表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/19

米坂邸(d)

ぼくたちは物音を立てないよう、細心の注意を払いながら、ひと部屋ずつ捜索していった。

しかし、それらしいものはなかなか見つけることができず、ただ時間だけがいたずらに過ぎていった。


「そう簡単に見つかるものでもないか……」


くるみさんが、わずかにくやしそうに息をはいた。


いま、ぼくたちがいるのは米坂当主の部屋だった。

しかしこの部屋はきれいに片づいているぶん、探すことのできる場所も少なかった。


白河くんがじゅうたんをめくりながら言った。


「まあ、この家で生活しているくるみが、いままで気づかなかったぐらいだから、よほど巧妙に隠されているんだろうよ」

「もしくは、あの予告状が……」


ぼくはつぶやいた。


「ただのいたずらだった、……ってことも……」

「そんなはずはないわ」


くるみさんが、ぼくの言葉にかぶせるように言った。

そしてすぐに、声のトーンを落とした。


「……しまった、使用人が来るわ。はやく隠れて!」


くるみさんのひと声で、ぼくたちはあわててクローゼットのなかに隠れた。


使用人さんはこの部屋のカーテンを閉めにやってきたらしい。

クローゼットのとびらの向こうが、うす暗くなる気配がした。


じゅうたんのせいで、足音はほとんど聞こえない。

そのかわりに、ぼくの心臓は早鐘のように、ばくばくと鳴った。


とてつもなく不安だ。……見つかったらどうしよう?


緊張で、顔が熱くなってくる。


三人で息を殺したまま固まっていると、パタンととびらが閉まる音がした。

しばらくのあいだ、三人とも身動きひとつしなかったけれど、やがてくるみさんが口を開いた。


「……もう行ったみたい。出ていいわ」

「……って、おまえはべつに、隠れる必要がなかっただろ」


白河くんがくるみさんにそう言い、くるみさんは特にわるびれるようすもなく、


「その場のノリってものがあるでしょう」


と、すずしげな顔で言ってのけた。


あきれている白河くんをよそに、

くるみさんは胸もとから取り出した懐中時計で時間を確認すると、顔を上げた。


「……残るは広間、ね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ