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【あやかしの国に渡る少女】  作者: 有馬波瑠海
9/25

【ヘソ曲がりと勾玉】

こんにちは!有馬波瑠海(ありまはるか)です!

(*´-`)


今回で連載小説は、四作品目です。うん。なんとも不吉な・・・。まぁ、気を取り直して、書いていきますので、最後までお付き合いいただけたら、嬉しいです・・・(*´-`)


【今までの連載小説】

1 【時雨の里】(連載中)  https://ncode.syosetu.com/n5101gr/


2 【七世と森の少年】(完結済み)  

https://ncode.syosetu.com/n1320gs/


3 【闇に沈む侍】(完結済み)  https://ncode.syosetu.com/n3500gt/

4 【あやかしの国に渡る少女】←今回

時雨(しう)

「なんだと思う?」


 時雨(しう)は、艶やかに笑いながら、その青い勾玉を見せてきた。


 なんだろうか?お母さんの形見・・・とか?いや、お母さんの形見で勾玉とか聞いたことない。多分、お母さんの形見は、お母さんも使っていたというあのパイプタバコかな・・・。じゃあ、あの青い勾玉は一体・・・。



 アタシが黙っていると、時雨(しう)は、その勾玉を月に向けて言う。


時雨(しう)

「これは、親父が俺に残した・・・。転生の勾玉って言ってな。俺みたいなやつを本物の妖怪へと変える勾玉さ・・・。だが、これが使えるのは、たった一度だけ・・・。一度本物の妖怪に変われば、もう半妖に戻ることはできない・・・。」


里李(さとり)

「なんで、そんなものをお父さんは、あなたに・・・?」


 時雨(しう)は、少し考えた様子で言う。


時雨(しう)

「親父はきっと、こうなることを分かっていたんだ。銀扇(ぎんぜん)は俺を殺し、長になったあかつきには、人の世を壊そうとしている。しかし、俺は大半妖である親父の血をついでいるとはいえ、半分は人間だ。両親揃って大妖怪のあいつに、戦って敵うはずがない。だか、この勾玉を使えば、俺は本物の大妖怪になることができる。親父は、俺を使って銀扇(ぎんぜん)を殺させ、人の世界を守るつもりだったんだろう。それがきっと親父の願いだったんだろう・・・、」


 時雨(しう)は、懐にその勾玉をしまった。



里李(さとり)】 

「何、言ってるのよ!」


 里李(さとり)は、時雨(しう)に右フックをかます。


 ブフォッ・・・!


 鈍い音ともに時雨(しう)は池に落ちた。時雨(しう)は右頬をさすり、そして、アタシを見上げて言った。


時雨(しう)

「テメェー、何しやがる!」


里李(さとり)

「兄弟同士で殺し合うことを望む父親なんてあるはずないわ!」


時雨(しう)

「じゃあ、なんで親父は俺にこんなもん渡したんだ!」


里李(さとり)

「知らないわよ!そんなの!自分で考えなさい!」


時雨(しう)

「はぁー!?人に説教しておいて、テメェー自身も、何にも思いついてないなのかよ!」


里李(さとり)

「えぇ!そうよ!でも、あなたが言っていることが絶対に間違ってるってことは分かる、だから!」



 ・・・・・・一緒に考えよう・・・・・・



 アタシはそう言って、目の前にいる半妖に手を伸ばす。時雨(しう)のお父さんがなんのためにその転生の勾玉を渡したかなんて、アタシにはまだ分からないけど、でもきっと一人じゃない、皆で一緒に考えたら答えは見つかるはず・・・。そう、わらしや半雪にも協力してもらって、皆で一緒に・・・。


 時雨(しう)は、伸ばされたアタシの手に驚いているようだったが、戸惑いながらも、こちらに手を伸ばして来る。そして、恐る恐るながらも、アタシの手を掴んだ。びっくりするくらい冷たい手だった。


 アタシは、その手を思いっきり引こうとした時だった。


時雨(しう)

「・・・ふんっ・・・甘いな・・・。」


 

     ・・・え?・・・



 気がつくと、アタシは池の中。時雨(しう)は素直にアタシに池から引き上げられるように思わせて、アタシを池に引きずり入れたのだった。



里李(さとり)

「何すんのよ!あなた、なんでそんなにへそ曲がってんの!やな男!サイテー!」


 目の前にいる時雨(しう)(しう)は、さっさと池から上がると屋敷に戻って行ってしまう。


里李(さとり)

「この!ちょっとら待ちなさいよ!もう、サイテー!あんたなんか風邪引いちゃえばいいのよ!」


 すると、時雨(しう)はこちらを振り返る嫌味に笑って見せた。時雨(しう)は、右手で二回、自分が着ている着物を叩いた。すると、着物についていた水が細かい粒となって、空へとキラキラ消えて行く。


  それは本当に美しい光景だった・・・。


  そして、本当にムカつく光景でもあった。



里李(さとり)

「ムカつく・・・。ドライヤーもなし、新しい着物の必要もなしって言うのね。」


 びしょびしょに濡れたまま、アタシは屋敷に戻ると、座敷わらしが迎えてくれた。どう言い訳しようかと考えていると、座敷わらしが布をさっと渡す。


里李(さとり)

「ありがとう。わらし。これどうしたの?」


【座敷わらし】

時雨(しう)様が、里李(さとり)に渡してこいって。」


里李(さとり)

「そう・・・。」


 ・・・本当に、ヘソ、曲がってるな・・・


 目の前にいるわらしが、不思議そうな顔をして、アタシのことを見ている。


【座敷わらし】

里李(さとり)・・・。どうして、笑ってるの?」


里李(さとり)

「ううん。なんでもないのよ・・・。」




 夜はこうして明けていった。


 



 ・・・次の日の昼・・・


 アタシは、庭に出てわらしに協力してもらって、木に的をくくりつけていた。


【座敷わらし】

里李(さとり)。準備ができたよ。」


里李(さとり)

「ありがとう!わらし。」


 弓を引き、木にくくりつけた的を目掛けて矢を放つ。放たれた矢は真っ直ぐに的に吸い込まれるように中心に当たった。


時雨(しう)

「ほぅ・・・やるもんだな。」


 縁側で横になっていた時雨(しう)が、少し意外そうに言った。庭で洗濯をしていた半雪(はんせつ)が聞いてきた。


半雪(はんせつ)

里李(さとり)は、人の世で弓を(たしな)んでいたのか?」


里李(さとり)

「嗜むって言うか・・・。そうねぇー。あ、でもこの間のインターハイでは、二位だったわ。」


 三人が不思議そうな顔をしてアタシを見る。


時雨(しう)

「いんたぁーはい?」


半雪(はんせつ)

「まぁー色々あるんだろう?人の国である祭りごとのようなものじゃねぇーか?弓の名手を決める祭りごととか?」


里李(さとり)

「うーん・・・当たらずとも遠からずって所かなぁー。」


 すると、座敷わらしがアタシの足に抱きついて来る。


【座敷わらし】

「すごーい!里李(さとり)、弓上手だもんね!」


里李(さとり)

「そんなこと、ないよ・・・。」


 そう、決してそんなことはないのだ・・・。


読んでくださり、ありがとうございました!(*´-`)次回は、明日の午後21時です!よろしくお願い致します!(*´・∀・)ノ



Twitter始めました!(*´・∀・)ノ

@xGUlpsT6bU6zwi1  




投稿のご連絡、小説内で扱かったイラストなどをツイートしています!( ・`ω・´)

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