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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利 常継の章⑥集団戦闘。
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第77話 ここまで来られたのはルル。お前が居たからだ。ありがとうな。

ゼロガーデンに行くと俺の横でルルが寝ていた。


ん?寝ているって事は…研究は最終段階なのか?


ツネジロウの記憶でも一緒に布団に入っている。

恐らく今出来る事は終わったのだろう。


やると言ったらやる。

有言実行に導くだけの実力と才能。

流石は俺の嫁さんだ。


疲れているだろう。

ゆっくり寝かしてやる。

その間に家の掃除と朝食の用意を済ます。


流石に何日も掃除をしていないだけあって家は汚い。

家の端にあるルルの部屋だけは近寄らない。

奈落の研究室に直結してあるとか何だとか言っていたが、ルルの研究室は汚いのだ。


20年前、俺が召喚をされた時、北海の使いに「片さないと婚期逃すぞ」と言われる程に汚いのだ。

初めて研究室に足を踏み入れた時には北海の使いが掃除をしていたから綺麗だったのでわからなかったが本当に完成形の研究室は汚かった。


アレを見ていたら結婚を躊躇したかも知れない。


なのでツネノリにも子供の頃から絶対に見るなと言い聞かせている。


余談だが、怖いもの見たさに研究室を覗いた9歳のツネノリが3日間ルルに近寄らなかった。


時計を見ると9時40分だった。

ルルは徹夜をして朝寝をする以外はどんなに疲れていても必ず10時に一度目覚める。

俺はそれに合わせて朝食の用意をしてお茶を淹れておく。


「ん…、来ておったか」

「ああ、おはよう」


「おはよう。掃除をしてくれたのか?済まんな」

「気にすんな」


そして朝食を食べながらゼロガーデンとセカンドガーデンを繋げる研究の進捗を聞く。

「なんだ、わかっていたのか?」

「東がな、で、どうだ?」


「やれる所まではやった。

後はツネツギがセカンドに行く時に持っていって貰えれば調整をする」

そう言ってルルはテーブルに球を置く。


「映像球?…通信球か?」

「ああ、ペック殿の意見を貰って合体させた。名づけるなら次元球かの?

これで私もそっちの状況が見えるし言葉も送れる。

まあ調整が必要だから当分は私からしか連絡出来ないがな。

それに多分だが非常に疲れるはずだ」

「疲れる?」


「時の流れが違うのだ、誰が何処でその帳尻を合わせるかだ」

「ああ、通話料みたいなものか…」


「通話料?なんだそれは?」

「向こうの世界の話だ。通信をする時に金がかかるんだよ。誰が払うかで通信する方がお金を払うって話だよ」


「ああ、そんな感じだな。とりあえずこれを持って行ってくれ」

「なんで3つあるんだ?」


「ツネツギとツネノリと千歳、それぞれに持って貰うんだ。よく見ろ小さく番号をつけてある、ツネツギが1、ツネノリが2、千歳が3になるように持ってくれ」

俺は次元球を見ると確かに小さく番号が振ってあった。


「そろそろ行くのか?」

「ああ、今日は次のイベント初日だからな。11時くらいには向こうに入ろうと思う」


「千歳はどうしておるかの?アーティファクトを無事に使いこなせたのならいいのだがな」

「んー、どうだろうな?まあ、本人的には良い感じみたいだけどな。今はツネノリの初恋を応援していい意味で引っ掻き回している。ツネノリはルルに似て奥手みたいだか…」








「何ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?

ツネノリに初恋!!?

早くないか?まだあの子は17だぞ!!」


「いや、普通はそのくらいだろう?」

「いや早い!」


「そりゃあ、お前が俺と付き合ったのはお前がよんじゅ…」

「私の年齢話はどうでもいい!!」

そう言ってルルが俺に蹴りを入れる。


「相手は何処の娘だ?」

「セカンドガーデンのタツキアって村で温泉宿をやっている家の娘さんだ、俺とも縁があっ…」


「セカンドガーデン!?それこそツネツギと私のように世界の壁が邪魔をしているではないか!!悲しい結末になるのが手に取るようにわかる。やめるべきだ!やめさせるべきだ!!」

「ルル!」


「しかも千歳はそれを応援?いい意味で引っ掻き回す?何を言っている?楽しんでいるだけではないか!?」


俺は半分混乱しているルルを抱き寄せる。


「ルル、落ち着け」

「落ち着けるか!」



「ああ、もう!」そう言って俺はルルにキスをして黙らせる。


「ルル、落ち着いて聞いてくれ。

千歳はそこまで馬鹿じゃない。ちゃんと考えている。

俺は東からログを貰った。その中でツネノリはちゃんとルルと同じ考えで身を引こうとしていたし、深入りしないようにしていた。

だが千歳が子供は子供らしくしたい事をしろと、考えるのは後にしろとツネノリを励ました。

そしてツネノリも葛藤の末に気持ちに向き合っている」


「…私と…同じ?」

ルルは潤んだ目で俺を見てそう呟く。


「そうだ、俺とルルの関係、俺達の苦悩や苦労を見ているツネノリはちゃんと考えていた」


「そうなのか…」

「ああそうだ。そしてまだ自分の気持ちがなんなのかもわかりかねている。相手の娘もそうだ。2人で健やかに前向きに気持ちに向き合っている。安心してくれ」


そこまで言ってようやくルルが落ち着く。


「だが千歳は何故そこまで入れ込むんだ?」

「ツネノリが本心を誤魔化して身を引くことが気持ち悪いんだろ?

千歳は直感に従って「気持ちいい」か「気持ち悪い」で判断をする癖があるからな。

そして多分2人が一緒に居る空気が気持ちよかったから応援しているんだ。

俺は千歳の父親だからな、考えくらいわかる」


「気持ちいい?」

「ああ、お似合いって事だ」


「だが、それで私達みたいになったらツネノリは傷つくぞ?相手の娘もだ。それにその結果を見た千歳だって」

「あ?ああ大丈夫。千歳はその先まで考えているよ」


「先…だと?」

「ああ、もし仮にセカンドの人間と結婚できないなんて言う話になったとしても千歳の事だ、東と北海…2人の神にそれこそ怒鳴り散らしてでも力を使わせて何とかするつもりでいるさ」


「神に?怒鳴りこむ?頼み込むんじゃなくて?」

「ああ、多分北海には「引き合わせたんだから責任取って何とかして!」と言うだろうし東には「この世界の神様でしょなんとかしてよ!」って言うぞ」


「ふっ、はははははは!!それは凄い!!私は千歳を見誤っていたようだ。思った以上に素晴らしい娘じゃないか!」

そう言ってルルは喜ぶ。


「それにこの先はツネノリと相手の娘が決める事だ。このまま自然消滅もあり得るからなその時は優しむ迎えてやろうぜ?」

「そうだな」


そうやって俺達は見つめ合って笑い合う。


「ツネノリが恋か…」

「ああ、早いな」


「落ち着いてみれば子供の成長は嬉しいな」

「ああ、まったくだ。ここまで来られたのはルル。お前が居たからだ。ありがとうな」

「私こそありがとう」


そしてもう一度ルルと抱き合う。

数分してから身体を離すと目の前のルルは優しい微笑みを浮かべている。


「では子供たちの為に頑張ってこい!」

「おう。あ、1個忘れてた。千歳だが随分と独創的なアーティファクトの使い方をするんだ。後で東に映像を見せて貰ってくれ。それで何か意見があれば教えてやってくれよ」


「わかった。では行ってこい」

「行ってくる!!」

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