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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利 千歳の章⑥察する者。
87/339

第87話 あの顔を見ているととてつもなく嫌な予感がした。

コロセウムを見ると明らかに人数が少ない。

そして何より気になったのは、フナシで私が殺してしまった男やトセトで戦ったプレイヤーも居たことだ。


「お父さん、あいつら…」

「ああ、千歳も気が付いたか…」


「トセトの…」

「ツネノリ、千歳…後ろから邪魔されないように気を張っておけ。東は同士討ちで死ぬ事は無くなったとは言っていたが、当たれば行動が阻害される。ダメージが無いだけなんだ」


「うん、わかった」


「それにしてもここまで人数が減るなんてな。俺達の居ない2日間がこんなに過酷だとは思わなかった」


「伊加利さん!!」

私は声の方を見ると佐藤と田中と鈴木、それにトビーとイクが居た。



「みんな!!無事だったんだね!!」

「伊加利さん達も今回は参加されるんですね?」


「うん、ごめんね。昨日と一昨日は疲労で動けなかったの」

「そうだったんですか…、僕たちも夜中とかはログインできないんで参加してなかったんです。でもネットが大荒れで心配してました」


「大荒れ?」

「夜中に無理なミッションをさせてボウヌイが無茶苦茶になった事です」


「あ…、まだ私もツネノリもボウヌイを見てきていないんだ…」

「僕たちもイベントが終わるまでは行けないですね、あそこは距離があるので…」

そっか、佐藤達も徒歩移動だから昨日の今日でボウヌイに行くのは不可能なのか…


「君達、ボウヌイには近寄らない方が良い。まだ何もできていない状況なんだ…、ご遺体も全員分見つかったわけでもない」


!?

そうか、この世界はこの世界の人には現実の世界。

人が死ねば誰かが葬儀に出してあげないといけない…


「お父さんは…」

「ああ、さっき見てきた。凄惨な状況だった」


そう話していると田中が口を挟んできた。

「でもここってAIだから別にバックアップとかあるんじゃないんですか?

バックアップをロードすれば…」


「…お前!!」

ツネノリが怒って声を荒げる。


「ツネノリ!やめるんだ!!…えっと君は?」

お父さんが田中に向かう。


「お父さん、彼は田中だよ」

「田中君…、済まないが聞いてほしい事がある。今ここに居る千歳の知り合いの子達もだ」


お父さんの雰囲気を察したのか、端末機でVRではない田中だったが神妙にお父さんの話を聞く。


「ここ、ガーデンのAIはここだけの話、ありえないくらい精工に出来ている。多分プレイをしてくれている君達なら天才プログラマーの東 京太郎の話は聞いたことがあるよね?」


全員が「はい」「少しなら」と答える。

東さんってそんなに有名だったんだ。


「東 京太郎は人工生命と言ってもそん色ないレベルでAIを作っていて、彼自身の拘りもあるが、ガーデン内のAIは全て唯一無二の存在となっている。

ボウヌイは確かにこの先時間をかければ復興する。

だが、その中に居るスタッフ、君たち風に言うならAIは以前とは同じではない。死んだ命はもう蘇らないんだ。同じようにスタッフカウンターや道具屋に人は出てくるがそれは前の人ではない。全くの別人だ」


佐藤も田中も鈴木も全員黙ってしまう。


「それってじゃあ、あの道具屋のおじさんも?」

トビーがお父さんに質問をする。


「ああ、あの人はもう居ない。イベントの被害で死んでしまった」


「マジかよ…、俺あのおじさんの所で買い物した時の「いっぱい買ってってよぉ」「もっと買わないのぉ~」「気を付けて楽しんで来いよなぁ」って言ってくれるの好きだったんだよ…」


一気に皆が暗い顔になる。


「街に居る通行人も全員そうだ。君たちが今までにこのセカンドガーデンで出会った人たち全員にそれぞれの個人…個性なんてものもある。

それを失わないために俺達は出来る限り頑張っているんだ」


その言葉でみんなが「頑張ります」と言ってくれた。


だが、後ろから声が聞こえてきた。

「へぇ、そりゃあ大変な話だな、へっへっへ」


私は慌てて振り返る。

目の前に居た男はフナシで私達が殺した男だった。

あの顔を見ているととてつもなく嫌な予感がした。

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