序章 お酒
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ユーザー名→@AMAKUSARIKI
「表出ろや!」
「え?やだ。」
即答した俺に、また爆笑が起こる。目の前の男4名は顔を真っ赤にして、今にも爆発しそうだ。
「だったらここでケリを付けてやるよ!」
「後悔すんなよ!」
「謝るなら今のうちだからな!」
「…おじさん。俺もうおじさんなのか…」
男達は思い思いに担架をきってくる。…若干1名が本気で落ち込んでいるが。
けど、こちらはゆっくり酒を飲んでいるのだ。こんなのに関わりたくない。
「…ハル。どーする?てかあいつら誰だ?」
「あの人達は、平均レベル30のパーティ、四人の獣の人だよ。私のレベルが低いのをいい事に、かなりの頻度でちょっかいだしてくるの。」
「レベル30平均か。前の俺達じゃ無理っぽいけど今なら…」
「うん。余裕だよ!」
俺達はそう結論づけると、男達の方に体を向ける。
「あぁ?ホントにやんのか?レベル20ちょいのハルちゃんが?」
「文句ある?けど、今までの私じゃないと思ったほうがいいよ?」
ハルと男達がにらみ合っている間に、周りの客は、素早くテーブルをどけて、小さなスペースを作る。そして今か今かと、ケンカが始まるのを待っていた。
あろうことか、店員達まで見学している。
…明らかに楽しんでるな。
…さて、俺もやりますか。
俺は異世界で、一度はやってみたかった事をやることにした。
「だったら賭け事でもやんないか?ただ戦うのもつまんないし。」
「…それもそうだな。それじゃあこっちの要求は…ハルちゃんを1週間借りるぜ?夜限定で!」
男は下品な笑みを浮かべながら言ってくる。
ふっ、予想通りだ。
「ちょ、それはちょっと「それでいーよ」…ってハズキ!?」
いや、別に負けないしいいだろ?俺がそんな目でハルを見ると、こう返答があった。
“後で話がある。”
…ご立腹なのか。…おこなのか…
「要求はそれでオーケーだ。じゃあこっちの要求は…お前ら拠点はどこだ?」
「あ?普通のアパートだ。」
「じゃあそれで。」
「え?…それは…」
「こっちはハルを賭けるんだ。それくらいはもらわないとな。代わりに、こっちは俺とハル。そっちはお前ら四人でいいぞ?これでいいか?」
そんな事を悠長に喋っている俺をハルがにらんでくる。
…視線が痛いです。やっぱりおこなんだろうか?
「…分かった。後悔するなよ?…いくぞお前ら!」
「「「おう!!!」」」
男達は、前衛3人が剣を持ち、後ろのリーダー格が魔法使い風だ。
「そんじゃまずは…ファイヤーメイク“鬼火”!」
「敵を穿て!“フリーズランス”!」
俺とハルは同時に魔法を放つ。ようほうとも、威力は大きくないが、数の多い魔法だ。とりあえずこれで目くらましを…
「ギャアァァ!熱いぃぃぃ!」
「燃える!燃えるぅ!」
「痛い…」
…想像以上に効いた。あ!レベルが上がったんだから、魔法の威力が上がるのは当然か!
あっけなく3人がやられたのにびっくりしたのか、魔法使い風の男…絡んできた男が固まっている。
「え?お前ら…何レベルだよ!」
「俺42」「私38」
俺達のレベルを聞いて、リーダー格の男は唖然としている。
そりゃそうだよな。ハルのレベルがいきなり上がってたんだから。
「ちょっとオーガにあってな。そいつを倒したらレベルが一気に上がったんだ。」
「オーガを倒したって…クソッ!」
男はやけくそ気味に、俺達に魔法を打ち込んできた。
それを俺がシールドで相殺し、続けざまに魔法を撃つ。
これだけであっさり男は倒れ、あっけなくケンカは終わった。
♢
「で、ハズキ。何か言いたいことはある?」
「そりゃあ、まあ沢山と…とりあえず、氷の上に正座はつらいからやめていい?」
「だめ。」
ケンカが終わり、そのあとぐだぐだと酒を飲んだあと、男達がアパートで引っ越しの準備があるからと別れたので、俺達は小屋に戻ってきていた。
そこで俺は何やらご立腹なハルに、正座させられていたのだ。しかも氷の上で。
さっきの賭け事の時から、ハルはなんだか機嫌が悪い。
店でぐだぐだやっていたときは、そうでも無かったのだが、小屋に帰ってきてから突然悪くなったのだ。
俺からすれば、いい拠点をゲットできたことだし、万々歳なのだが…
ハルは酔っているからか、顔を赤くしたまま言ってくる。
「ハズキは、どうして私が怒っているか分かってるの?」
「…すみません。分かりません。」
俺がそう答えると、ハルは、はぁ~と、溜息をし…そっと呟いた。
「これだから童貞は…」
「ちょっと待て。俺がいつ童貞だって言った?言ってないよな!?いつ知ったんだ!?」
「え?ホントに童貞なの?うそでしょ?16で童貞って…」
俺はそれを聞いて、息を飲んだ。
そう。この世界の成人は15なのだ。すなわち16で童貞はかなり珍しいのだろう。日本で言えば、20過ぎで童貞みたいなものなのか!?
…ちょっと待て。ということは、もしやハルは…
「…ハルはもう卒業してんのか?」
「え?卒業?」
「えっと…大人への扉とゆうか、ノーバージンというか…」
俺の発言に、始めはハテナマークが浮かんでいたハルだったが、さっきの自分の発言とつながっている事に気ずき、顔を真っ赤に染め上げる。
…
「なんだ。ハルも処女か。」
「まだ何も言ってないでしょ!?」
「反応見れば分かるわ。」
「しょーがないじゃん!私胸小さいし、魅力ないし!」
「そんなことねーよ。ハルはかなり可愛いぜ?俺の人生の中で、これだけ魅力的な子とは始めて会ったし。あと貧乳は悪くない。ステータスだ。」
俺は、酔っぱらっていた事もあり、そんな事をすらすらと言っていた。
まあ、ハルが俺の好みのドストライクなのはホントだが。
俺がそう言うと、ハルはよりいっそう顔を赤らめ、俺の事を見ている。
「…ホント?私って魅力ある?」
「俺の中では断トツだな。」
「…そっか。」
そう言うとハルは、氷の床を解除して俺の横に腰掛けてくる。
それも、かなり近くにだ。
「どした?」
「…何でもない。」
ハルは俺の肩に頭を乗せながらそう呟く。
俺も正座を解除して、それを何の躊躇いもなく支える。
…酒は凄いな。二人は酔っているのだが、そのおかげでこんなにもいい雰囲気が流れている。
「ねぇハズキ。」
「なに?」
「私の…初めてを貰ってくれる?」
「…え?」
酔いが醒めた。一瞬で酔いが醒めた。
それほどまでインパクトのある事を言っておきながら、ハルはトロンとした目で俺を見ている。
…やばい。いくら酔いが醒めたとはいえ、この状況は本気でまずい。今にも、ハルを襲ってしまいそうだ。
いや待て。童貞を卒業できるチャンスが目の前にあるのだ。これを見逃していいのか?
いーや。良くない。本気でエロ漫画みたいな展開だが、これを生かさないでどうするのだ。
………いや待て。そうじゃない。
酔っていて、自制心を失っている子とヤるのは駄目だろう。それに、恋人をすっ飛ばしていきなりは…駄目だろ。
俺は、自分の雄の部分を押し留めハルに言う。
「ハル。一旦落ち着け。お前、酔ってるだろ?そんな状態でやるのは良くない。お母さんが悲しみますよ。」
「…この鈍感クソ男。」
「…え?」
「私が怒ってた理由はね?ハズキが、私をあまりにも簡単に賭けたから。もし、私が恋人だったらそんなことしないでしょ?」
「…」
「それを怒ってたら、ハズキに魅力的って言われたから…ハズキにならいいかなって。」
なんてこった。まさかの普通にOKでたよ。
「…いいのか?いくら童貞とはいえ、大量のエロ漫画を見て勉強し、練習した俺は中々強いぞ?」
「そっそれは…えろまんが?が何かは分からないけど、性欲の強さは分かったよ。…ばっちこい」
「それじゃあ…」
その後、恐らく完璧には酔いが醒めて無かったであろうハルと俺は、その晩ハルを抱いた。
お互い初めてだったから、お世辞にも上手いとは言えなかったが。
しかし、1つだけ誤算があった。それは、お互いともS気質だったのだ。Sでは無いのだが、少なくともMでは無い。そのせいで、お互いがお互いの弱点を探りながらの戦いだった。
弱点を見せた瞬間に負けが決まるのだ。どっちが先に弱点を見つけるかの勝負である。
計5回の戦いがあり、結果は痛み分けといったところだった。
序盤はお互い一歩も引か無かったのだが、3回戦めでついに、俺がハルの弱点を見つけた。
耳である。軽く耳を唇で噛んでみたら、ハルがかなり反応したのだ。そのまま、耳と下を同時に攻め続け、3回戦は俺が勝った。
4回戦も、俺の優勢からスタートしたのだが、ここでハルが戦略を変えてきた。
遅行。つまり、今までは激しめにやっていたのだが、それをゆっくりと焦らし始めたのだ。自分で自分を慰める時からずっと俺は激しめだったせいで、これが思いのほか効いた。
5回戦はもう何も無い。
お互いもう限界なのに、勢いだけで突っ走ってしまったからだ。
全てが終わった後、俺とハルは服を着るのももどかしく、俺はパンツを。ハルは大きめのワンピースだけを着て、力つきた。
♢次の日
俺とハルはギルドに向かっていた。
その二人の距離は、心無しか離れてるように見える。
別に、気まずくなった訳では無い。
俺もハルも、別段そこまで気にしなかったからだ。
しかし、俺達は重大な事を忘れていたのだ。
それは…!
「どーする?ハル。」
「…やっぱり、私達酔ってたんだね。」
「だよな。普通に考えれば分かることだよな…」
「…あんな小屋じゃ、声が漏れるのは当たり前だよね…」
そう。俺達の行為中の声がダダ漏れだったのだ。
朝、近くの小屋に住んでる冒険者のあの顔が目に浮かぶ。あのニヤニヤした顔が!
エロ展開が早すぎる?
僕は中途半端な関係は嫌いなのだよ。
けど、ここからそんなにないから。