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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
ツネノリの章⑤運命の出会い。
65/339

第65話 天才って本当に居るんだな。

スタッフカウンターに行くと前に聞いていた通り「ハツヤ」が居た。


ハツヤは俺達にこの辺りで修行するならとこの辺り限定で出現するお勧めの魔物を教えてくれた。


霜降り狼。

ランク4で出てくるビッグウルフよりは弱いものの、狼の動きを学ぶには丁度いいらしい。


俺達は感謝をしてから宿屋に行く。

宿屋は「温泉宿」と言うらしく千歳が「日本みたい!」と喜んでいた。

中に入ると受付の女の子が出てきた。

女の子は俺達と同い年くらいだろう。


「お客様ですね。おはようございます。

…あれ!?神様と勇者様の紹介にあったお2人ですか!?」


女の子は目をキラキラとさせながら俺と千歳を見る。


「そうなるのかな?お父さん…勇者様って呼ばれてて違和感あるよねツネノリ」


「勇者様は立派な方ですよ!こよタツキアにもよく通ってくださってこの村を立派にする為に知恵を沢山くださりました。

あなた様がツネノリ様ですね。

そうするとあなた様が千歳様」


「ああ」

「ええ」


「はじめまして、私はメリシアと言います!

よろしくお願いします!!」


メリシアは俺達をキラキラとした目で見て挨拶をしてきた。


俺達は、今晩はここで世話になりたい話をするとメリシアは「喜んで!」と言って一番良い部屋に通してくれた。

その部屋はとても俺達には申し訳ない美しさだった。

「改めまして、当旅館のご利用ありがとうございます」

メリシアが再度挨拶をしてくる。


「こちらこそ!よろしくお願いします!」

何故か千歳が硬くなってしまっている。


「今日はこのままお部屋にいらっしゃいますか?」

「いや、今日はタツキアで魔物退治をしてくるつもりだ」


「かしこまりました。それではお戻りの際には玄関で私に一言申し付けてください」


そして俺達はメリシアに見送られながら宿を後にしてタツキアの平原にきた。

千歳にはとりあえず指輪でアーティファクトを試すように伝えて俺達は少し離れた所で別行動を取ることにした。


俺は魔女に貰った映像を見る。

モニターに映った姿はショートソードを構えた女の人。


俺はショートソードを意識して剣を生成する。


イメージ通りの剣が作れたが、柄の装飾とか要らないところまで似た気がする。


俺はそのまま映像の動きをなぞるように意識して剣を振るう。


本当に昔何処かで振るったことのあるような自然な動きができる。


少しした頃、千歳が「ツネノリー!魔物連れてきた!」と言ってハツヤの言っていた霜降り狼を三匹連れてきた。

霜降り狼は独特の動きをしたが所詮はランク1。俺は簡単に斬り伏せた。


「流れるみたいな動きで綺麗!」

千歳がそう評価してくれる。


「千歳の方はどうだ?」


「ツネノリ…、これ身体に合わないと静電気が起きるのなんで言ってくれないの?」


「え?そうなの?」

…そんな事俺は聞いていなかったので俺が驚いてしまう。


「そっか…ツネノリは全てのアーティファクトを使えるから知らないんだ…。

これ、自分に合ってないと凄く痛いんだよ。

火と雷はダメだったけど、風は使えたからそこでやめたんだ」


風か…、風の力で高速移動が可能になったり、風圧で物を動かせる事を説明する。


「あれ?ツネノリって風の剣でズバッて斬ってたよね。あれ、私にも出来るかな?」


「どうだろうな?

あの使い方が正しいのかも俺にはわからない…。母さんが居れば指南が受けられるのだがな…」


「お父さんってアーティファクト使えないんだっけ?」

「ああ、腕輪を装備しているから装備出来ないらしい」


「そっかー、じゃあまた私は向こうで練習してて魔物が出てきたら連れてくるね!」

そう言って千歳はまた離れていく。


別に千歳が倒してもいいのだが…


俺は次の映像に切り替える。

次はロングソードだ。

俺はイメージ通りにロングソードを出す。


映像は見たことない映像になっていて、ショートソードを持った先程の女性と戦っている所で、雄々しい戦い方でショートソードを砕いていた。


「俺に出来るのか?」

目の前にあった大木を狙って動きを真似る。

腰に力を入れて、立ち止まるのではなく、でも舞うのではなく…なんと言えばいいのだろう。重く強くしなやかに動く。

俺はそれを意識して木の周りを回りながら切り付けていく。


確かに敵が欲しくなる。

そう思っていると千歳が「お待たせ!」と言いながら羊の魔物を連れてくる。

ありがたく倒させてもらう。


「へへ、役に立った?」

「ああ、千歳は倒さないのか?」


「あはは…いや…、その羊も最後の一匹だったの。

本当は五匹居て、風と光の腕輪を混ぜた技を使ったら威力が強すぎて…」

そう言うことか…


「さっきの狼は?」

「あれはちゃんと半分持ってきたよ!」


そうするとまた千歳は離れていく。


よし、いよいよ突剣を試そう。

昨日の俺は使わなかった突剣…、それは使えないからか、それとも別の理由なのか…

モニターに映った人が師匠。


その人をイメージして剣を生成してみる。

すぐに細身の剣が作られた。


そしてモニターの映像は先程のロングソードを振るっていた人と師匠の戦いだった。

とても目で追えない速度で打ち合っている2人の姿に思わず俺は見入ってしまった。


「こんな凄い人が俺の師匠…」

夢で見たあの人を思いながら俺は突剣を出して身構える。


基本動作は後回しだ。

さっきのロングソードと剣を打ち合った時の速さをイメージする。

一瞬で何回も突くあの動作。

あれを俺自身が再現する。


それを意識しながら剣を振るう。

俺の身体が不調だからか、実力不足なのか半分の速度も出ていない気がした。


それでも連続して突きを放つ。

自分の身体にこんなしなやかさがあったのかと驚いてしまうが、突きを放つ事は出来ている。

後は速さと一瞬に出せる回数だ。


「速く…速く…」


一瞬、ズルだが見てみたくなったので時のアーティファクトで速度上昇をして突きを放つ。

これで映像の中の師匠にようやく追いついた感じがした。


「天才って本当に居るんだな」

思わずそう呟いてしまう。



「ツネノリーーー!!!熊だよ熊!!!」

そう言って走ってきた千歳の後ろにはビッグベアが居た。


「千歳!大丈夫か!?」

「一匹はやっつけたけど、怒ったもう一匹が来たからツネノリにあげる!!」


そう言って千歳は俺の横を通り過ぎていく。


この体調でビッグベアか…

倒せない相手ではないが苦労しそうな気がした。


しかも疲れている時は判断力が低下して余計な考えが浮かんでくる。

俺は剣に炎を纏わせて突きを放つ。


一瞬で5か所に刺し傷が出来る。

ビッグベアは痛みに一瞬退いたがすぐにコチラに向かってくる。


「それならこれだ!!【アーティファクト】!」

俺は両手の炎を水に変えて突く。


「【アーティファクト】!」

次は雷!

昨日、千歳の戦い方を見ていて参考にした。

水と雷の組み合わせ。

効果があったようでビッグベアが退く。


逃がしはしない!!


「【アーティファクト】!」

次は氷、切り口から凍傷が広がっていく。


「【アーティファクト】!」

最後は風、右手の剣には小さな竜巻のような風を纏わせて一撃が何回も敵を斬るようにする。


そして左腕は昨日の戦い方をイメージして切れ味を上げるような、突いた先から大きく爆ぜるようにイメージして突きを放つ。


ビッグベアの胸に大きな穴が開いた所でビッグベアは倒れた。



千歳が俺の元に駆け寄ってきて「凄いじゃん!!今の遠くで見ていたら色んな色になって凄かったよ!!」と話してくる。


俺は「そうか?」と言いたかったのだが、多分力を使いすぎたのだろう…そのまま倒れこんでしまう。


遠くで千歳の「ツネノリ!?大丈夫!!」と言う声が聞こえていた。

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