、『呪術総會』に知らせれば処罰は免れんぞ!」
彼の言葉に賛同するように、他の者たちも「当主様の言う通りだ!」「ふざけるなっ!」と怒声を上げた。
「赤ちゃんだから法を知らぬとは言わせんぞ。不当な攻撃をした以上、最悪、処刑もあり得てだなぁ……!」
ワラジという男の口がニタァと歪む。
……なるほど。
こいつ、赤ちゃんなのに特等の俺に消えてほしいのか。
「みじゅほぉ(ミズホも顔見せパレードのとき叫んでたな。『ママレーダーで感じるわ! テレビ越しに、俺への邪悪な視線を南方から感じる!』と)」
でここは埼玉南方。
答えは出たな。
「みじゅほゆうのう。こうざとうろく(ママレーダーすげ~)」
「意味の分からん言葉を吐くな! さて、さっそく通報を……」
携帯を取り出すワラジ。
だがそこで、ユキネママ様が「やめておいたほうがいいのでは?」と微笑みかけた。
「むっ、なんだ今さら処罰が怖くなったか?」
「いえいえいえいえ。私たちはちぃっとも怖くありませんが」
くすくすと笑いながら。彼女は、尊宝家の屋敷のほうを見た。
「総會御付きの断罪部隊『八咫烏』はとても目端が効く方々。そんな人たちをこの密造所に近づけていいんです?」
「ッ!?」
ワラジの顔が驚愕に染まる。
そして同時に“しまったッ”とでも言うように彼の口元が歪んだ。
なぜならこうも過剰に反応してしまったということは、ママ様の発言を認めているようなものだからだ。
「っ……一体、なんの話で……!」
「はい残念。今さら取り繕っても遅いです。さぁ尊宝ワラジ様、これで私たちの踏み入りにも、『違法行為をしている術師を捕縛するため』という正当な理由が出来ましたねぇ?」
「ふっ、ふざけるな! 俺たちは違法行為などしていないっ! 証拠がないだろうが証拠がッ!」
「はい、なのでその証拠を抑えに行きます。無理やりに臓器を作らされ続けているアナタの奥さん、彼女を証言台まで連れて行きますね?」
「なっ!?」
それはまずい、という顔をするワラジ。
……もうこの時点で完全にコイツは黒だ。
一人の女性を違法な金稼ぎの道具にしていたことは明確だ。
「……ろせ……」
そして。
追い詰められたワラジが、ついに一線を越える。
「殺せッ! 我が弟子たちよッ、こいつらを消し去ってしまえぇーーーーッ!」
「「「おぉぉぉおおおーーーーーーーーーーッ!」」」
尊宝家付きの術師たちが一斉に吼えた。
「死ねぇお前たちッ!」
「絶対に生きて帰さんーーーーー!」
「尊宝家の敵めッ!」
襲い掛かってくる術師たち。
ああ、奥さんを連れ出そうとしてる俺たちにキレてるようだが、なんだお前たちは。
ふざけるなよ。
「さきゅらいぃぃ……!(女性を食い物にしやがって……!)」
燃える怒りが呪力に変わる。
それを全身に滾らせ、さぁやろうか!
・美女と美少女背後にいるし、もしかしたら王道小説かもしれない。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
少しでも面白い! 続きが読みたい! ジャンプでいけそうな王道小説! と思っていただけたら、
『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!
評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!