第一話
どうも、オヤジギャグに絶対の自信を持つ、藤冨幹臣(偽名)こと中畑ひろむ(偽名)です!
一般超能力者の日常、第一話です。どうぞ!
「なんだろう、このバカみたいに大きな教室は」
今年、この朝之生学園に転入してきた僕、高橋#裕司__ひろし__#はやけに大きな教室の前で立ち止まっていた。
もしやこれが噂の「特別設備教室」というやつだろうか。何かの用途で作ったはいいけど、その肝心の「何か」を忘れて結局特別な設備だけが残ったという。阿呆の子供みたいな教室。
凄いなあ。こんな教室があるんなら、普通の教室も望みがあるんじゃないかなって思えてきたよ。すごい清潔な教室だったらいいなあ。
唐突だけど、僕は超能力者である。そしてこの物語の主人公であり、六畳間主義者である。
超能力者といっても、僕は使える能力が少なくて、手を触れずに物を動かす能力『念動力』。火を発現させる能力『パイロキネシス』。遠くを見渡す『千里眼』。この三つしか使えない。僕の兄はこの三つ含め、ありとあらゆる超能力者をすべて使えるんだけど、ああはなりたくないので、結果これで良かったと思ってる。
なにが「しょうがない」だよ。ぶん殴るぞ、っていつも思うもん。
◯
2年A組と書かれたプレートがぶら下げてある教室の前まで来て、僕は息を殺し、千里眼を使用しながら思考していた。
このクラス、バカが多い。
早弁をしているもの、チェスをしているもの、しゃぶしゃぶをしているもの、等々HRの五分前とは思えない教室の様子だ。
嘘だろマジで? ──あっ、まともな人が一人! でもなんで男装なんてしてるんだろう。そういう人なのかもしれない。
あとは……あれ? 緋絃? へぇ、この高校だったんだ。
やれやれ。しょうがない。……担任の先生も来たことだし…。
「…行くか」
ガラガラガラッと担任の先生によって、教室の扉が開かれた。
僕は担任の先生が前置きするのを確認して、教室のなかに入った。
「こちらが転入生の──」
「高橋裕司です。オヤジギャグの天才です」
「だそうです。みなさん、仲良くしてあげてください」
へへっ。こいつァ面白いや。なんか、みんなが哀れみの目で見ているような気がしてならないよ! なんなら言うと、女子は「バカみたい……」って目で見ているよ。興奮するね! ハァハァ!!
「じゃあ、高橋くんは井口さんの隣ね」
えっと、井口さんは……ああ、あの男装女子のことか。
僕が席に座ると、露骨に席をはなされた。
あはは。露骨に嫌われてる。
僕なんかしたっけ。
やっぱり小説家になろう、つかいづらいですね。
~超能力者のこそこそ話~
タイトル候補
・一般超能力者日常シリーズ
・サイキック
・バカなりなんなりサイキック
・朝日常