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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
ツネノリの章⑥覚悟と好意。
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第74話 明日は何が何でもタツキアを…メリシアを守る。

風呂に入ると女湯の方からは子供と母親の声がする。

他の宿泊客だな。

そうか…、魔女の奴は明日ここが戦場になるってアナウンスをしていないんだ。

東さんもタツキアの人達には言ったと言っていたけど他の村や街の人には言っていないんだな。

だから宿泊客がいるのか…


まあ、人が居れば千歳が話しかけてくる事も無いだろう。

俺はさっきメリシアと2人で散歩をした時を思い出していた。


「明日、ここが魔物に襲われてしまうんですね。とても信じられません」

「ああ、俺も信じられない」


「ツネノリ様、無理はしないでくださいね。村はまたやり直せばいいんです。

でも命は一つしかないんですから無理に村を守ろうとして大怪我なんてしないでくださいね」


「ありがとう。だが俺はメリシアの住む場所を守りたいんだ。その為には出来る限りの無理をするよ」

「そんな、嬉しいですけどツネノリ様に何かあったら私…」


「明日は父さんも来る。千歳も居るし他のプレイヤーも居る。

だからそんなに無理はする事にはならないと思うよ」


「はい。私信じて待ちますね。明日の夜はどこに泊まられるんですか?」

「あ…」


「はい?」

「どうなるんだろう?倒した後は次の街や村に転送をされるのか?何も聞いていないから知らないんだ」


「じゃあ、明日もタツキアに居られるようだったらまたウチにお越しください」

「そうだね。迷惑じゃなかったらそうしたいな」


そして俺達は他愛もない話をする。

村の奥は少し小高い丘のような形状になっていて神社と言う神様を祀った場所があったのでそこまで歩く。


「ツネノリ様の場合は神様をお声がけ出来てしまうのであまり意味は無いのかもしれませんが」

メリシアはそう言うと神社で神様に向かって熱心に手を合わせて祈りを捧げてくれる。


「それは?」

「神様にお願い事をしました」


「お願い?東さんに?」


俺がそう言うと、「風情とかがなくなってしまいます。神様にツネノリ様の無事を祈願しました」と居ながらメリシアが頬を膨らませる。

とても可愛らしかった。

ゼロガーデンでは8月だったがこっちは12月、綺麗な冬晴れの日差しが彼女を照らし栗色の髪の毛が光り輝いて綺麗だった。


「綺麗だ…」

「ツネノリ様?」


「!!?俺は何か言っていたか?」

「え…、は…はい」


そう言ったメリシアが真っ赤になって俺を見る。

しまった、俺は思わず声に出してしまっていたようだ。


「すまない…何と言ったか教えてくれないか?」

「えぇっ…、き…綺麗と言ってました。

タツキアの景色の事でしょうか?」


慌てながらメリシアがそう言う。

いや、俺は…


ここで言うか言わないか悩んでしまう。

これが千歳なら当然のように言うのだろう。

俺は悩んでしまう。


それもまた良くなかった。

妙な沈黙が流れる。


「…ツネノリ様?」

「あ…、すまない…。その…。綺麗だったのはメリシアだ…。陽の光に照らされたメリシアの横顔がとても綺麗で思わず声に出ていた…」


そう言った俺は真っ赤だろう。

そしてメリシアも真っ赤になって俯く。


「す…すまない。変な事を言ってしまった。忘れて欲しい」

俺は慌てて取り繕う。


メリシアは走って売店に行くと何かを買って帰ってくる。


「これ、受け取ってください」

そう言って彼女が赤いモノを渡してくる。


「これは?」

「お守りです。必勝のお守りです。明日からの戦いでこのお守りがツネノリ様を守ってくれます」


メリシアは俺の為にお守りを買ってくれた。

それがありがたかったが、受け取っていいのか悩んでしまう。


「綺麗と言ってくれてありがとうございます。とても嬉しかったです。だからこれは受け取ってください。そして無事にまた帰ってきてください」

そう言って彼女が半ば強引に俺にお守りを渡してくる。


「ありがとう。これできっと勝つよ」

「はい」


そう言ったメリシアは真っ赤な顔で嬉しそうに俺を見る。

俺も彼女に何かをしたいのだが思い当たるものが…あった。


「メリシア、昨日預けた回復のアーティファクトだが」

「はい、これですよね?」

そう言って彼女はそれを見せてくる。

母さんが俺と千歳に持たせてくれた人工アーティファクト。

本当は俺が持つべきなのだろう。だが初日の分と今回の分で手元には3個ある。


「必ず返してもらいに来る。それまで預かっていてくれないか?」

「え?」


「もし明日の戦いで怪我をしたら遠慮なく使ってくれ。とにかくメリシアに持っていて貰いたい」

「いいんですか?これがないと戦いが大変になったり」


「大丈夫、それは3つあるから。1個はメリシアに持っていて貰いたいんだ」


暫く考えこんだ彼女は俺を見て「はい。お借りします。かならず返しますから来てくださいね。怪我とかしていたら私が治しますね」と言ってくれた。


これで十分だ。

俺はそう思ったし彼女もそう思ったと思う。


時計を見ると時間は午後4時まであと少しだった。

「やだ、休憩終わっちゃう。帰らなきゃ。ツネノリ様はタツキア観光をお楽しみくださいねー」と言ってメリシアは走って行ってしまった。


「ふふ、お兄様」

魔女の声がする。


「千歳様は今カフェでお茶しているからいらっしゃい。入り口で東の名前を出せば案内してもらえるわよ」


俺はその声に従ってカフェに行って千歳と合流した。



「明日は何が何でもタツキアを…メリシアを守る」

そう思って俺は風呂を出た。

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