始まり
「そんなに慌ててどうしたの?」
アルはそう言って走ってきた子供に話しかける
「いやだ…いやだ…」
そんな事を呟きながらそのまま走り去ってしまった
「一体何があったんだろう、兄ちゃんは何か知ってる?」
困った顔でアルは俺に聞いてくる
「わからん、大人達からも何も言われてない」
そう言って不安を感じながらも食堂へ向かった
・・・・・・
ドン!!!!!!!!!ガシャン!!!!!
食堂がある階への階段を登ろうとした時、一際派手な音が聞こえた
「アル、俺の後ろにいるんだ」
「わ、わかったよ」
いつもとは違う空気を感じとったのかアルは大人しく俺の後ろについた
「一体何なんだ…?」
そうして食堂からは見えない位置から中の様子を確認する
「!!!!」
咄嗟に身をかがめ、息を殺し、アルにも目で指示する
「ギャルァァァア!!!!」
「くっ!何をするんだ急に!離しなさい!!」
大人の中でも若い人が何かに襲われている
「………」
大人を襲っている何かを、そのまわりを見る
(あれは…子供…?そしてまわりの赤いものは血と死体か…?)
「……」
アルが泣きそうな顔でこっちをみてくる。
目で合図をし、気付かれないように下の階へ戻る
そうして下の階の人気のない所でようやくアルは口を開いた
「兄ちゃんは」
バン!!!!!!!
「「…!!」」
とその時近くでまた大きな音がした
塔の出口に向かう為にアルにまた目で合図した