表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンド ガーデン  作者: さんまぐ
伊加利 常継、伊加利 千明の章②家族の絆。
105/339

第105話 だから人の手でそれを可能にするんだ。

ルルと東に言われて俺はセカンドに来ている。

1人でと言うのはどうしても気が引けたのでいきなりタツキアを目指すのではなくセンターシティに来ていた。

東に聞くと千明達の居るホテルはすぐにわかったので瞬間移動で部屋に入る。


…部屋の中では3人が仲良く抱き合っていた。


「タイミング悪かったかな?」


「おかえりなさい、あなた」

「お父さんお帰り」

「父さん…」

ツネノリが照れた顔で俺を見る。

こうして見るとツネノリが俺の家に居ても違和感がないかも知れないなと思う。


「ねぇ、お父さん」

そう言って千歳が手を出してくる。


「ん?」


「ツネノリ!ツネノリも手を出して」

「なに?」


「早く!お父さんも!」

そう言って千歳が俺を呼ぶ。


「あなた…」

照れた千明が俺を呼ぶ…


やれやれ…

「千歳、ツネノリ…ルルがヤキモチ妬くから今度ルルと会った時にもやってやれよ」


「ふふ、いいよー」

「母さんは照れて「要らない」なんて言いながら期待するよね」


そう言ってツネノリまで手を出して俺を呼ぶ。

俺は右手にツネノリ、左手に千歳を抱く形になり4人で抱き合う。


「お母さん、夢叶った?」

「千歳…、ええ、本当にありがとう」

そう言って千明が感動して泣く。


本当なら少しこのままで居たいのだが時間がない。

「時間がない…、折角だがここまでだ」

「お父さん?」


「千明、付き合ってくれ」

「どちらにですか?」


「メリシアのご両親の許可を得ていない。

タツキアについて来てくれ」

「確かにそうですね。わかりました」


「メリシア?許可?」

「なんで?」


「時間がないから手短に話す。

俺たち人の手でメリシアを蘇させるには亡骸からではなく新たに身体から作る必要がある」


「身体?作る?」

「そんなこと出来るの?」


「ガーデンならやれる」

「ツネノリ、ルルさんも言っていたでしょう?」


「うん、母さんも言っていた」

「だが、だからと言って俺達が勝手にメリシアの両親に許可も取らずにやっていい訳が無いだろう?」


「そうだね」

「だから俺が許可を貰いに行くわけだが、1人で行くのも気が引けたので千明に同行を願おうと思ってな」


「俺と千歳は?」

「このままここで寝てろ。明日のVS巨大ボス最終戦には俺達は参加できないからお前たちに頼るしかないんだ。身体を癒せ」


「うぅ…そうかー、おじさん達の喜ぶ顔が見たかったんだけどなぁ」

「俺もキチンと挨拶がしたかったよ」


「大丈夫だ、お前たちが頑張れば全部うまく行く。そうしたら会いに行けばいいさ」

「はーい」

「わかったよ父さん」


「じゃあな、ちゃんとすぐ寝ろよ」

「このままお母さんも帰るけど、無理しないでね」


「うん、いってらっしゃい」

「父さん、千明さん。今日はありがとう」


子供たちに見送られた俺は東に声をかけてタツキアに転送してもらう。


タツキアの宿屋では旦那と奥さんがあの時の…出て行った時のままの格好で呆然としていた。

奥さんは泣き続けていて、旦那さんは辛そうにメリシアの遺体を見つめていた。


「こんな時間に済まない」

俺がそう答えると2人はハッとして俺達を見る。


「ツネツギ様、チアキ様…、どうされました?」

「ツネノリ様とチトセ様は?」


「二人は無事だ。センターシティは守り切った。

今俺達は急ぎの用があってこんな時間だが邪魔をさせて貰った」

「急ぎですか?」


「ああ、とても大事で急ぎの話だ」

「何でしょうか?今お茶をご用意しますね」


「いや、そう言うものはいらない。今すぐ話をさせて欲しい」


「メリシアが寂しがりますのでここでもいいですか?」

奥さんが泣きながらそう言ってくる。


「ああ、彼女にも聞いていて貰いたい」

そう言って俺達夫婦と旦那夫婦がメリシアの横で向き合う形で座る。


「それで、こんな時間にする急ぎのお話とは?」


「怒られることを覚悟できた」

…くそ、言いにくい。


「あなた」

「大丈夫だ千明」


「…?」

メリシアの両親は訝しげに俺達を見る。

俺は覚悟を決めるしかない。


「メリシアの蘇生を許可して欲しい」


空気が変わる。

厳しい張り詰めたヒリついた空気が部屋を漂う。


「何を…仰って…いるんですか?」

「え?メリシアが…?」


「済まない。心の整理をつけている最中のあなた達にこれを言うのは酷な事だ。

だが、今ゼロガーデンでは俺のもう一人の妻ルルが人手を集めて準備をしている」


「それって…どういうことですか?」

「…メリシアは本当に生き返るんですか?」

そう言って奥さんがメリシアの遺体に目を向ける。


「落ち着いて聞いてほしい。理解が追いつくかわからない話だ」

そう告げてから、魔女が妨害をして神である東が蘇生を出来ない事、蘇生をした場合セカンドガーデンを滅ぼすと言われている話。

そして昔東から聞いた、神同士の戦いになれば余波でセカンドだけではなく全てのガーデンが滅んでしまう話もした。

そして、ボウヌイの件も付け加えて死者の数が一定数を越えるとファーストとセカンドが滅びてしまう事も告げた。


「それじゃあ、神様はメリシアを助けられないじゃないですか…」

旦那さんが愕然として項垂れる。


「落ち着いて聞いてくれ、だから人の手でそれを可能にするんだ」

「人の…手で?」


「ああ、だからさっきも言った通りゼロガーデンで俺のもう一人の妻、ツネノリの生みの親であるルルが準備をしている」

「ゼロガーデンならそんなことが出来るんですか?」

「……」


「なぜ黙るんですか?ツネツギ様!!!」

奥さんも旦那さんも必死に俺に聞いてくる。


「理論上は可能だ。そして神のお墨付きを得ている」

「理論上?」

「神様のお墨付き?」


「ああ、ゼロガーデンでは死者の蘇生をする必要が今まで無かった。死者は死者として弔っている。そして別の力でやり直した男は居たが、それは今回使える力ではない」


「では娘で…メリシアで試すと?」

旦那さんが怖い顔で俺を睨む。


「受け捉え方によってはそうなる。それは理解をして欲しい」

「あんただって人の親だろう!?何を言っているのかわかっているのか!!」


旦那さんは俺の胸ぐらをつかむ。

そうだ、親からすれば子供でテストをしますと言えば誰だって面白くない。

しかも生き死にで冷静になれと言う方が無理だ、俺は何も言わずに旦那さんが落ち着くのを待つ。


「何とか言えよ!!オイ!!」

「お父さん!やめてください!!」

奥さんが旦那さんを止める。



「あなた、説明が悪すぎます」

そう言って千明が俺を注意する。


「主人の説明が悪くてごめんなさい」

「いえ、うちの人も話を最後まで聞かずにすみません。全て話して貰えますか?」


「あなた、続けて」

「ああ、試すと言うのは語弊があるが最初の1人にさせて貰ったと言ってもいいだろうか?」


「何でメリシアだ?」

「それは、ツネノリの大切な人だからだ。ツネノリの為に妻も神もツネノリを知るゼロガーデンの仲間たちが立ち上がってくれたんだ」


「そんな事をしていただいても先の事は誰にもわかりませんよ?」

奥さんが申し訳なさそうに言う。


「「2人でこの気持ちが何なのかを確かめようって約束していたのに、俺達これからだったのに…」だからです」

千明が突然口を開く。


「気持ち?」

「はい、ツネノリとメリシアさんの共通の想いだったようです。

私達親から見れば恋心に見えるモノでもあの子達にはそれが何だかわからなかった。

でもそれが心地よくて、2人で色々話をして確かめ合う日々が堪らなく愛おしかったのでしょう。

私も主人もルルさんも主人の仲間達も、そして神様もそれを応援してくれているからメリシアさんが一番目なんです。

別に助けたから絶対に付き合え、将来結婚をしろなんて言いません。

ただ、応援したくて助けたくて一番目なんです」

千明が居てくれてよかったと思った。


沈黙が流れた後「…バカヤロウ」と旦那さんはメリシアの遺体に話しかける。

「本当にバカな子…」奥さんも優しい眼差しでメリシアを見る。


「あれだけ目が合うだけで嬉しそうにしていて…」

「仕事の事が手につかないくらい、仕事の事でこの人の怒鳴られても嬉しそうにしていたのに…この気持ちがなんだかわからない?」


「それも2人して?毎日毎晩時間の許す限り一緒に居て?」

「本当、2人ともバカね…」


そう言うとピリついた空気が無くなった。

第一段階は許してくれたようだ。


「ツネツギ様、チアキ様、こちらからお願いしてもいいですか?」

「本当、娘をよろしくお願いします」

そう言って2人が深々と頭を下げてくる。


「いや、まだ話は続きがあるんだ。それも聞いてほしい」


「続き…ですか?」


そして俺達は神の手で蘇らせられる訳ではないから、今ここに居る遺体が蘇る訳ではない話をする。


「それって…」

奥さんが理解に困った顔をする。


「一から肉体を作ります」


「え?」


驚く旦那さん。

ここからが第二関門だ。


「俺達は神ではない。だから亡くなってしまったメリシアの遺体を蘇生させることが出来ないんだ。だから一から肉体を用意する」


「それじゃあ、それはメリシアじゃないんじゃ…」


「いや、それは今ルルが神の手引きで死者の世界…死者の間にメリシアの魂を迎えに行っている。メリシアの魂を迎えてから用意した肉体に入れて蘇生を行う」


「魂…」

「死者の世界…」


まずいな、2人の理解が限界を超え始めてきた。

俺の困った状況を察したのか千明が口を開く。



「この方法で成功した命の話をしてもいいですか?」


「成功した話?」

「はい、主人が20年前にゼロガーデンで確かに見てきた成功した話です」


「でも蘇生は初めてだと…」

「はい、それは蘇生ではありませんでした。でも命は確かに産まれたのです。

ただ…、正直かなり衝撃的な話です。落ち着いて、感情的にならないで聞いてください。

そして…、それ以外の方法が私達にはありません。その事も踏まえて聞いてください」


千明は俺から聞いていたマリオンの話をメリシアの両親に話した。


人形に命を与えられるペックと言う老人の話。

老人が自身の孫に似せて人形を作った事。

その老人は人形に自身の孫であるマリーの考え方…所作等を特別な方法で取り込ませたこと。

いつの頃からか人形はマリーのコピーではなくマリオンと言う女の子として自我が目覚めた事。

マリオンはルルに出会って、ルルの研究、無機物を有機物に変える研究を聞いて自身を人間にして欲しいと願った事。

その願いは1人の人間を愛したいと言う気持ちから始まった事。

だが、その時にマリオンはマリーの歳で言えば13歳、愛したい人間は25歳。

その年の差をマリオンは人間になる際に想像力…この場合には愛の力で埋めて23歳の女性の姿になった事。

そして見事に愛は成就して20年が過ぎた今も夫婦仲睦まじく12人の子供に恵まれて幸せに暮らしている事。


それらを説明していた。


メリシアの両親は言葉もなくただ千明の説明を聞いていた。



「以上が今回の元になった話です。後は主人が説明をします」

「これからゼロガーデンではメリシアと瓜二つの人形を作って貰いその中にメリシアの魂を入れる。それを人間化してメリシアを蘇生させる。ここまではいいだろうか?」


「…それはメリシアなのか?」

旦那さんがそう聞いてきた。


「安心してくれ、彼女だ」

マリオンを見る限り、マリオンはあの人間化で何も変わらなかったと言っていた。

俺はその言葉を頼りに告げる。


「一度…人形にしてから人間に…」

奥さんが困惑している。


「はい、我々人間が神の力を使えない以上その方法しかありません」


「成功した人間が居る」

「はい」


本当は推すべきポイントは沢山あるのだ、だが俺は調子のいい事ばかりを言えるタイプではない。


「本当に変な所が実直だよツネツギは」

そう言って東が顔を出す。


「東!」


「東…?神様!」

旦那さんが深々と頭を下げる。


「ツネツギの説明が悪くてついつい出てきてしまったよ。だが本当に今回の事は申し訳ないと思っている。2人には辛い思いをさせてしまったね」


そう言うと旦那さんも奥さんも「いえ」としか言えない。

一種のパワハラじゃないか?


「ツネツギ?」

「滅相もございません」


「この方法は絶対に成功する。メリシアも戻ってくる。それは理解してくれ」

「はい」


「ただ、一点だけ覚悟して欲しい点があるんだ」

「え?覚悟…ですか?」


「ああ、それはツネツギに説明して貰おう」

そう言って東は俺に話を振る。


くそ、そのまま説明してくれればいいものを…



「まず、人形の身体は元の身体と寸分違わずに作られる。あの人は本当の天才だから安心して欲しい。

だが、人間化の時にメリシアのイメージが優先されるんだ」


「メリシアの…」

「イメージ?」


「ああ、もしもメリシアが茶色の髪を嫌がって黒にしたいと願ったとすれば黒になる。長身を望んでいれば背も高くなる。それは成功したマリオンが証明しているんだ。マリオンの元になったマリーはマリオン程背は伸びなかったしスタイルもマリオンは凄かったがマリーは普通だった」


「じゃあ、メリシアが自身の丸顔を嫌がってコイツみたいに面長を目指したら…」


「ああ、面長になる」


メリシアの両親は「んー…」と悩んでしまう。

この世界にはプチ整形なんてものは存在しないのだ、親としても娘が整形して帰ってきますと言われても困るだろう。



「え?ダメなの?」

突然、声がした。

この声は東の手にあるブローチから聞こえた。


「え?今の声…」

「メリシア!!何処だ!?」

2人は驚いて周りをキョロキョロと見回す。


「ここだよ、お父さんお母さん。神様の手の中だよ」


東は2人にニコリとほほ笑むと近寄ってブローチを見せる。


「ツネツギ、ルルの「魂の部屋」は凄いね。まさか喋る機能まで載せるとは思わなかったよ」

「ああ、俺の嫁は2人とも凄いんだよ」


「ここに…」

「メリシアが居るのか?」


「そうだよ、ツネノリ様のお母様が迎えに来てくれてこの中に入れてくださったのよ」

その声で2人は声を上げて泣く。


「もう、泣かないでよ。お父さんとお母さんがいいよって言ってくれれば私はすぐにでも生き返らせて貰うんだから」


「本当に生き返るの?」

「メリシアでなのか?」


「そうだよ。もう説明も聞いたし身体だって作って貰えたんだよ。私に瓜二つで驚いたんだから」

「もう?」

「だってまだ死んで半日…」


「神様の世界には一瞬で永遠の場所があるから全員そこで準備してくれていて大急ぎで身体を作ってくれたんだよ」

「じゃあ、メリシアはすぐに帰ってくるのか?」


「済まない、それは少し難しい」

俺のポケットからルルの声がした。


「お母様!」

「ルル!?」


「次元球を出してくれツネツギ」

俺は言われた通りに次元球を目の前に出す。


コチラから向こうは見えていないが向こうからコチラは見えている。

「メリシアのご両親、初めまして。私はツネツギの妻でツネノリの生みの親。私はルル。その「魂の部屋」を作った者だ」


「この球から声がする…」

「この中にツネツギ様の奥様が?」


「球の中と言うか、球を通じてゼロガーデンから話をしている」


「はあ…」

「はじめまして…」


「それで話を戻すと、素体となる身体の用意は先ほど終わった。これからメリシアの魂をそこに移す。そして人間化を行い人間化が済んだら身体にならせるためと経過を見て熱などが出ないかを確認したいのだ。その時間も合わすとそちらでは7日くらいは時間が欲しい」


「…確かにそう言われるとそうですね」

旦那さんはルルの気迫に押されて敬語になっている。


「まあ、人間化が済んだ日にはツネツギを寄越すのでまたこの次元球で生まれ変わったメリシアと話をできるようにしよう。そうすれば安心だろう」


「ああ、確かにそうしてもらえると助かります」

「…なんだか怒涛と言った感じで理解が追いつかなくて…」


「お母さん、大丈夫だよ。ツネノリ様の世界の皆様はとてもいい人で私は安心して全部を任せているのよ」


「ご両親、少し良いだろうか?出番だ」

「はじめまして。私マリオン。元々人形だったけどこのルルに人間にして貰ったの。私は何の問題もなく沢山の子宝にも恵まれたよ。だから安心していいんだよ。

私、さっきの千明の話を聞いていたけど、ツネノリとメリシアに気持ちを確かめる時間をあげたい。

2人の気持ちがあれば絶対成功するよ。

人形だった私が問題なく人間になれたんだから、最初から人間のメリシアは絶対に成功するよ。大丈夫」

マリオンの声で2人が少し安心しているのが伝わってくる。


「あ、ついでにちょっといい?

千明、はじめまして。ツネノリの事ありがとう。今度会いたいからツネツギに言って遊びに来てよ。千歳が凄いって聞いたから2人で来てね!!」

「はい、はじめまして。千明です。よろしくお願いします」


「ツネツギ!久しぶり!!みんなで助け合うって楽しいよね。絶対にうまく行くよ!これが終わったら皆で会おう。カムカも会いたがっていたよ」

「ああ、ありがとうマリオン」


「感謝はまだ早いよ。全部うまく行ったら言ってよ」と言ってルルに変わる。


「騒がしくて済まなかった。だが我々は全力を尽くす。メリシアもやる気だ。受け入れて貰えないだろうか?」


「お父さん!本当はもう少し背を伸ばせたらって思っていたけど我慢するから!」

…メリシア…説明を受けた時からそんな事を考えていたのか…


「私は応援します」

「お母さん!!」


「メリシア、皆さんにキチンとお礼を言うんですよ?」

「うん、ありがとう」

メリシアの母は納得をしてくれた。


「ほら、ちょっとくらい髪の色が変わろうが背が伸びようがスタイルが良くなろうがメリシアはメリシアですよ。何を意地になっているんですか?」

「お父さん。私ね、生き返ったらツネノリ様ともう一度この気持ちを確かめたいの。お願い!!許して!!」




「はぁぁぁぁぁぁ…、全く…、俺は反対してねぇよ…。

ただあんまり見た目が変わると寂しいからよ、なるべく俺達の娘のままで帰ってきてくれ」


「ありがとう!!お父さん!!」


「じゃあ、話はまとまったかな?」

東が口を開く。


「神様、ツネツギ様、チアキ様、ルル様…後ゼロガーデンのお仲間の皆様も娘の事をよろしくお願いします」

そう言うと2人とも深々とお辞儀をしてくれる。


「任せておけ、私は天才アーティファクト使いだ。失敗などありえん」

「こちらこそ、娘さんを必ず生き返らせてお連れしますからね」

「いきなりこんな話をして済まなかった。」


「ツネツギ、私はここで通信を終わらせる。これが終わったらお前と千明は帰る時刻だろう?

ツネジロウは神に頼んで0と1の間に連れてきてもらえ。少し話がある」

「ああ、わかった」


「神様、あの件をお願いします」

「伝えておくよルル」

そう言ってルルは通信を終わらせる。


「あの件?何だ?」

「メリシアの両親にさ…」


「我々ですか?神様何でしょうか?」

「ああ、2つかな?あってね。

1つは、メリシアは蘇るから部屋とか私物はそのままにしておいてあげて欲しいんだ。後、生き返った時に服が無いと困るから何日分か服を持たせてほしいんだ」


「そうだよお母さん、勝手に捨てないでね」

「わかってますよ」


奥さんは東に「わかりました」と返事をする。


「もう1つは?」

旦那さんが聞く。


「ああ、葬儀の事とか…この遺体の話かな、君たちはどうしたい?葬儀をするかな?この肉体にきちんとお別れをしたいかなと気になってね」

「あ…」

そう言えばと言う顔で2人はメリシアの遺体を見る。


「お前はどうしたい?」

旦那さんがメリシアに聞く。


「うーん…神様からも聞かれたんだけど悩んでいるの。生き返って自分でお葬式に参加するのも変な気持だし、お葬式しても帰ってきたらタツキアの人達は驚くだろうし」


「そうだよなぁ…」


「東さん」

千明が口を開く。


「何だい千明?ああ、それは素敵だね」

東は千明の考えを読んだようで賛成している。


「千明?何を考えたんだ?」

「東さん…?」


「ああ、千明が言ってくれるといいかな?」


「はい」と言った千明がメリシアの両親を見る。


「神様が蘇生に手を貸すことはもう一人の神様を怒らせてしまうので出来ないけど、この身体をお葬式で送ってあげるのではない別の方法を考えました。

私は、この身体をメリシアさんにかえしてあげられないかと思いました」


「身体をかえす?」

「はい」


「私に?」

「ええ、この身体をメリシアさんにかえすの。そしてメリシアさんが将来誰かと恋をして、恋が愛に変わって結婚をして子を授かる時に、子供になって貰うの」


「私の…子供?」

「そう、東さん…」


「千明の考えは可能だよ。産まれてくる子供にこのメリシアの肉体、そして夫になる人間の要素を合わせる。そして性別も女の子と言うだけじゃなくて、男の子で産まれてくる事も可能だ。それは子供に選ばせてあげよう」


「そしてそれはメリシアさんではない別の魂が宿った身体。別に変に気負う事もなく普通に愛してあげればいいのよ」


「お父さん、お母さん?」


「…何か難しい話過ぎて…」

「よくわからなくなってきたわ。メリシアはどうなの?」


「私は千歳様のお母様の案がいいと思う。18年間生きてきた身体を生まれ変わるからって捨てるみたいなのも気が引けていたし、もしこの身体が将来子供の為になるならそうして貰いたい」


「お前がそれを望むなら俺はそれでいいと思う」

「私もですよ」


「じゃあ2人とも、この身体はもうメリシアにかえしてもいいかな?」


メリシアの両親は東に少し待ってくれと言って遺体に手を当てたり手を握って「今日まで俺の娘でいてくれてありがとう。今度は孫になって会ってくれ」「また会いましょう。孫になったら沢山遊んだりしましょうね」と声をかけて抱きしめる。


一通り済んだところで東を見て「お願いします」と言うとメリシアの遺体は光になって「魂の部屋」に入っていく。


「私のお腹に光が入った…」

「ああ、これでこの身体が必ずメリシアの子になるようにしたよ」


「神様ありがとうごさいます。所でボウヌイの人にもこうするんですか?」

「いや、ボウヌイは時間が経ちすぎたからこのまま埋葬をするよ。メリシアの後に生き返る人たちには了承をちゃんと得るつもりだよ」


その後、東はメリシアの母から数日分の衣服を受け取る。

「ツネツギ、千明とは一度ここでお別れだ。君は僕と一緒に来てくれ。

千明、君はここでログアウトだ。外でツネツギを待っていてくれ」


「わかった」

「はい」


俺はメリシアの両親を見る。

「夜分に済まなかった」

「いや、俺こそ声を荒げて済まなかった」


「ツネツギ様、全部終わった時にはウチを使って皆さまで集まってください。最高のおもてなしをさせていただきます」

「ありがとう」


「じゃあ」と言って俺達は宿を後にする。


「千明、一足先に外で待っていてくれ。生身でガーデンは疲れただろう?」

「大丈夫ですよ。こうしてメリシアさんとも会えたんですし。あなたの仲間にも会えましたしね。今度ゼロガーデンに連れて行ってくださいね」

「ああ、みんなで行こう」

そう言って千明と別れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ