3 暗黒神、故郷に帰る その3
ノーフェスの叫び声に、新たに得た記憶を探ってみた。
中紋章以下は、神が信徒に授ける事が可能で、最下位の印は信徒間でも授ける事が可能だ。それどころか、自ら獲得できることもあるらしい。
中でも、その印を神から直接授かった場合、真印と称するようだ。
別に見てわかるもんじゃないので、自己満足の名称に近いが、一応人の間で授受されるものなどよりは、強力なものが多いようだ。
「いいなぁ。いいなぁ!」
そんな事をぶつぶつ言いながらノーフェスが、ヒイとフウを見つめている。
しかも見つめる先が、ふくよかな胸元であるので、ほぼ変態である。
だが、声にこそ出さないが他の3人も、じっとダークエルフたちの胸元を見ているのは同様である。変態の集団か。
「あー、みんなも印が欲しい?」
4人とも首をコクコクと頷かせた。
ゴツくて強面のゲールが頷いているのは、妙にカワイイし、ユキが斜に構えた感じでそっと頷いているのも面白い。
「じゃあ、授けるけど、その前に俺を復活させた理由を聞いていいかな」
一般的に暗黒伸を復活させるって、ヤバい理由しか思いつかないんだよな。
世界の破壊を目論んでいたりしたら、力を授けるのも考えなおさにゃ。
ヒイとフウには、想定外で授けちゃったけどね。
「俺とスシャルは、理由は同じだ、です」
「無理に敬語使わなくていいよ」
焦っているゲールに笑いながら言う。
「すんません。その、オーガとリザードマンは、他の種族に追われて住む場所がない。暗黒神さまに仕えて、安住の地を見つけてぇ」
「なるほど」
だいぶ真っ当な理由に聞こえる。
「ユキは?」
「わたし?わたしは、つまんないんで楽しい事したいかなって」
「漠然としてるな」
「暗黒神様を復活させると面白いかなって。とりあえず、このおっさん達の手伝いも暇つぶしになりそうだし?」
「ありがとう」
スシャルがそう言うと、ユキはソッポを向き右手で金髪をいじりだした。
「べ、別に暇なだけだし」
あ、いつの間にかこいつ、片膝つくのをやめて、胡座をかいてやがる。
素直になれない美少女ってのは大好物だから、別に構わないけど。
「んじゃ、ノーフェスは?」
あまり聞きたくないけど。
「わ、私は魔道の深淵を極めたいのです!もとより魔神様も信仰していますが、魔神様に魔法を授けたのは暗黒神様と聞き及びます!」
え?そうなの?
「ですので、私は魔神様と共に暗黒神様を崇拝し、魔道の極みに…」
いいから落ち着け。
胸の干し首を握り締めるな。
なんかポロポロ落ちてるじゃないか。
「ヒイとフウは?願をかけたと言ってたが、どんな願いだ」
やべー奴をスルーして2人に声をかける」
「復讐を」
「はい?」
「我々ダークエルフの国を滅ぼし、迫害した者どもに復讐を」
あー。この2人が、一番やべーのね。