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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利 常継の章②親として。
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第26話 死ぬ程痛いぞ。

「父…さん…?」

「え?…嘘…」

ツネノリと千歳が俺を見て驚いている。


ミノタウロスは俺に構わずにツネノリにとどめを刺そうとしている。


「【アーティファクト】!!」

俺は光の剣を出す。

悪いが、もう20年から使っている俺の光の剣は成長をしていて、形も力強さもツネノリのものより段違いだ。


「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」

俺は高速移動でミノタウロスの後ろに取りつくと一気にツネノリを殴ろうとした右腕を斬り落とす。


突然の事で観客すら対応していない。

腕を落とされたミノタウロスは少しして痛みに苦しんでうずくまりだした。


俺はそのまま蹲ったミノタウロスの首をはねる。

「まず一匹」


そしてそのままツネノリと千歳を抱えて高速移動でコロセウムの反対まで移動をする。

「え?ええぇ?」

千歳が間抜けな顔で間抜けな声を出しているが今はそれどころではない。


「ツネノリ、よくやってくれた。助かったよ。ありがとう」

「父さん…来てくれたんだね」

そしてツネノリは涙を浮かべてへたり込む。

そのツネノリにルルから預かってきた回復のアーティファクトを渡す。


「これは?」

「母さんから預かってきた回復の人工アーティファクトだ。勇者の腕輪がレプリカだしお前なら使えるはずだ。

これで傷を癒して待っていろ」

「うん、父さん…待っているよ。【アーティファクト】」

そう言ってツネノリは回復を始める。

やはり腕輪はレプリカで本物のように自身以外のアーティファクトを拒絶するような感じは無い。


「千歳、無事か?」

「ええ、そこのお兄さんに守って貰ったもの」

千歳の視線が痛い。

この状況でも俺への怒りは残っているか…

この頑固さ…芯の強さと言うべきか…良い方へ発揮されればいいのだがな。


「そうか、後で全部話す。千明と3人で話す予定だったが、ツネノリと3人で話そう」

俺は努めて冷静に話す。


「随分とお兄さんとは仲良しじゃない。私なんかどうでもいいみたい!!」

何かが気に入らなかったのだろう千歳は怒りながら走ってきていたミノタウロスの方に向かって行く。


「バカ!無理だ!!」

俺はそう言いながら走って行き、千歳を押しのけてミノタウロスのパンチを全身で受け止めることになる。

走っていた事もあって余計に威力が付いたパンチを貰う。


そのまま俺は吹き飛ばされて壁に当たって肉塊になる。


「父さん!!?」

「いやぁぁ!」

ツネノリと千歳が俺の身を案じて叫ぶ。


あれ?東の奴、死ぬ事のない無敵の身体って言わなかったか?


ってぐあぁぁぁぁっ!?

物凄い、頭がおかしくなりそうな痛みが俺を襲う。

その痛みに合わせて俺の身体は再生されていく。

俺は肩で息をしながらその場に膝をつく。


「東、聞こえるか?死ぬ程痛いぞ」

「悪いニュースだツネツギ。あの女。君のパラメーターに手を出していた」

「何!?」


「ふふふ、驚いた。死なない身体もいいけど、きちんと痛みは負って」

俺と東の通信に魔女が割り込んでくる。


「東さん、だからあなたの世界は綺麗だけど刺激が足りないのよ。

私が刺激を足してあげるわ」


「君は何でそうまでして僕の世界にちょっかいを出してくるんだ?」

「ふふっ、よりよくしてあげているだけよ。

あ、勇者様安心してね。不死身なのは変更してないから安心して子供さんの為にガンガン死んでね。ただ痛覚を繋げただけよー」


くそっ、こんなに痛いとおいそれと死ねないじゃないか。

変な言葉だが死ぬ程痛い。

もう説明なんか出来ないくらいに痛い。


即座に生き返った俺はミノタウロスが狙っている千歳の前に走って行く。

「【アーティファクト】!」


光の盾で攻撃を受け止める。

「千歳、見ていなさい。後は父さんがやる」


そして再び剣を出して一方的にミノタウロスを斬り刻む。


時間にして恐らく1分くらいの後、ミノタウロスは俺に斬り刻まれて倒れこんでいた。

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