表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/65

1 暗黒神、故郷に帰る その1

新しくシリーズを立ち上げてみました。


もし、お気に召したら幸いです。

とりあえず火曜と木曜に更新予定です。

なろう小説とかで、異世界転生物が流行ってるというのは知っている。

というか、読んだものだってある。


だが、実際に自分が転生するなどと考えた事はない。


当たり前だよね。


だが、当たり前じゃない事が起こってしまったようだ。


一人暮らしの自宅で、寂しい夕食をとっていたはずの俺が、石造りの神殿のような建物の中、一段高い場所に座っている。


しかも、メタボ手前のタプンタプンした腹は、プニプニとした、でもスッキリとしたお腹になっている。


つか、俺、裸?


しかも、3歳くらいの幼児の身体だよな、これ。


転生物って、最初に神様から説明とチート授与式があるんじゃないの?


ノー説明で丸裸転生かよ。


せめて説明のやり直しを要求する!


「ご帰還、お慶びを申し上げます」


10メートルほど離れ、少し低くなっている床に片膝をつき頭を下げていた女性二人が、声を揃えて言う。


黒い肌、銀色の髪、ボンキュッボンの身体、そして尖った耳。

まず間違いなくダークエルフだろう。


他にも爬虫類のような鱗が顔にあるおじさんや、頭にツノの生えてるガタイのいいおじさんがいる。

さらに金髪色白だが、あまり耳の尖っていないエルフの女性と普通の人間らしいが、あからさまに怪しい男性がいた。


人間の男性がどれくらい怪しいかと言うと、真っ黒なローブに真紅のマントを羽織り、胸には干し首をぶら下げ、腰には干したトカゲのようなものをぶら下げている。

手には捻じ曲がった杖を持っているが、柄頭は当然のように髑髏の意匠だ。


これで怪しくないのなら、怪しい人間はこの世に存在しない、というくらい怪しい。


「えーと?」


全員に見つめられて、俺は戸惑いの声を上げた。


声が高い。そして、かわいい。


「復活なさったばかりで、暗黒神様におかれましては、戸惑われていらっしゃると存じます」


ダークエルフのうち、俺から見て右側の女性が言った。こちらの方がやや背が高い。そして胸がでかい。


「失礼ながらわたくしから、ご説明申し上げても?」


銀の髪と胸が微かに揺れた。


だが、俺にはそんなことより気になる事があった。


「暗黒神?」


聞き返さずにはいられない。


「もしかして、俺が?」


全裸でイカ腹の幼児ですが。


「はい。復活なさったばかりの暗黒神様でいらっしゃいます」


なるほど。転生時に神様から説明がなかったはずだ。

まさか、俺自身が神様だったとは。


うんうん、納得。


って、そんな訳あるか〜〜い!


「いや、全く自覚がないんだけど」


俺の言葉に、ダークエルフのお姉さんは首と胸を横に振った。


「御神座に安置されておりました、巨大な封印石を破壊して御出現されたのです。しかも、あの封印石には、光明神の大紋章が刻まれていました。暗黒神様に間違いございません」


えー。光の神様に封印されてるなんて、どう考えても悪役じゃないですか。やだ〜!


小心者で事なかれ主義の小役人なんだけどな、俺。


そんな俺の内心をよそに、美女の説明は続いていく。


「魔力を練って紋章を顕現されれば、お力の御一端が納得頂けるかと」


「魔力?紋章?」


うん、知ってる。


魔力って身体の中を巡っていて、それを意識して引き出せばいいんでしょ?(出典:なろう系小説)


半分以上自棄で、身体中を巡るナニかをイメージして、さらにそれを頭上に放つつもりになる。


右掌を頭上に翳すパフォーマンス付きだ。


紋章?それはわかんないんで、無視。


炎の紋章くらいしか知らんし。


「おおおお!」


気がつくと、みなさんが土下座していらっしゃる。


え?っと思って見上げると頭上に巨大な紋章が浮かんでいた。


深い穴を思わせる暗黒の線で描かれた紋章だ。


太さの違う線で描かれた三重の円。それに重なる正三角形。さらに太さを変える優美な三本の曲線が描かれている。


…あれ、ひらがなの「あ」に見えるのは、気のせいかね?


「これは正しく、暗黒神様の大紋章!!」


怪しい格好の人間が、ワナワナと震えながら叫んだ。

興奮のあまりか、口の端から涎が垂れている。


いいから落ち着け。


大紋章の効果か、俺にも少しわかってきた。

やはり俺は暗黒神とやららしい。

ただし、未だ封印中。

頭の中に浮かんだ数字によれば、本来の力の100万分の1程度らしい。


100万分の1ですってよ、奥様!

1ppm だよ、1ppm 。

本来、100キロの物が持てる人が0.1グラムしか持てないんだよ?


そりゃ幼児にもなるわ。


今、浮かべている大紋章も神の権能を発揮するもので、本来なら様々な魔法や奇跡を起こせるらしい。


でも今の俺は、こうして顕現させるのがやっと。


もっと下位の中紋章や小紋章の方が、逆に色々できそうだということも、なんとなくわかった。


維持してるだけで疲れるもんな。大紋章。


と、そんな事を思っている最中に大紋章が、フッと消える。


ここら辺が、今の限度かぁ。


あ、ダメだ。起きているのも辛くなってきた。


急速に襲ってきた眠気に負けて、俺は意識を手放した。



2019/10/08 : 主人公の外観年齢を3歳程度に変更しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ