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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利 常継の章⑥集団戦闘。
79/339

第79話 勇者の剣よ!切り裂けぇぇっ!!

イベントの参加者は東に確認をしたら7000人居た。

多分それだけ居れば何とかなるだろう。


先に全員に周知としてビッグドラゴンの攻撃を説明する。

「奴は火を吹く。手で薙ぎ払ってくる。尻尾で打ち付けてくると言った攻撃をしてくる」


知っているプレイヤーは「知ってまーす」とか茶々を入れてくるが今は時間が惜しいので無視をする。


村ギリギリの防衛線に大砲使いを配置。その前に銃火器隊、その前に弓矢隊を配置して頭と背中をメインで狙うように指示を出す。

残りの近接武器を持つものは各自邪魔にならないように接近をして4本の足を狙うように指示を出す。


その中で招待枠の20人は俺達と一緒に行動をする事にした。



「とにかく一番の問題は遠距離からの炎。後は長いリーチの尻尾だ。

近接武器のメンバーはとにかく足を狙って歩く速度を遅くするんだ。


近接武器を持つものは全員攻め込むぞ!

大砲隊達は射程に入ったら休まずに狙ってくれ!」


そして俺達は前に出る。


くそ、あまりの大きさに距離感が狂う。

「うわー、本当に大きいですね」

佐藤がしみじみとそう言う。


「父さん、どこを狙うの?」

「ひとまずどこまで刃が通るか試す。

単純に皮の厚みまで倍になっていたら刃を通すのは大仕事だ」

「そっか、大きさが倍だからそう言うことも起きるのか」


「東!俺と子供達のナビゲートをしてくれ。

お前達、気になった攻撃は試すんだ。聞きたいことがあれば東に聞け」

まずは左前脚から攻めてみる。


「退いてくれ!」

走り出していた近接武器持ちを退かせて斬りつけてみる。


硬い。

出血まで行かない。

俺の剣でここまで効かないとなると他の連中は話にならないだろう。


他に「勇者の腕輪」を渡されている連中を見てみるが、VR端末のみんなは試行錯誤をしていて、先日センドウで助けた女性は光の盾を張りながら銃火器で攻撃をしている。


「東!一応聞くが同士討ちは無くなっているんだよな!?」

「ああ、今日から無くなっている」


「ツネノリ、どうだ!?」

「剣が刺さりもしないよ!」


くそっ


「千歳!」

「ちょっとやってみる!佐藤!盾張って!」


「はい!」

「イメージ!貫通弾!【アーティファクト】!」


そう言うとこの前の戦いで見せた頭サイズの丸い球を精製する。


「発射!【アーティファクト】!」

千歳が発射した光の球は高速でスーパービッグドラゴンに向けて飛んでいく。


いけるか!?


だが当たった球は貫通せずに深くめり込む程度にとどまる。


「なんで!?」

「皮が硬いんだ!」


千歳は思い通りにいかない結果にいら立っているのがわかる。


「なら次!イメージ!前回より貫通力を引き上げる!爆発槍!【アーティファクト】!」

次は刺さって爆発した槍を作る。

出来上がった槍は映像で見たものより先端が鋭い。


「発射!【アーティファクト】!」

高速で飛んだ槍は前脚から胴体に刺さって行く。

全てが中に入った所で千歳は爆発させるがあまり大きな傷を負わすことが出来ずに終わる。


「また!?うぅぅぅぅっ…」

「よくやった!狙えるものはあの傷を狙うんだ!」

俺の号令で銃火器を持った連中が傷口を狙うがとにかく的が小さい。


だが痛みはあるのだろう。

怒ったスーパービッグドラゴンは尻尾を振りかざして後ろ足にくっ付いていたプレイヤー達をなぎ倒す。


「ツネノリ!あの風の剣で足とか尻尾を切って!私は次を試す!!

佐藤!お姉さん!盾をしまって私と手を繋いで!!

お父さんは私の盾になって!」


試す!?

この状況で次があって試すと言うのか。


「わかった!」

俺は千歳の前で盾を張る。

…もしも俺に千歳のような独創性があればもっと何かが出来たのかもしれないなと思った。

ツネノリは尻尾に向けて走っている。


千歳は左手を出して佐藤君と女性プレイヤーと手を繋ぐ。

「直列!!イメージ…、イメージ…2人は電池…可能な限りの大きな槍。私の力は発射と爆発に回す」


直列?

まさか…

そんな事が出来るのか?


「出来た!【アーティファクト】!」


千歳の右腕には柱と言っても違和感のない太さと長さの爆発槍が出来ていた。


「やば、重すぎる!誰か支えて!」

そう言うと他のVRプレイヤーが千歳の腕を支える。


「ありがとう!重いからこのまま推進力を分けて!」

そう言って千歳は再度集中を始める。


「ツネノリ!千歳が狙えない!足を止めるんだ!」

前脚付近に近づいていたツネノリは長く伸ばした剣に風の力を纏わせて十字に切り込む。


切断とまでは行かなかったが鮮血が噴き出してきた。


「千歳!ツネノリが奴の足を止めたぞ!」

「集中…、加速…、カタパルト…!【アーティファクト】!!」


千歳の声に合わせて爆発槍はスーパービッグドラゴンに向けて飛んでいく。

太さ、速さ、貫通力、どれをとっても申し分がない。

爆発槍は左前脚の付け根部分にしっかりと刺さりスーパービッグドラゴンは身悶える。


「みんな逃げて!!」

逃げる!?

恐らく千歳のイメージする爆発力はとんでもないものなのだ。


「皆、爆発するぞ!距離を取るか伏せるかするんだ!」

その声に合わせて左前脚付近にいたプレイヤーが離れて行く。


「爆発!【アーティファクト】!!」

千歳の掛け声で俺の想像以上の爆発が起きる。


その音と衝撃はかなりの物だった。

落ち着いてからスーパービッグドラゴンを見ると左前脚は付け根から消失していた。


そのままその場に倒れ込むスーパービッグドラゴン。


そして千歳も力を使いすぎたのだろう。

その場に倒れ込む。


「千歳!」

俺は慌てて千歳を抱きかかえる。


「お父さん、ちょっと疲れた…」

「良くやった、少し休め」


そして俺は周りに居た連中に今が好機だから一斉に攻撃をするように指示を出す。


一斉に群がるプレイヤー達が思い思いにスーパービッグドラゴンに斬りかかる。


腕をやられてはどうする事も出来ないだろう。

時間はかかるがこれで勝てる。


俺はそう思ってホッとした。


だが、その考えは間違いだった。

スーパービッグドラゴンは左前脚の付け根付近を攻撃するプレイヤーに向けて火を吹いたのだ。


あまりの火力にプレイヤー達はあっという間に黒コゲになる。


その中で光の盾を張って防いだプレイヤーが居た。

それはツネノリと数人の初心者プレイヤーだった。


「ツネノリ!」

「俺は平気!次はどうするの!?」


「千歳は今の一撃でダウンしている。

次は俺達だ!」



どうするか、それが問題だ。

とりあえず次の火炎放射までに奴を何とかしない事には話にならない。


次の一手を悩んでいると普通にプレイをしている古参プレイヤー達が頭に向かって群がる。


手にはこん棒やハンマーを持っている。

別のプレイヤー達は尻尾に向かう。


「あんな訳わからない初心者やベテランに好き勝手させんな!俺たちが後は仕留めるぞ!!」

その掛け声で一斉に攻撃が始まる。


暫くすると「尻尾切れたぞ!」と言う声や、「火を吹く前に仕留めるぞ!」と聞こえてくる。


それは一言で言えば出番なしという奴だ。

俺はツネノリとVRプレイヤーを呼んで村の出入口まで後退をする。


「凄いね」

「ああ、古参プレイヤーは凄いな」


「どうなったの?」

千歳が起き上がって周りを見渡す。

「古参プレイヤー達が戦ってくれているよ」


尻尾を切られ、左前脚を失ったスーパービッグドラゴン。

このまま終わると誰もが思った所で動きがあった。


あの巨体で寝転がって奴から見て左側のプレイヤーを根こそぎ潰し、今度は右側のプレイヤーに火を吹きつけた。


勝ちムードは一気に無くなった。


そしてスーパービッグドラゴンはこちらを見て火を吹く用意をし始める。


マズい、俺たちの後ろには弓矢隊に銃火器隊と大砲隊が居る。

それ以上にタツキアの村がある。

ここは…プレイヤー達は知らないが現実の世界。

火がつけば家事になるし、村からの脱出が認められないスタッフ…住人が何人もいる。


「ツネノリ!アーティファクト砲で時間を稼いで!」

千歳がフラフラと立ち上がりながらそう声をかける。


「伊加利さん!」

佐藤が千歳の肩を貸す。


「ありがとう佐藤。ツネノリ!」

「ああ…やってみる」


ツネノリはそう言うと少し前に出てアーティファクト砲の構えに入る。


「お父さん、みんな力を貸して!」

千歳が俺達を呼ぶ。

今、千歳の周りには10人のVRプレイヤーと俺が居る。


「ひとまず防ぐ事だけしか出来ないから…。

お父さん…、もう一個だけ試すけど後はお願い…」

「千歳、無理をするな。やれるのか?」


「やるしかないって、今やらないとタツキアが無くなっちゃうよ」


その話の最中、スーパービッグドラゴンの咆哮が聞こえてくる。

ツネノリがアーティファクト砲を奴に当てていた。


「ツネノリはやってくれた。

次は私…、最後はお父さんと後ろのみんな」


そう言うと千歳は右手を俺の左腕と繋ぎ、左腕は10人のVRプレイヤーと纏めて手を繋ぐ。


「皆の力を使わせて。

お父さんはとにかく硬い盾を今張って」


俺たちは誰も千歳に異論を唱えない。

言われた通り手を出して盾を張る。


「イメージ…、皆から力を貰う。

イメージ…お父さんの盾を真似る。

硬さの情報はお父さん…」


ツネノリの攻撃で時間は稼げたが、スーパービッグドラゴンは火を吹く体制になっている。


「くるぞ千歳!」

「いける!盾!【アーティファクト】!!」


その声に合わせるように俺の盾にそっくりな盾が前方に居るツネノリの前に生成された。

ただその大きさはタツキアの村を全て守れる大きさだった。


その盾は奴の火ではびくともしなかった。


「そのまま!潰れて!!【アーティファクト】!」


千歳は盾を前に倒す。

盾で押し潰されたスーパービッグドラゴンは気絶をしたのか動かなくなった。


「みんな…ありがとう…」

千歳は息も絶えだえにそう言う。


千歳の左側にいるVRプレイヤーは皆座り込んでしまっている。


「お父さん…、もう一回使わせて。

多分…、私はそれでダウン。

後は後ろの皆とツネノリと戦って…」


「無理をするな」

「後…一回だから…平気…」


そう言うと千歳は右手に力を込める。


「イメージ…、回転力。

貫通力…

狙うのは胸から入って背中を貫通。

出来た…【アーティファクト】」


そう言う千歳は目の前に頭サイズで三角錐の弾丸のようなものを精製する。


「【アーティファクト】」

弱々しい声と裏腹に三角錐はスーパービッグドラゴンの胸めがけて高速で飛んで行く。


始めに撃った貫通弾と同じで奴の外皮を貫けずに皮で止まる。

そう思ったのだが旋回する三角錐は止まる事なく奴の身体を抉って行く。


「ドリルか!?」

俺は思わず声に出して千歳を見る。


「へへっ…、なかなかでしょ?」

「ああ…、本当に俺の子供は凄い」


「ありがとう…、お父さん…

お父さんの盾も凄いね。

でも手を繋いで感じたけど…

その盾はもっと硬くなる。

多分剣はもっと強くなるよ…」


そう言うと千歳は再度倒れる。


「佐藤君、後を任せても良いかな?」

「はい!」


「弓矢隊、銃火器隊、大砲隊!傷口めがけて一斉射!」


俺はそのまま奴に向けて走り出す。

千歳の言葉が俺の中にある。

俺の剣にさらに上がある。

この上がまだある。


千歳の言葉を、やり方を思い出す。

「イメージ…、更に強い剣。

あの程度の鱗をいとも簡単に圧倒できるだけの剣…」

頭の中に今まで以上の剣をイメージする。


「【アーティファクト】!」

確かに今までよりも強そうな剣が生まれたが、これが本当に強いのかはわからない。


「父さん!」

「ツネノリ!続け!!」


俺はジャンプついでに瞬間移動をする。

飛んだ先は千歳が開けた胸の穴、そこに剣を差し入れる。


「勇者の剣よ!切り裂けぇぇっ!!」

体重を乗せて下まで剣を振り抜く。


剣は多少鱗に引っ掛かったが鱗を切り裂くことに成功する。


「ツネノリ!剣を刺せ!その直後に可能な限り雷を流せ!」

「やってみるよ!!【アーティファクト】!」


ツネノリは長めの剣を作ると俺の切り裂いた部分から剣を刺し入れる。


「【アーティファクト】!!」

そして雷を流し込む。

これは以前、ツネノリの師をしたザンネの戦い方。

俺は伝聞でしか知らないが効果は絶大だと言っていた。


上手くいけばだいぶ奴は弱っただろう。

後は大砲隊達の攻撃で削っている所に焼き殺された一般プレイヤー達が復活してくれれば何とかなる。


そう思って振り返った俺は事態に絶望した。

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