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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利千歳の章③殺人と正当防衛と復讐。
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第45話 それって佐藤がヤバくない?

スタッフカウンターで聞いた話は他言無用と言われたが誰にも言えないと思ったのだけどあえて言わなかった。


「とりあえずフナシ山に行こう」とツネノリが言い出したので行く事にした。


今日からは魔物の他に人間からの攻撃に備えなければならない。

街の出入口で後ろから声がかかった。

トビーとイクだ。

「おはようございます」と私から挨拶をする。

空気で何となくわかるが、ツネノリは2人の事も疑ってかかっている。


「これから山ですか?」

「ええ」


「なんか新しいアイコンが表示されていて…怪我アイコンなのかな?なんか街の冒険者の頭にはみんな付いてますね。

VRだとどう見えるんですか?」

「みんな結構な大怪我ですよ」


「心配ですね。

向こうの世界でも騒ぎになっていましたよ」


話が出回るのも時間の問題と言うことか…


山には他のプレイヤーが居ないので嫌な言い方だが、私達の貸切状態になっていて、中々のハイペースで羊やホルタウロス、後は狼の魔物も倒した。


迂闊だったのはランク3になるのに必要なポイントが100ではなく200ポイントだった事。

ランクアップ!と思った時に肩透かしを喰らうのは結構心が痛い。


昼ご飯を食べたくなったのでトビーとイクに断って私達は一度街に帰ることにした。

トビー達には空腹が無いので「また午後に会えたら」と言う話になった。


山を降りる時、ツネノリからはあまり人と一緒に戦わずに2人で何とかしようと持ちかけられた。

私も後ろから殺されては堪らないので了解したが、自然に断れない時は仕方ないと言う話もしておいた。



昼食は昨日の洋食屋さんでミックスフライの定食とハンバーグの定食にした。

半分こを持ちかけたらツネノリは快く受け入れてくれて、なんだか父さんと食事に行った時の気持ちになった。


昼食後、山を目指して居ると「伊加利さん!」と声をかけられ、振り返った私の前には佐藤が居た。


「伊加利さんもフナシに来ていたんですね?」

「えっと、コロセウムの…」


「あ、佐藤です。さっき、ようやくランクアップしたら運営からもう少し魔物の強い場所に送るって連絡が入って気付いたらスタッフカウンターに居ました!」


そう言って話しかけてきた佐藤を適当にあしらってフナシ山を目指したかったのだが、「一緒に連れて行ってください!!」と言ってきた。


ツネノリは非常に迷惑そうな顔をしていたが、ハッキリとした断りの理由が無い以上、致し方なく連れて行く事にした。


先に結論から言えば、佐藤は大した役に立たず、羊にもホルタウロスにもいいように殺されていた。


途中からまたトビー達が来てくれたので5人で魔物を倒す事になった。

かなりの魔物を倒せたので、私とツネノリはランク5にあと少しと言うところで佐藤は4になれた所だった。

トビーとイクのランクを聞いてみたら、私たちとほぼ同じでランク5にさっきなった所だと教えてくれた。


夕方6時になる頃、トビーとイクが「ごめん、タイムアウトだ」と言ってきた。

朝会ってからもう9時間が過ぎたのか…

そう言えば佐藤のタイムアウトは何時だろう?

聞いてみると通常は夜9時なのだが、さっき運営から連絡が来て初心者はで延長夜中の3時頃だと言う。


キリが良いので私達は一度フナシの街に戻って解散する話にした。

街に着くなり、トビーとイクはタイムアウトだったのか、昨日みたいに何も言わずにスタッフカウンターに向かう。

私達はそれを見送ったら洋食屋で夕飯を食べる事にする。

佐藤はとにかく怪我が多いので回復のアイテムを補充してもう一度フナシ山に向かうプレイヤーに一緒に連れて行ってくれと頼むと言っていた。


スタッフカウンターでトビーとイクを見送った私達と別れた佐藤は早速4人組のプレイヤーに同行をお願いしていた。


「千歳…あの佐藤といる4人」

「あっ、見た事がある!」

あの4人組は昨日トビー達と最初に居た大砲使いだった。


「あの4人と佐藤では連携は無理だろう…」

ツネノリが佐藤の心配をしている。

なんだかんだ言ってツネノリは思いやりがあって優しい。


「あの…」

小さな声で誰かが私たちを呼ぶ。

振り返るとスタッフカウンターのスタッフさんで、よく見ると朝私達に説明をしてくれた人だった。


「どうされましたか?」

「あの4人、おかしいんです。

一晩でランクが5から10になってて…」


「え?」

「多分ですが、一晩中プレイヤーさん達を殺して回ったのはあの人達だと思います」


「それって佐藤がヤバくない?」

私はツネノリの顔を見る。


「マズいな…、間違いなく佐藤は3時まで何回も殺される。7時から始まったとしても16回…。

佐藤はランク4。

一度殺せば300のポイント…

今のホルタウロス50匹分だ…。


すまない!こんなことを聞いて良いのかわからない。

答えられないなら無理と言って欲しい。

あの4人がこちらに来たのは何時だ?」


「え…」

「答えられないのか!?」


「い…いえ…、今見ます。

あの4人は今入ってきたばかりなので、夜中の3時まではタイムアウトしません」


「また夜中までかけて殺人を繰り返すつもりだ」

「止めなきゃ!」


「だが今止めに行っても証拠が無い。少し後に行って佐藤を狙う瞬間を止めなけらばならない」

「現行犯ってこと?難しい…」


とりあえず佐藤はこの後薬を買うと言っていたので私達は先に夕食を済ます事にした。

後、スタッフの人に宿って最後は何時に入れば間に合うのかを聞いた。


「宿?ああ勇者様のお身内なら夜中でも平気だと思いますよ。皆顔は知っていますから」

それなら夜中に戻ってきて寝てもいい。

とりあえず今はあの4人を止めて1人でも多くの人を救おう。

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