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問題編:淡亭院謎時の挑戦状

「そして明くる日、女中の悲鳴で人々が集まると、一階の玄関前で胸に軍刀を突き立てられた館の主人が死んでいた、という訳だ」


 謎時はパチンと扇子を閉じる。

 いささか余分な話が多かったような気もするが、事の顛末は大体分かった。


「ま、これだけでも解けるには解けるが、この後に得た情報も開示せねば公平(ふぇあ)ではないだろう」



 以下は各容疑者たちの証言である。


執事「皆さんがお眠りになったあと、一階の戸締まりを確認しに行きました。不審な様子はありませんでしたね。私は一階の、客室の反対側にある使用人の居室で寝ました」


実業家「ぐっすり寝てましたからなあ、おかしな物音なんかは聞いてないですよ。まあ、一階の端っこの部屋だったからかも知れませんが。私は小説家の先生が怪しいと思ってます。あの人、無名の頃に貸してもらったのが借金として残ってるらしいじゃないですか」


古物商「寝ていたので全く気がつきませんでしたな。実業家の人と軍人さんの間の部屋でしたけど、意外に、どっちも静かなもんでした。私は確かに偽物を売ったこともありますけど、どうせ旦那のことだから最初から分かってたんでしょうよ」


小説家「私も最初は眠っていたんですが、途中で目が覚めてしまいまして、深夜でございましたね、そうしたら階段を誰かが降りてくる音が致しました。一人だと思います。階段そばの部屋だったので、聞こえたのかと。それ以外には特に何も」


養子「ぼ、僕は二階の、父の隣の部屋で寝ていたのですが、恥ずかしながら気がつきませんでした。なんだか酷く眠かったもので…………。もし異変に気がついていれば、こんなことにはならなかったのでしょうか…………」


軍人「俺はちょっと寝相が悪くてさ、眠ってすぐに寝台から落ちて目が覚めたんだが、その時はまだ軍刀はあった……と思う。……そのまま寝ちゃうくらい眠くてさ。よく覚えてないんだ。部屋は古物商と淡亭院殿の間だった」


女中「私も不審な物音は何も…………。私達使用人の部屋は屋敷でも一番端なので聞こえなかったんでございましょう。執事さんとは別の部屋で寝ていたので、部屋にいたと証明することはお互いに出来ないと思います」



「そして最後はこの私、淡亭院 謎時だ。物音は聞いていないし、当然だが犯人でもない。さて、文一くん、君は屋敷の主人を殺した人物が分かるかね?」

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