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第十五話

キリがいいので今回短めです。

「おまたせー。」


ルースの指導がひと段落ついた所で、折り良くリーリス達が戻ってきた。


その満足顔を見ると、どうやら良い値がついたようだ。


「ルースさん聞いてください、なんと十二万レジドですよ!」


「インビジブルレプテルの魔晶核が効いたな。」


「丁度高額の依頼が出てたのよ。」


みんなご機嫌だ。


シュンには通貨単位がよく分からないが、余程高値なのだろう。


「じゃあ、シュンの取り分は……」


ルースが計算を始めようとする。


単純に五人で割れば一人頭二万四千レジドだ。


「待って、インビジブルレプテル以外ルースは手を出してないわ。」


「うん……まあ。」


「まず今回の経費を引いて……シュン君は外注だから……で、ルースの割引分で……」


リーリスの脳内計算と言うかどんぶり勘定と言うのか、が始まる。


「シュン君には二万五千の支払いだね。」


リーリス、ヴォル、パティナが二万で、ルースの取り分は一万五千だ。


「僕の分多過ぎませんか?」


「腕の立つ外注には多めに払うのよ。」


「次とかにもお願いしたいですからね。」


「お前の働きはそれだけ良かったという事だ。」


「妥当な金額だよ、シュン。」


一番少ないルースに妥当と言われては納得するしかない。


多くて困る事はないのだから、ここは甘えておこう。


「みなさん、ありがとうございます。」


金貨二枚と銀貨を五枚受け取る。


これがどのくらいの価値かは、物価を見ればわかるだろう。


そして、目下の最大の懸念事項を解決しなければならない。


「まず、このお金で服を買いたいんですけど。」


なるべく気にしないようにしてきたが、やはり街に入り人目が増えればその分羞恥心も増える。


「えー、いいじゃない可愛いわよ。」


「いや、可愛いとか趣味じゃないんですけど。」


「でも似合ってますよ。」


「いや、似合ってれば良いってもんじゃないです、って言うか似合ってるってのが嫌なんですよ。」


「ふむ、何故だ。」


「いや、だから、何故って……」


「みんな、あんまりイジメるなよ。」


「さすがルースさん。」


やはりお母さん先生は頼りになる。


そう言えば自分の顔って一体今どんな顔になっているのだろうか?


小さい頃を思い出してみても、決して少女顔ではなかったはずだが……と気になる。


けれども、目につく範囲に鏡は見当たらない。


服飾屋になら鏡ぐらいあるだろう。


「じゃあ、アタシがシュン君の服を選んであげるね。」


「いえ、その、リーリスさんはルーちゃんの服を選んであげてください。」


「え、シュン兄ちゃんルーに服を買ってくれるの!?」


冒険者カードの分が浮くから、服ぐらいは大丈夫だろう。


「ああ、好きなのを買うといいよ、俺はルースさんに選んでもらうから。」


リーリスにコーディネートをされては元の木阿弥だろうが、ルースなら無難だろう。


「すいませんが、もう少しだけ付き合ってください。」


「もちろん、構わないとも。」


ルースは快諾してくれた。



軽く昼食をとり、ギルド提携の服飾屋へと足を運ぶ。


一般にこのバージの街は地方の田舎街といった扱いである。


しかし戦時下しか記憶にないシュンや、里しか知らないレイテスにとってそこに売っている物は初めて見る物ばかりだった。


そこで女性陣と男性陣に分かれて買い物だ。


これでやっと、普通の服を着ることの出来たシュン。


ルースの選んでくれた木綿製の上下物は、なるほど実に無難なものだ。


着替え用にもう一着と下着も購入する。


試着の時に鏡があったので、容姿を確認した。


確かに自分の顔だ、それは間違いないのだが何かが違うような気がする。


美化されているとでも言うのか、補正をかけたとでもいうのか……けれども、断じて女装が似合うなどという事はない! と思う。


「シュン君、見て見てー。」


リーリスがルーセリーナに新しい服を着せたままこちらへやって来る。


無難なシュンに対してルーセリーナは華やかなモノだった。


美しい翡翠髪を際立たせるため、薄い紫のワンピースにレースのフリルをあしらったものを着用し、白い花の小さな髪飾り。


可愛い、似合っている。


似合ってはいるが、これから冒険者になって旅とかするんじゃなかったっけ? と思わずにはいられないシュン。


まあ今まで着ていたものがあるから別にいいのかと、自分を納得させる。


ただ他にも二着ぐらい持ってるのが気になる。


レイテスも出世払いで数着買ったようだが、おそらく冒険者カードも出世払いだろうから大丈夫か?


支払いは二人分銀貨二枚、二千レジドだ。


昼食が大体一食銅貨三枚、三十レジドだったから、まあ六百円として四万円か……まあ安いのかな。


「可愛いよルーちゃん、よく似合ってる。」


顔を真っ赤にするルーセリーナ。


「そ、そんなシュン兄ちゃん……夜が楽しみだなんて。」


ヤメなさい。


そんな事は言ってません。


どんな脳内変換があったかは考えたくもないシュンは、スルーする事にした。


ただ、今後を考えてよく言い含めておかなくては。



「俺たちはこれからレイテスの冒険者カードを作りにもう一度ギルドへ行くけど、シュン達はどうする。」


夕方から冒険者達が増えるという事は……


「僕らは早めに宿を探したいんですけど、ギルドで聞いたほうがいいですか?」


宿がどの辺にあるか分からない。


「それも手かもしれないけど、さっき昼を食べたところの二階が宿になっていたようだな。」


シュンはそんなこと全く気づかなかったが、ルースは目ざとい。


「じゃあ、そこに行ってみます。」


「……なら、ここでお別れだな。」


ルース達は馬車ですぐ出発するらしい。


「……はい、本当にお世話になりました。」


「またどこかで会おう。」


「はい、この恩はわすれません、再開した時に返せるよう頑張ります。」


「はは、無理はしないようにな。」


「ありがとうございました!」


シュンは頭を下げたままの姿勢で、しばらく止まっていた。


ちょっと泣いていてのかもしれない。


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