表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

米坂邸(f)

「……もしかして、その時計は直らないのでしょうか?」


紳士が不安げにたずねてきたので、俺はあわてて首を横にふった。


「いやいや直ります、うちの時計店で直せないものはないですから。

代替だいたい部品が見つかれば応急処置ができます、なければ取り寄せですが」


その言葉を聞いて、紳士も安堵の表情を浮かべた。


「まもなく旦那さまがおもどりになるとのご連絡があったので、そのときに旦那さまと、くわしいお話を」

「わかりました。それまでもうちょっと、部品を探してみます」


紳士は一礼すると、ふたたび広間から出て行った。


……そうだ、たとえ依頼者が富豪だろうとお化けだろうと、俺の使命は時計を直すことだけだ。


雑念を追い払うように頭をふって、道具箱をかき混ぜていると、

今度はしっくりきそうな歯車を見つけた。


「よし、これなら……っと!?」


せっかく見つけた歯車を手にとった瞬間、俺はうっかり手をすべらせてしまった。

歯車はコロコロと近くの棚のしたへと転がっていく。


「……なんか、今日は探しものばっかりだな……」


俺はため息をつくと、棚のしたをのぞきこんだ。

棚のしたのいちばん奥のほうで、歯車はにぶく光っていた。


「……ダメだ、手が届かない。これは、棚をどかしたほうがはやいな」


棚はそれほど大きなものでもなく、ひとりでも簡単に動かせそうだ。

俺は両手で棚を持ち上げると、横にずらした。


「よし、歯車みっけ。って、うわっ……!?」


俺はずらしたあとの壁を見て、あとずさりした。


「な、なんか、ヤバそうなものを見つけちゃったみたいだ……」


そこにあったのは、とびらだった。


棚のうしろに隠れてしまうような大きさだ、

通常のとびらよりはすこし小さめだが、人がくぐり抜けられる大きさはじゅうぶんにあった。


とびらのとなりには、携帯電話の押しボタンのような配列のアルファベットのキーと、小さなディスプレイ。

ちょうど、電卓をそのまま壁に埋めこんだような見た目だった。


「……隠し金庫か? こんなに立派なもの、はじめて見たな……」


そう言ってとびらに手を伸ばしたとき、うしろから声がした。


「なにをしているの?」


広間に入ってきたのは、ひとりの少女とふたりの少年だった。

先ほどの声のぬしは、この少女のようだ。米坂の親戚の子どもかなにかだろうか。


「す、すみません。ここに歯車を落としたんで、棚をどかしてみたら……」

「ちょっと見せて」


少女にぐい、と横にのかされて、俺はなすすべもなく少女に従った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ