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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利 常継、伊加利 千明の章①結婚までの道のり。
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第32話 私、全部知りました。

そして私は覚悟のほどを再度東さんに問われた。

「僕は一晩考えたよ。この資料を春日井さんに見せてあげるのが最善だと思った。

春日井さん…守秘義務って奴だよ。

この中の事をこの先死ぬまで誰にも言わないと言うのならこの記録を見せてあげるよ。

これが僕から出来る協力だ。後の事はその時に伝えるよ」

そう言って東さんは分厚い資料を一冊出してきた。

読むときはこの開発室で伊加利副部長がガーデンに行っている間と言う条件が付いていたが私は資料を借り受けた。



「これは真実だよ。これを疑うのなら春日井さんは常継と付き合う資格は無い」

そう言った東部長の顔はとても怖いものだった。


そして主だった仕事を片付けた私は主人が戻ってくるまでの間に資料を読む。

その中には物語になったガーデン…ゼロガーデンでの事が書いてあった。


話の始まりはイーストと呼ばれた国に勇者として主人が妹さん…御代さんと召喚をされた所で、御代さんは毒を盛られて命の危機に瀕する。

御代さんを救うため、日本に帰るために主人は奈落と呼ばれる迷宮に挑む。

途中、仲間を得た主人は仲間のおかげで御代さんの毒を直すことが出来た。

その後は日本に帰るために先を進む主人の前に地下15階での出会いがあった。

実年齢は40代後半だが、研究によって19歳の身体になっていたルルと言う女性との出会い。

そして奈落の最下層で「創世の光」と言うアーティファクトを回収する。

仲間の裏切り、裏切りの真意。裏切りを引き起こした理由と原因、「あの女」の存在。

地上に帰ると「あの女」に御代さんは攫われていて、仲間達と一緒にあの女…魔女を撃退する。

撃退をする際にルルさんは主人をパートナーに選ぶ。

仲間たちが時間を稼いで、主人とルルさんが2人がかりで「創世の光」を放つ。

その部分に読んでいて胸が痛くなった。


その後、当初の目的だった「創世の光」を回収した事で御代さんは日本に帰れて、主人だけはゼロガーデンに取り残されることになる。


仲間達との日々でその先の戦いも乗り越えた主人は約2年後にルルさんと結婚をした。

名目は日本に帰る為に色々なものを試すと言うものであったが、ルルさんの気持ちを知っていた主人。そして日本に帰る日が来る主人がルルさんと結ばれると言う事への葛藤。

そんなものが書き綴られていて読むたびに心が痛んだ。


結婚後、最終決戦があった。

特殊な力を使えなくされた世界中の人たちを救うために主人たちは世界の中心にある神殿に向かっていた。

神殿でのビッグベアと言う魔物の足止めを一人引き受けた主人。

泣いて止めるルルさん。

そんなルルさんに「一緒に死ぬか?」と声をかける主人と「死なせて」と言って泣くルルさん。


ここを読んだときに私は敗北を感じていた。

主人とルルさんの絆は本物だと痛感した。


その後、神様…東さんが世界に降り立って事態は収束する。

驚異の無くなった世界で、主人とルルさんは神様から世界を救った事、手違いでガーデンに召喚してしまった事へのお詫びとしていくつかのモノを受け取っていた。


主人は日本での立場と日本とガーデンを行き来できる許可。

ガーデンを守るためにガーデンで暮らす事が日本での自分の仕事になると言う事を知った。


ルルさんは主人が日本に帰ってきている間に寂しくないように、ツネジロウと言うもう一人の主人を頂いて、時間の流れが違うガーデンと日本の流れを同じにして貰っていた。

東さんとルルさんの会話も読んだ。

その中にはルルさんの覚悟と主人への愛情がハッキリと読み取れた。


その後、ツネノリくんが産まれて平和な日々を過ごしている事が書き綴られていたのを最後まで読んだ。

主人の活躍もあって成功をしたファーストガーデンは大ヒットとなり。

今に至っていた。


「読みました」

「早いね」

そう言って東さんは微笑みながら返した資料を受け取ってくれる。


「私、読書は好きなので読むのも早いんです」

「それで?どう思った?妄想とか作り話で自分を誤魔化すかい?」


私はそんな事はしない。


「東部長は真実だと言っていました。だから真実だと思っています。」

「そう、それで…、どうして常継が君の申し出を断ったかは理解できたかな?」


「はい」

それはそうだ、向こうの世界に妻子が居て、あれだけの愛情で繋がって居れば私の入り込む余地なんてどこにもない。


私はここまでの話を千歳とツネノリくんにする。

ツネノリくんはある程度を聞き及んでいたのだろう。

驚くことなく聞いていて、ルルさんと主人の絆を2人以外の人間から聞けて顔は嬉しそうだ。


「…わかんない」

だが千歳は困惑をしている。


「千歳?」

「だってお父さんとこっちの世界での奥さんは深く愛し合っていて、子供も生まれていて幸せなのに何でお母さんと結婚をして私が居るの?」


「そうよね、千歳の疑問ももっともだわ。じゃあ続きを話すわね」



その後、東部長との話は続いた。

私は一つの疑問があったのでそれを東部長にぶつける事にした。

と、言うか…本当に神様なら私の考えはわかっているだろう。

それでも私が聞くのを待ってくれている。


「東部長、部長の真意を教えてください。

この資料は私を諦めさせるためのものですか?それ以外のものですか?」

そう、読み終わって最初は諦めさせるために渡してきたのだと思ったのだ。

だが段々と、もしかしたらと思うようになっていた。


「春日井さん、僕は君がこれを読んでもなお、先日言った「こちらの世界で一人ぼっちの伊加利副部長の支えになります」という言葉が本当なら付き合う事も悪いものではないのではないかと思ったんだ」


「え?」


「多分、身体ごとガーデンに行けるのであれば、今の常継はコチラでの全てを捨ててガーデンに住むと思う。

だが、常継には伝えていないがそれは出来ないんだ。

常継が最初に願ったのは日本に帰ると言う事だ。

もしもあの時の願いが、日本に帰るではなくガーデンに住みたいだったら、僕は地球の神様に許可を貰って常継を僕の世界に迎え入れた。だが今更願いの変更は出来ない。

だからどうしてもコチラでの生活は必要になる。

食事も睡眠も住むところも全部必要になる。

今の常継にはガーデンが自分の世界で、コチラがひとりぼっちの世界なんだ。

春日井さんが全てを知ってそれでも常継の支えになってくれるのならと思って僕はその資料を渡した」


そういう事だったのか、あの時からテストは始まっていて、最初の一次試験は突破出来ていた。そして今は二次試験なんだ。


「私は…もう一度きちんと伊加利副部長と話がしたいです」

「それが良いかもしれない。もうすぐ常継が戻るからそうしたら話をしてみてくれ」


「はい!」

そして数分後、戻ってきた伊加利副部長に向かって私はこう言った。



「私、全部知りました。東部長に教えて貰いました」と…

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