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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利 千歳の章⑥察する者。
86/339

第86話 うわぁー…、…嬉しいなー。ありがとう。

東さんが帰った後、ツネノリが怖い顔で悩んでいる。

言い過ぎたかな?

でも何でお父さんといいウチの男たちは女心と言うものがわからないんだろう?

これではメリシアさんも苦労するなと思った。


とりあえず身支度を済ます。

今日もタツキアとは限らない。


「聞こえるかしらー、運営のジョマでーっす」

そうしていると村中にジョマの声が響く。


「今日のイベント第一会場はセンターシティでーっす」


「第一…だと?」

ツネノリが訝しげにつぶやく。


「その後第二会場が発表になりまーす。

私が第二会場に行くプレイヤーの皆さんを選別するので参加の意思がある人は参加してくださいねー」


「ツネノリ!」

「ああ、とりあえずセンターシティを守るぞ」


「東さん!センターシティって何人のスタッフが居るの?」

「千歳…、センターシティは8千人だ…」


8千人?

それじゃあジョマの目標数を大きく上回っちゃう。

多分私達が奮闘する事も織り込み済みなんだ…


「東さん、今参加しそうなプレイヤーって何人いますか?」

「多分7千人くらいだと思う」

ツネノリが私の気になっていた事を聞く。

段々と頭が回ってきたようだ。


「ツネノリ様!千歳様!」

メリシアさんが慌てて部屋に入ってくる。


「メリシア」

「今のアナウンスは聞いていました。先ほどの神様の声ですよね?

センターシティに行かれるんですね?」


「ああ、行ってくる」

「センターシティってスタッフさんが8千人居るんだって。私達が頑張らないとね」


「千歳様、これを」

そう言ってメリシアさんが私にお守りをくれる。


「これ…」

「はい、ツネノリ様に貰っていただいた物と同じです。千歳様も私の大切な方です。私はここで祈る事しか出来ません。」


うーん…嬉しいけどツネノリがガッカリすると思うんだよなぁ…


うっ…

やっぱりツネノリはメリシアさんの手の中のお守りを見て激しくガッカリしている。


「うわぁー…、…嬉しいなー。ありがとう」

ここで断れるほど私は強メンタルではない。


「…ツネノリ様」

メリシアさんがツネノリを見つめる。


「これを」

そう言ってメリシアさんがツネノリに赤い石の付いたネックレスを渡す。


「これは?」

うわ、目に見えて明るい顔になったツネノリが頑張って無表情を装って受け取っている。


「祖父の形見、赤メノウの石が付いたネックレスです。祖父は私にお守りだと言ってくれました。このお守りがツネノリ様を守ってくれます」

「そんな大事なものを?なんで…」


なんでって…聞くかな?何か昏睡から目覚めたツネノリってバカになってない?

ツネノリにそう聞かれたメリシアさんは真っ赤になってツネノリを見つめる。

…今思ったんだけど、私の前で夜中と今の二度もこの2人は何やってんの?


あ、一応言うと、メリシアさんとツネノリがご飯食べるために明かりをつけた時に薄っすら起きて、ツネノリがご飯を食べ始めた時の匂いで完全に目が覚めました。

その後メリシアさんがツネノリに抱き着いた所で気を使って温泉に行きました。


「恥ずかしいから言わせないでください。

私達…まだこの気持ちが何なのかわかっていないんですよ?

それを確かめるためにも無事に帰ってきてください」


そう言ってメリシアさんはツネノリに抱き着く。


「私の想いがツネノリ様のお力になれますように」

「メリシア…、ありがとう」

そう言ってツネノリもメリシアさんに手を回す。



…この気持ちがわからないって…恋愛感情なんじゃないのかな?

まあ、私も恋愛経験ないからわかんないけど…


そんな会話を聞いていると足元が光る。

召喚の光だ。


「ツネノリ」

「ああ、俺達に拒否権は無いようだ」


「二人とも、お気をつけて」

「うん、メリシアさん行ってくるね」

「メリシア、色々とありがとう。俺は必ず戻ってくるから。

帰ってきたらこの気持ちが何なのかまた話そう」


「はい、楽しみに待っています」


その声を聞きながら私達は光に飲まれた。

目を開けるとセンターシティのコロセウムに居た。


「ツネノリ!千歳!!」

お父さんが私達の元に走ってくる。

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