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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
ツネノリの章⑧センターシティでの死闘。
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第92話 戦う意思が無いのなら参加しなければいいものを…。

父さんと千歳が話していると足元が光った召喚の光だ。

俺達に拒否権なんかない。

光に向かって「俺は行く」と宣言をすると街の外に飛ばされた。

周りを見るとコロセウムに居たメンバーは大体いた。

フナシやトセトで俺が斬り殺した連中も居るのが不服だったが弾避けくらいにはなると思いたい。


「じゃあ、行くわよー、最初の魔物はギガントダイルよー」と言う魔女のアナウンスの後前方に土埃が見えた。


あれがギガントダイル…二日前にセンドウを襲った魔物…

それが想像以上の速さで迫ってくる。

「千歳、ワニってあんなに速いのか?」

「うん…確か物凄く速く走ってくるんだよ」


それで一般プレイヤーの人達は回避を度外視した戦い方や爆弾を抱えての自爆攻撃をしたのか…


「ビッグドラゴンの何倍も足が速いなんて」

「お父さん、どうやって倒す?」


「やれるだけやるしかない。まずは各個に攻撃しかないだろう。有効打を見つけたら後はそれを重点的に行う」


父さんが皆に声をかける。

反応してくれるのは千歳の友人達とトビーにイク、後はタツキアで一緒に戦った一部のプレイヤー達だった。

恐らくタツキアで一緒に戦った残りのメンバーはボウヌイで命を落としてしまったんだ。


「ベテランさんにお任せして俺達は後方支援に専念しようぜ」

父さんに反応しなかった連中からそんな声が上がる。


「さぞかしスタッフさんの命の為に頑張ってくれるだろうしな」

「俺達も昨日から死んだらログイン不能になる身の上だしな、きっとわかってくれるぜ」


そう言ってあの連中が下品な高笑いを上げる姿を見て俺は聞いていて苛立ちが抑えられなくなった。


「戦う意思が無いのなら参加しなければいいものを…」そう言って怒鳴ろうとしたのだが、俺の肩を抑えた父さんが「構う必要は無い、俺達だけでもあれを止めるんだ」と言う。


そして父さんは佐藤達に向かって「彼らの言う事も一理ある。君たちも今日から死んでしまうとペナルティでログアウトにされてしまう。一緒に戦ってくれると言うのであれば自分の命を大事にして戦ってくれ」と言うと俺と千歳を呼んで走り始める。


間近で見るギガントダイルは結構な大きさだった。

俺達3人なんてあっという間に飲み込める大きさ、素早さは本当に速い。今見ている場所からなら15分もあればセンターシティの入り口に到達すると思う。


「ツネノリ、アーティファクト砲を撃ってみてくれ」

「わかったよ父さん【アーティファクト】!」

自分でも気づかない間に上手くなったのか、アーティファクト砲は真っ直ぐ飛んでギガントダイルに直撃をする。

だが、止まらない。


「効かない?」

「…効いてはいるかもしれないがあの外皮が固いんだ…、刃の通る場所を探すしかないな…」



「お父さん!お腹なら柔らかいかも!」

千歳が父さんに言う。


「やってみよう!

千歳!トセトの橋を落とした時の爆弾を出すんだ!数は少なくて良い、爆風で奴を持ち上げろ!」


その声に合わせて千歳が光の腕輪で作った爆弾を精製してギガントダイルの前に出す。

「【アーティファクト】!」

だが想像以上に重いのだろう。

さして持ち上がらない。


「ツネノリ!風!」

千歳が俺に声をかけてくる。

風の力で持ち上げると言うのだろう。


「【アーティファクト】」

俺は浮いた部分に風を起こしてギガントダイルを更に持ち上げる。


「父さん!」

「お前たち良くやってくれた!」


そう言った父さんは光の剣を出して高速移動でギガントダイルの下に潜り込む。

ギガントダイルは今までの速度で飛んだのでかなりの勢いがある。

そこに父さんが高速移動で潜り込んだのですれ違うのは一瞬だ。


父さんはその一瞬の間に正確にギガントダイルの腹に剣を突き立てて一気に振り抜く。


ギガントダイルは真っ二つになって絶命した。


「よし…これがある程度の倒し方だな」

「うん」

父さんと千歳の2人を見ながら目線をギガントダイルの死骸に向ける。

俺が見たギガントダイルの死骸の先には土埃がまた舞っていた。


「父さん…、あれ…」

「!!?マジか」


ギガントダイルが群れになって迫ってきている。

その数は6…

縦に3匹、それが2列になって走ってきている。


今の1匹に3人がかりの戦い方では話にならないのが今からでもよくわかる。


「お父さんどうしよう!?」

「俺がまず試す。

上手くいけばお前たちも各々で試すんだ!」


そう言って高速移動でギガントダイルに突っ込んでいく父さんは腕に盾を張る。

突っ込んだ先で一匹目のギガントダイルが口を開いて父さんを待ち構える。次の瞬間に父さんはギガントダイルの口の中に居てそのまま口は閉じてしまう。


「お父さん!?」

「落ち着け千歳、父さんは不死身になっているから死なない」


閉じた口の上顎から伸びる青く光る剣。

「父さん!」

そのまま真っ直ぐにギガントダイルを切り開いて中から父さんが血塗れで現れる。


「お前達!口の中なら柔らかい!狙いは腹か口の中だ!!」


そう言うと父さんは次のギガントダイルに突っ込んで行って背開きにしていた。


「千歳、行けるか?」

「おっけー、とりあえずやってみるよ」

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