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セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
ツネノリと千歳の章①対ホルタウロス戦。
21/339

第21話 俺とお前で倒すんだ。

くそっ。

俺は2つの意味で悪態をついた。

まずは千歳の物分かりの悪さにだ。

外の世界の人間はこんなにも物分かりが悪いのか?

アーティファクトと唱えるだけだぞ?

何故それが出来ない?


次は今の状態だ…

ホルタウロスに吹き飛ばされた俺は地面に身体を打ち付けた。

かなりの痛みがあって今はまだ身体が動かせない。

ホルタウロスが俺と千歳のどちらに向かってくるかわからないが、腕輪から真の力を引き出せない千歳にせよ動けない俺にせよ、この状態はマズい。


「ちょっと!大丈夫!?」

千歳が俺の元に駆けてくる。


バカ!

一番良くない手だ。

せめて逃げ回ってくれれば千歳は無事だった。

それなのにわざわざ俺の元に来る…


「あなた本当にお兄さんなの?」

未だにそれかよ…


何か父さんの苦労が嫌でもわかる気がした。

こんな子供に真実を伝えてもガーデンの危険性が増えるだけで良いことは何もない。

そして伝えなければ今日みたいに急に知って父さんを軽蔑してしまう。

突然兄が目の前に現れても目の前の状況よりも兄かどうかに拘る。


仕方ない…ここは千歳を立てながら話を回す必要がある。


「そうだ…、俺は…お前の兄だ…」

「なんでここに居るのよ?」


あ、ダメだ…ホルタウロスより自身の疑問になっている。


「戦いが終われば知っている事は全部答える。今は戦いに…生き残る事に集中してくれ」

「もうすぐ佐藤達が復活するから任せようよ!戦ったら私達死んじゃうよ!」


佐藤?誰だそれは…

この肉塊のどれかか?


「ダメだ、…こいつらは…素人だ。

いくら死ななくても…こいつらじゃ手詰まりになる。

俺とお前で倒すんだ」


そうしている間にもホルタウロスは俺達に迫る。

何とかしなければ…


!!

そうだ…


「千歳、俺の身体を仰向けにして上半身を起こしてくれ」

「う…うん」

千歳がうつ伏せだった俺の身体を起こす。

そして上半身を起こして支えてくれる。


起き上がって気付いたが、随分と近くまでホルタウロスが来ていた。


この距離ならやれる。


「千歳、俺の左腕を一緒に持ってくれ」

「え?何?逃げなきゃ!!」


「いいから、信じてくれ!」

そう、俺の左腕には今日母さんから借り受けた腕輪がある。

この状況を打開するにはこの力を使うしかない。


「千歳、これからやる攻撃には反動がある。

今俺は身体が言う事を聞かない。

千歳に支えてもらう必要がある。頼む」

「え?うん!」


もうホルタウロスは目と鼻の先だ。

ここまで近寄れば手のブレも何もない。

反動と衝撃が心配だが死ぬよりはマシだ!


「行くぞ!【アーティファクト】」


俺の左手から光の球…雷の球が発生して勢いよくホルタウロスに直撃をする。

ホルタウロスは後方に吹き飛ばされた。


「千歳、助かった。

良く支えてくれた」


千歳の返事はない。

目の前の状況に驚いて声も出なくなっている。

何回か呼びかけるとやっとこちらに反応をしてくれた。


「千歳、もし可能ならホルタウロスに近寄って右腕を切ってきてくれ…」

「え?あ?え?私が!?

無理!無理無理無理!!」


だよな…

くそ、このアドバンテージを使えないのが痛い。


そうしていると最初に倒されていた大柄な男が復活する。

「そこのお前!すまない俺たちは動けない。

今のうちに武器を持つ右手を破壊してくれ!」


そう声をかけると男は分かったと言いながらホルタウロスの右腕に斬り込む。

続々と復活した初心者達がホルタウロスに群がって思い思いの箇所を斬り刻んでいく。


「うわっ、やっぱりグロい…」

千歳が不快を口にする。


どんどん血に塗れていくホルタウロスを見るのはあまり気持ちの良いものではない。

しかもこれは食用でも暮らしを守る戦いでもない。


外の人間は何を考えているのだろう?

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