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19 諸君、暗黒神(わたし)は風呂が大好きだ

ま、当然こういうサブタイトルになるわけです。

3日後。

とりあえず大浴場は完成した。


男女の風呂を区切る壁はもちろん、脱衣場にはロッカーも作ってある。もちろん木製で扉なんてないが。


それぞれの出入口には扉もつけたが、湿気が篭らないように開放的にしてある。窓も同様で、視界を隠す程度で基本的には開けっ放しだ。


浴槽になる窪みも、よく洗って清潔にした。あとはお湯を張るだけだ。


「これをどうぞ」


ノーフェスから板状の魔道具を手渡された。

中央に魔石を嵌め込んで、そこから魔法陣を描いている。


以前見た物よりも、式が少し洗練されていた。

まだまだ無駄な部分は多いが、この短期間で目に見える進歩があるというのは、大したもんだ。


そう褒めると、ノーフェスは赤面しつつ身体をくねらせながら照れていた。


はっきり言ってキモい。


彼のハーレムメンバーが、なぜあんなに温かい表情で見守れるのか不思議だ。


だが完成した魔道具に罪はない。

ありがたく使わせてもらう。


まだ水の通っていない水路にはめ込む。水路幅に合わせて作って貰ったので、いい感じに収まった。


そして水源の出口にある水門を少しずつ開いていく。

まずは3分の1ほど。


水は水路を流れていき、魔道具の上で加熱された。


ああ、これは熱すぎるな。

湯気のたち方で判断した俺は、さらに水門を開けた。


水量が増えた分、お湯の温度は下がったようだ。


うん。いい感じだ。

これでしばらく待とう。


分配槽から男湯と女湯に分かれたお湯は、次第に浴槽を満たしていく。

ちなみに浴槽から溢れた水は、神殿の外へと流れて雑水として使われる。


畑に撒く水なんか、これで十分だしね。


俺は女湯の浴槽に置かれた温度計をじっと睨んでいた。

温度計は、ゆっくりと上がっていき、45度あたりを超えた。


「もうちょっと水を出してくれ」


念話でノーフェスに伝える。


「水門を指の幅ほど開けました」

「ありがとう」


浴槽が大きい分、お湯の温度が下がるのに時間がかかりそうだな。


よし。氷をぶちこもう。


魔法で直径20センチ程の氷を作って、湯船に入れる。さらにかき混ぜる事5分。


温度計は41、2度辺りを指している。

よし、好みの温度。


急くように裸になって、大浴場に入る。

もちろん女湯だ。


だって幼児だも〜〜ん。


直ぐに湯船に飛び込みたいところだが、風呂に入った経験のない、みんなの手本にならねばならぬ。


「いいか。まず湯船を汚さないよう、身体を洗うんだ」


そう言って後ろを振り向くと、そこに褐色の美の化身が2人、そして純白の彫像が1人立っていた。

全裸で。


正直そこから、少し記憶が飛んでいる。


裸のヒイとフウに抱えられながら、全身くまなく洗われるという、夢のような記憶が薄っすらとあるが、定かではない。


というか、なぜ覚えていない、俺。


脳の全メモリを使ってでも永久保存だろ、そこは。


気がつくと湯船に浸かって、ボーッとしていた。


今だってお湯に浮かぶ4つの霊峰と、それを射殺すような視線で眺めるユキに囲まれて、だいぶ幸せな状況なのだが。


でもちょっとは自重しろ、ユキ。

お前のだって、大きさはともかく形はいいか…いや、なんでもありません。


「それにしても、お湯に浸かるのがこんなに気持ちいいとは思いませんでした」


ため息を吐きながら、色っぽく言うヒイの後ろで、ピアとミリが泳いでいる。


「浸かり過ぎるとかえって疲れるけど、疲労回復にも効果がある。みんな、仕事終わりに入るといい」


一日中お湯があるからな。温泉じゃないのがチト不満だが、いつでも浸かれるのは素晴らしい。


若干間違った方向に走っているような気もしなくはないが、暮らし安くなったというのはいい事だ。

うん。


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