【ヘソ曲がりと勾玉】
こんにちは!有馬波瑠海です!
(*´-`)
今回で連載小説は、四作品目です。うん。なんとも不吉な・・・。まぁ、気を取り直して、書いていきますので、最後までお付き合いいただけたら、嬉しいです・・・(*´-`)
【今までの連載小説】
1 【時雨の里】(連載中) https://ncode.syosetu.com/n5101gr/
2 【七世と森の少年】(完結済み)
https://ncode.syosetu.com/n1320gs/
3 【闇に沈む侍】(完結済み) https://ncode.syosetu.com/n3500gt/
4 【あやかしの国に渡る少女】←今回
【時雨】
「なんだと思う?」
時雨は、艶やかに笑いながら、その青い勾玉を見せてきた。
なんだろうか?お母さんの形見・・・とか?いや、お母さんの形見で勾玉とか聞いたことない。多分、お母さんの形見は、お母さんも使っていたというあのパイプタバコかな・・・。じゃあ、あの青い勾玉は一体・・・。
アタシが黙っていると、時雨は、その勾玉を月に向けて言う。
【時雨】
「これは、親父が俺に残した・・・。転生の勾玉って言ってな。俺みたいなやつを本物の妖怪へと変える勾玉さ・・・。だが、これが使えるのは、たった一度だけ・・・。一度本物の妖怪に変われば、もう半妖に戻ることはできない・・・。」
【里李】
「なんで、そんなものをお父さんは、あなたに・・・?」
時雨は、少し考えた様子で言う。
【時雨】
「親父はきっと、こうなることを分かっていたんだ。銀扇は俺を殺し、長になったあかつきには、人の世を壊そうとしている。しかし、俺は大半妖である親父の血をついでいるとはいえ、半分は人間だ。両親揃って大妖怪のあいつに、戦って敵うはずがない。だか、この勾玉を使えば、俺は本物の大妖怪になることができる。親父は、俺を使って銀扇を殺させ、人の世界を守るつもりだったんだろう。それがきっと親父の願いだったんだろう・・・、」
時雨は、懐にその勾玉をしまった。
【里李】
「何、言ってるのよ!」
里李は、時雨に右フックをかます。
ブフォッ・・・!
鈍い音ともに時雨は池に落ちた。時雨は右頬をさすり、そして、アタシを見上げて言った。
【時雨】
「テメェー、何しやがる!」
【里李】
「兄弟同士で殺し合うことを望む父親なんてあるはずないわ!」
【時雨】
「じゃあ、なんで親父は俺にこんなもん渡したんだ!」
【里李】
「知らないわよ!そんなの!自分で考えなさい!」
【時雨】
「はぁー!?人に説教しておいて、テメェー自身も、何にも思いついてないなのかよ!」
【里李】
「えぇ!そうよ!でも、あなたが言っていることが絶対に間違ってるってことは分かる、だから!」
・・・・・・一緒に考えよう・・・・・・
アタシはそう言って、目の前にいる半妖に手を伸ばす。時雨のお父さんがなんのためにその転生の勾玉を渡したかなんて、アタシにはまだ分からないけど、でもきっと一人じゃない、皆で一緒に考えたら答えは見つかるはず・・・。そう、わらしや半雪にも協力してもらって、皆で一緒に・・・。
時雨は、伸ばされたアタシの手に驚いているようだったが、戸惑いながらも、こちらに手を伸ばして来る。そして、恐る恐るながらも、アタシの手を掴んだ。びっくりするくらい冷たい手だった。
アタシは、その手を思いっきり引こうとした時だった。
【時雨】
「・・・ふんっ・・・甘いな・・・。」
・・・え?・・・
気がつくと、アタシは池の中。時雨は素直にアタシに池から引き上げられるように思わせて、アタシを池に引きずり入れたのだった。
【里李】
「何すんのよ!あなた、なんでそんなにへそ曲がってんの!やな男!サイテー!」
目の前にいる時雨(しう)は、さっさと池から上がると屋敷に戻って行ってしまう。
【里李】
「この!ちょっとら待ちなさいよ!もう、サイテー!あんたなんか風邪引いちゃえばいいのよ!」
すると、時雨はこちらを振り返る嫌味に笑って見せた。時雨は、右手で二回、自分が着ている着物を叩いた。すると、着物についていた水が細かい粒となって、空へとキラキラ消えて行く。
それは本当に美しい光景だった・・・。
そして、本当にムカつく光景でもあった。
【里李】
「ムカつく・・・。ドライヤーもなし、新しい着物の必要もなしって言うのね。」
びしょびしょに濡れたまま、アタシは屋敷に戻ると、座敷わらしが迎えてくれた。どう言い訳しようかと考えていると、座敷わらしが布をさっと渡す。
【里李】
「ありがとう。わらし。これどうしたの?」
【座敷わらし】
「時雨様が、里李に渡してこいって。」
【里李】
「そう・・・。」
・・・本当に、ヘソ、曲がってるな・・・
目の前にいるわらしが、不思議そうな顔をして、アタシのことを見ている。
【座敷わらし】
「里李・・・。どうして、笑ってるの?」
【里李】
「ううん。なんでもないのよ・・・。」
夜はこうして明けていった。
・・・次の日の昼・・・
アタシは、庭に出てわらしに協力してもらって、木に的をくくりつけていた。
【座敷わらし】
「里李。準備ができたよ。」
【里李】
「ありがとう!わらし。」
弓を引き、木にくくりつけた的を目掛けて矢を放つ。放たれた矢は真っ直ぐに的に吸い込まれるように中心に当たった。
【時雨】
「ほぅ・・・やるもんだな。」
縁側で横になっていた時雨が、少し意外そうに言った。庭で洗濯をしていた半雪が聞いてきた。
【半雪】
「里李は、人の世で弓を嗜んでいたのか?」
【里李】
「嗜むって言うか・・・。そうねぇー。あ、でもこの間のインターハイでは、二位だったわ。」
三人が不思議そうな顔をしてアタシを見る。
【時雨】
「いんたぁーはい?」
【半雪】
「まぁー色々あるんだろう?人の国である祭りごとのようなものじゃねぇーか?弓の名手を決める祭りごととか?」
【里李】
「うーん・・・当たらずとも遠からずって所かなぁー。」
すると、座敷わらしがアタシの足に抱きついて来る。
【座敷わらし】
「すごーい!里李、弓上手だもんね!」
【里李】
「そんなこと、ないよ・・・。」
そう、決してそんなことはないのだ・・・。
読んでくださり、ありがとうございました!(*´-`)次回は、明日の午後21時です!よろしくお願い致します!(*´・∀・)ノ
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