第28話 お久しぶりです。
うちの人、伊加利 常継が娘の為にセカンドガーデンに行くと言っていた。
私としても何か出来ないものかと思っているとリビングに突然人が現れた。
この人は東 京太郎さん。
主人の上司にあたる部長さんで、実際にはガーデンを作った神様だ。
「千明、いきなりで済まない」
「いえ、お久しぶりです」
「そうだね、同じ社内に居ても僕たちは会わないからね」
東さんは私と主人が被らないように調整をしてくれている。
そうなると必然的に主人と組んでいる東さんとの接点も無くなってしまうのだ。
主人の仕事は東さんが神としてサーバー内に作った世界、ガーデンを支える仕事。
ガーデンの中に居る人達は決して仮想現実の人達ではなく、実際に生きている。
主人はその命を守るとても素晴らしい仕事をしている。
そして、ガーデンの中に主人は別の家庭を持っている。
私はその事を知っていて交際を申し込んだ。
主人は悩んでくれた。
そしてガーデンに居る奥様と主人と私の3人で話しをした。
ガーデンの奥様、ルルさんはとても理解を示してくれて主人に私との交際を賛成してくれて後押ししてくれた。
結婚と同時に退職をしようとした私に東さんは特別枠で残る事を提案してくれた。
ガーデンの人々が本当の人間と知った私、主人と結ばれた私にしか出来ない事があるからと私を会社に残してくれた。
その仕事はガーデンに行って生活をして女性の目線で不便が無いかを確かめる事だ。
キチンとガーデンの人々が本当の人間と知っている人間の体験は大事だと言われた。
それでも主人は私がガーデンに行っているのを見れば色々と気にするだろうと言う東さんの気遣いで主人がガーデンに行っていたり外回りをしたりして会社に居ない時間帯に行けるようにしてくれている。
それなので私達は接点がない。
「早速」と東さんが言ってPCの前で眠っている千歳に手をかざす。
「これで良し」
「ありがとうございます」
「千明は何も聞かずに礼を言うよね」
「はい、東さんのしてくれる事は本当に私たちの為になりますから」
「ふふ、それはありがとう。
今やったのは千歳の身体とガーデンの身体を都合よくつなげたんだ。
常継は千明に言い忘れていたけど、千歳がガーデンに囚われるのはイベント終了まで、大体一週間だ。
その一週間をずっとこのままにしておくのは何かと危険だ。
だから身体を繋げることにしたよ」
そう言って千歳の身体を抱きかかえて部屋まで連れて行って布団に寝かせてくれる。
「食事、トイレ、睡眠はガーデンの千歳に任せる事でこっちの千歳がトイレに行かなくても、食事をしなくても平気にしたよ。
そしてガーデンでの傷はガーデンだけの事にする。
これでもし傷が付いても千歳は大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
「いや、これも巻き込んでしまったかも知れないからね。力を使っていることも地球の神様にも許可は得ているから気にしないで」
そう言って東さんは微笑みかけてくれる。
「さて、千明。僕から君に頼みがある。一緒に来てくれるかい?」
「はい」
そう言うと東さんはまた笑う。
「千明は本当に何も聞かずに返事をするね」
「はい。信じていますから」
「ではついてきてくれ。一緒にセカンドに来て欲しい」
「はい」
そして私は主人と娘、そしてもう1人の主人の子…ツネノリくんの待つガーデンへ向かう。




