第56話 フォローは俺がするから思い通りに戦ってくれ。
「ツネノリ、出来るだけ大人数を橋に引き込みたいの」
「ああ、わかった…」
また千歳は何かを試すようだ。
50人のうち30人ちょっとが乗ったと思う。
「続いて2個目!!」
そのタイミングで千歳が右腕を構える。
「イメージ…、鎖…鎖…輪っかと輪っかが重なるイメージ……」
「【アーティファクト】!!」
今度は千歳の右腕に人の頭よりもっと大きな球体が出てきた。
「ツネノリ、巻き込まれないように注意して!」
「何!?」
そう言うと千歳は「いっけー!!」と言って横振りで球体を投げる。
大暴投だ…これはまずい。
プレイヤーたちも千歳を見てヘラヘラと馬鹿にしている。
「今だ!!」
千歳がそう言うと、球体と手の間に光の鎖が出来上がる。
「うわ、予定よりちょっと短い!?
でもいいや!!いけー!!」
そう言って千歳は球体を振り回す。
「鉄球?」
あれは光の鉄球なのか?
千歳が振りかぶった鉄球は20人くらいに当たって橋から落ちて水没していく。
「ツネノリ!水に向かって雷の奴!!」
「何!?【アーティファクト】!」
俺はとっさに言われた通りアーティファクト砲を水に向かって打ち込む。
水没していたプレイヤーは悲鳴を上げて絶命していた。
「予定より少ないけど一網打尽!!」
そう言って千歳が喜ぶ。
「さ、残りは普通に倒しちゃおう!!」
「あ、ああ」
光の剣と光の拳であっという間に残りの敵を倒す。
「ツネノリ、水に落として雷作戦も中々いい感じだったね」
「ああ」
…千歳は満足そうにしている。
「まだ何か考えているのか?」
「ちょっと考えていたんだけど、残酷だからやめとく」
残酷?
何を考えていたんだろう。
今度聞いて見ようと思う。
父さんの方を見ると無事に50人を倒していた。
これで300人。
残りは500人か…。
あまりにも快勝だったことが魔女の逆鱗に触れたのだろう。
「はいはーい。こっちの出し方を変更するわねー」と言って魔女が再度現れた。
そしてとんでもない事を言って去っていく。
「次は同時に100人ずつ、計200人を一斉に出すの。
悪いけど休ませてなんてあげないんだから。時間は5分後よー」
同時に100人…
これは正直きついと思う。
「父さん!!」
「こっちは何とかする。お前たちは無理をするな!!」
父さんがそう言って励ましてくれる。
今度は千歳が父さんに声をかける。
「お父さん!!」
「何だ!?」
「先に謝っておく!ごめんね!!」
「何!?」
そう言うと千歳が俺を見る。
「予定変更。残酷なのとか沢山やる。
ごめんね。妹が変な事をして」
「いや…別に…」
「勝手に残酷な事をして勝手にうなされても優しくしてくれる?」
「あ…ああ、勿論だ」
何をするつもりなのだろう、少し不安にはなるが俺は妹を信じる。
「ありがとう」
そう言って千歳は笑う。
「作戦ね。私が一気に2個試すから。
2個目の時に言うから雷を頂戴。
それでうまく行けば敵はかなり少なくなるから、そうしたら私かツネノリがお父さんをフォローしに行くの。いいでしょ?」
「わかった」
仮にダメだった時はこのままで戦うしかないだろう。
「千歳、フォローは俺がするから思い通りに戦ってくれ」
「うん、ありがとうツネノリ」
そして千歳は右手を前に出して構えを取った。




