第1話 幕開け
たくさんの号外が空に舞った。人々はそれを掴んで、その文を読む。みんな、食い込むように読んでいる。その見出しには、こうあった———。
【速報! 機械と融合した人造人間の製造実験、法案が議会で決定!】
「なんだこれは! 生命の倫理を冒とくするつもりかああぁーーー!」
「すげぇ、これで人間の可能性がもっと広がる……!」
様々な声が雑踏に混じり合って一種の喧騒になる。ティオルシア国政府は反対意見に配慮しつつも、法案の根幹を崩さずに計画を進めた。
国立医療センターと国内最大の病院法人メイガ医療会が手を組み、人間製造部門を設立して人造人間製造センターに最先端の知識と設備をかき集めた。
そしてプロジェクトは走り出した。
法案通過から5年。最初の一人が”造られた”。
造られる人間には普通の人間とは違う特殊な細胞で構成され、産まれる前の段階、まだ有精卵になる前の段階で遺伝子情報を操作し、成長した身体が機械を受け入れられるようにする。
有精卵から成長し、赤ちゃんと言える状態になったら生体機械を埋め込む。半分生き物のような機械は赤ちゃんと組み合わさり、成長と共に形を変えながら共存する。そうして、最初の1人目が造られたのだ。
これは、人造人間たちが厳しい世界で生き抜き、受け入れられるようになるまでの物語である。