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マユの手記1

 私がこの世界に来てからはや一年。

 今まで魔法学にしか精を出していなかったが、そろそろシュベールが音を上げそうなので次のステップに移行する。

 これに伴って、魔法の研究にばかり使っていたノートだったがたまには近況でも書こうと思い立った。



 シュベールは魔族の王である。

 強大な魔力を持っていたがここ最近、勇者たちのせいで過度に消費してしまった。そのせいか彼女の体が幼児化しているようだ。

 魔力が増えるとグラマーになるのはどういう因果関係があるのだろうか。少しばかり魔族の体が羨ましい。

 ただ、彼女は己が強大ゆえに慢心をすることが多い。トップとしての責任感が欲しいものだ。


 ベルはシュベールの世話役らしい。

 彼もシュベールに負けないほどの魔力を秘めているように見えるが、それを発揮したことはまだない。

 従者と魔王の馴れ初めをはっきりと聞いたことはないが、彼らは古くから知り合いのようだ。

 私にも多くはないが友はいた。彼ら、彼女らは元気にしているだろうか。


 イデュアはサリア王国の皇女。

 新聞を読むに世間の評判はよい。才色兼備な人物であると言われている。

 彼女はたしかに教養のある人物だ。しかし、実際は世間が思うより何倍も腹黒い。

 幼女シュベールを気に入ったのか、やたらと膝枕をしたがる。

 私にも太ももの感触を味わわぬかとイデュアから誘いがあったが遠慮しておいた。今もなお狙われている気がする……。


 私に続いて二人目の転移者、アラタ。

 突然この世界に巻き込んでしまったが、すんなりといろいろなことを受け入れてくれた。

 積極的に質問をするなど探究心も強い。今のところ好印象な助手だ。

 これから寝食を共にする相手だが、私のことをどう思っているだろうか。

 人よりも書と向き合うことが多い私にとって、人付き合いは緊張するものである。



 世論は変わらず、魔王撲滅へ。

 私の体も相変わらず小さい。

 しかしながら、たしかに前進しているという手応えはある。

 最初は魔法という学問に惹かれて滞在していたが、実にスケールの大きい話へと発展したものだ。

 

 今回はこれぐらいにして、そろそろ研究に戻ろうと思う。隣に助手もいることだしな。

 彼に中身を見られるなんてことは……できれば避けたい事案だ。

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