第332話 凄い忍耐力だ。
「ビリンの後では見劣りするかな?」
「いいさ、僕達は一撃ずつで終わりにしよう」
そう言ってアニスが「太陽の剣」を構える。
だが今は夕方だ。
日没に近づく度に剣の威力は落ち込んでいく。
「たまたまウエストに来ていたザンネさんに教わった力の出し方!太陽が遠ければ僕が太陽に近づく!【アーティファクト】!
そしてガクさんとアーイさんに教えてもらった剣技!
食らえ変態!!」
そう言うと「太陽の剣」は真夏日に放つような輝きになり覗き変態趣味の神を切り裂く。
ザンネ達には追いつかないが子供達の中では抜群の切れ味だ。
「まあまあかな…もう一撃あればザンネさんに近づけるかもな。でもいいや。ヤグル、交代だ」
「アニス兄様は凄いな。
僕なんて防御専門だからそこまでの攻撃はできないや」
そう言いながらヤグルが前進をして覗き変態趣味の神に手を伸ばす。
伸ばした手は何もしないで切れて行く。
「これか、この身体の周りを走る風のようなもの、これが怪我をさせる原因、剣を刃こぼれさせる原因か…。じゃあ僕はその力で攻撃をするよ。「紫水晶の鎧」!【アーティファクト】!!」
ヤグルが力を使った途端に覗き変態趣味の神は全身に傷を作って行く。
「おい、ヤグルの奴は何をしたんだ?」
僕の横でガミガミ爺さんが驚いている。
「チトセだ…、チトセの真似を小規模の中でやったんだ…。ガミガミ爺さんも神殿でチトセがムラサキさんを意識して光の檻を作ったのを見たよね?ヤグルはそれを真似したんだ…」
「するってぇと、アイツが怪我をしたのは…」
「そう、自分の力が跳ね返ってきて傷を負っているんだ。
でも十分にえげつないよ。
こちらはアーティファクトの発動のみで攻撃は全て相手持ちなんだ」
ヤグルは全身くまなく傷付くまで攻撃をやめない。
「チトセさんか負った心の傷のほんの一部くらいにはなったかな?
まあ傷だらけだから僕はここまでにしよう」
そう言ってその場を離れる。
次はマリクとリンカだ。
「神様、ジョマ…」
「ソイツの傷を治して。本気で撃ち込みたい」
「わかったわ」と言ってジョマが傷を治す。
「よし、まずはどうする?」
「最初は遠距離から、行くよマリク」
「「【アーティファクト】」」
「俺が右」
「私が左」
そう言うと2人が「風の弾丸」で覗き変態趣味の神を撃つ。
「傷は付くけど、距離で軽減が入るのかな?」
「うん…予想より傷付かないね」
「次を試そう。リンカ、穴埋めよろしく」
「うん、好きに乱れて。私がフォローする」
「左手の「風の弾丸」行くよ。【アーティファクト】」
そう言って前進したマリクが攻撃を放つ。
近付いたからダメージが通るとかそう言う感じではなく相性の問題になるだろう。
「想定内。私がマリクに合わせる!」
リンカがマリクの狙った部分に弾を重ねるとその弾は覗き変態趣味の神に直撃する。
「多分、ガイさんの「護りの腕輪」と同じ、許容範囲を超えてしまえばダメージが通る。
リンカ!肉弾戦も混ぜる!更に合わせて!」
「了解!全力を出して!私がどこまでも追い付く!」
マリクの動きが更に加速をする。
そのまま手が傷つく事を恐れずにマリクが覗き変態趣味の神を殴りつけてそこをリンカが合わせる。
「チトセさん!守るから!俺達がこんな奴から守るから!悲しい顔をしないで!コイツを殺してソレを証明してみせるから!」
「私も守る。マリクが戦うのなら私も守る。安心してね」
「「全弾発射!!」」
マリクの殴りながら撃ち込む攻撃にリンカが合わせて攻撃をする。
暫く撃ち込んでみたが命に届く気配はない。
「今はまだここまでか」
「帰ったら修行しよう」
そう言って離れると「やっと私たちの番だね!行こうカムカ!」「おう!」と言ってカムカとマリオンが前に出る。
「ねぇ、私にも空中換装してよ」
「いいよ」
僕はそう言うと飛び跳ねたマリオンに全身鎧を装着させる。
「メリシアは?」
「お願いします」
メリシアにも鎧を装着させる。
「便利だね〜」
「ありがとうございます」
マリオンはいそいそとカムカの前に戻る。
「お待たせ」
「おうよ、やるぜ?」
今まで笑っていたカムカの顔が怖くなる。
「お前、これからが本当の地獄だからな。
よくも俺達の娘を辱めたな」
「うん、許さない」
「唸れ筋肉!【アーティファクト】!」
腕に炎を乗せたカムカの攻撃は簡単に覗き変態趣味の神を痛めつける。
「マリオン!反対側に回れ!」
「やるよ!タイミング!!…【アーティファクト】」
マリオンの放ったアーティファクト砲に合わせてカムカが大振りの一撃を喰らわせる。
「うおらぁ!」
覗き変態趣味の神はカムカの攻撃とマリオンの攻撃に挟まれた形になる。
「そのまま次行くよ!」
マリオンが飛んで斬りかかる。
「ダメです。殺してしまいます!」
そう言ったジョマがマリオンを止める。
「え?もう?抑えたよ?それにまだ50個くらい試したいのに!!」
「ふふ、ダメです」
「えぇ〜、楽しくない〜」
マリオンがカブトを脱いで頬を膨らませて不貞腐れる。
「まあ仕方ないって、それよりも順番を譲ってやろうぜ?ずっと待っている奴がいるだろ?」
「…そうだね」
マリオンは仕方ないと一息ついて笑う。
「ほらよツネノリ。待たせたな」
ツネノリはずっとこの状況で黙って待っていた。
凄い忍耐力だ。
僕なら割り込んで独り占めしている。




