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1-21 次なる作戦を始めました

「いらっしゃいませ。セーブしますか?」


 新とマユはセーブポイントを訪れていた。

 理由はチート能力を見るため。 

 

 マユの考えとは、チート能力を買うことだった。

 マルクの決定的証拠を掴めそうな能力を買い、利用してやろうという案だ。


「特殊能力を買いたいんですけど……。時間は24時間で、安いのから高いのまで全部見せてください」

「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」


 束になった紙が複数渡された。

 全てに目を通すとなると日が暮れそうだが、マユはやる気満々だ。


「アラタ、あそこに座って吟味(ぎんみ)しよう。金額は考えないでいいから、内容重視だぞ」


 この作戦のキモが金額について。


 マユはこの世界に来てから働いたことがない。

 そのため、財力だけで考えると本当に貧民ほどであった。


 生きるために必要なものは異世界転移したての時に魔王城から貰ったり、魔法陣を駆使して(しの)いでいる。

 無限の富を手に入れることができる魔法はまだ研究中。

 つまるところ、どんな能力も新とマユは買えないのだ。


 しかしクレスはどうだろう。


 とてつもなく強大な力を持つ剣と鎧をレンタルしている。

 まさかそこだけに全財産を使ったわけでもないはずだ。

 

 マユはクレスが相当な大金持ちだと予想。

 彼の恋心を巧みに操って代金を支払ってもらおうと企んでいる。


「レイの居場所がわかるものがあったら早くないか? それか嘘発見器みたいな能力とか」

「うむ。それらしきものならばなんでもいい。たくさん買ってしまえ」

「マユ、クレスに嫌がらせしたくてやってねぇか……?」

「君も片棒を担いだけれどな。あ、ここに巨乳になる魔法とか売ってないだろうか」

「ごめんって。そんなに胸のサイズがコンプレックスだったのかよ……」


 小さく落としたはずだったが、その言葉はしっかりとマユの耳に入っていた。


「胸に対する気持ちだけじゃないぞ。この体をもとに戻すのが終着点。胸を()()()()()()のではなく、()()()()のだ。勘違いしないでほしいな」


 冷静沈着なはずの天才少女が蹴りを入れるほどに怒ったのだ。

 この話題はもうやめよう。

 これ以上はややこしくなる。


「俺がこうして話ができるのはマユが歳下っぽく見えるからだって。お姉さんだったら緊張で話せてねぇよ。だから、それでいいだろ?」

「よくない。……が、瞬時に解決する問題でもないしな。これからもこの体と付き合うしかないか」


 マユは自分の手を上に向けて、手の甲を見つめた。


 身体的なデメリットだけでなく、どんな副作用があるかわからないからこそマユは不安だった。

 自分の体だけ時間が巻き戻ったのかもしてない、もしかしたら不老不死になったのかもしれない。


 私はその不安を相談したかっただけなのかもな――と胸の中に独り言を残し、マユはチート能力のカタログに目を落とした。

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