序章 街でいろいろ
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ユーザー名→@AMAKUSARIKI
冒険者の街 フリージア
主に中級レベルの冒険者が多い町で、中々に活気がある街らしい。
その街に俺は来ていた。
街に入ってすぐに病院へ行き、ハルの手当てをした後の今日この頃だ。
…治癒魔法って凄いんだな。あんだけ酷かったハルの怪我がもう治ってる。
そんで今はハルが拠点にしている所に向かっているのだが…
「…おい。なんだか周りの目が痛いぞ。というかか敵意を感じる。」
「え?そう?私に対しては特に敵意を感じませんが…」
なんだか俺に対する周りからの敵意が凄いです。しかも、その多くは男からだ。
…あれだな。恐らくハルと一緒にいるからだな。
ハルはかなりの美人だ。
実力に問題があってパーティには入ってなかったけど、多分男性からの人気は高かったのだろう。
しかもそれをハルが自覚してないからな~。
♢
「つきました。ここが私の寝床です。」
「…物置じゃん。」
ハルに案内されたのは小さな物置のような場所だった。
中に入ると地面には藁が敷きつめられ、その上にシーツがひいてある。
そして天井には糸が張られ、そこに服やら下着やらが干してある。…ここの下着って色気もクソもないんだな。おばさんのブラかよ。
「なんでこんな物置に?宿には止まらないのか?」
「私みたいな、ギリギリ中級ってぐらいじゃ宿なんてとれませんよ。そういう人は、こういった物置なんかを貸して貰うんです。」
「…そうなのか。俺はどうしようかな…」
俺がそうぼやくと、ハルはキョトンと首を傾げ当たり前のように言った。
「へ?ここで一緒に泊まるんじゃないんです?」
「…え?」
「え?…普通、パーティは同じ寝床で泊まるのですが…嫌ですか?」
「いっ嫌じゃないけど…ハルはいいのか?」
「?いいですよ?同じパーティなんですから。」
これは…あれだな。きっとハルは俺を異性として見てないんだな…
…別に傷ついてなんかねーよ。
「そんじゃあ、よろしくな?」
「はい。狭いですけどお金が溜まるまでの辛抱ですから!」
♢
現在、俺達は風呂屋に向かっていた。
てっきり、こういった異世界だと風呂は貴族とかしか入れないもんだと思ってたからびっくりだ。
「思ったよりもずっと綺麗な街だな。冒険者の街って言うくらいだから、もっと汚いかと思ってた。」
街は中世のヨーロッパみたいで、道も整備されてる。なんだかスペインの街並みみたいだ。
「そうですね~私も来たばっかりのころは驚きましたもん。」
「ハルはどこ出身なんだ?」
「私は、西のほうにある小さな村の小さな一族の生まれです。ハズキはどこですか?」
「え~と、極東の島国…日本って分かる?」
「日本…?どこかで聞いた事がある気が…忘れました。」
聞いた事があるのか?
そんな事を話しているうちに風呂屋についた。
うん。日本の銭湯を思い出すね。行ったことないけど。
中に入ると、そこは集会場みたいになっており、くつろいでいる人も多い。
「それじゃあ、お風呂上がったらここ集合な。」
「りょーかいです。」
俺は、男と書いてある方へ入る。
中はちゃんと掃除がされているのかとても綺麗だ。
俺は手早く服を脱ぎ、風呂場へ向かう。
風呂場は温泉のような作りだった。
俺は手早く頭と体を洗う。…普通にシャンプーとかあんのな。
体を洗い終わり、俺は湯に浸かる。
「やっぱり風呂は最高だ…」
疲れがゆっくりとても抜け出すいく感じがやはり心地よい。
そのまま15分程浸って風呂を出る。
体を拭き、服を着る。…替えの服がないのは辛いな。このあと買いにいこう。
集会場に行くと、そこには既にハルがいた。
少し湿っぽい銀髪と、ほんのり赤いほっぺが、非常に色っぽい。
服もさっきとは変わっていて、かなりゆったりした物を着ている。
ゆったりした服から見える白い肌と、大きくはないとはいえ、女性特有の胸の膨らみもとてもグッドだ。巨乳より貧乳押しの俺としてはジャストな大きさである。
髪型も、銀髪ロング(次に黒髪ショート)推しの俺からすれば素晴らしいものだ。
…考えてみれば俺、ハルの容姿は俺のピンポイントアカデミー賞受賞レベルでピッタリだな。
あれ?俺、今日からこの子と一緒にあの小屋で暮らすんだよな?…俺の理性がどこまで持つか…
…いや、落ち着け一条。大丈夫だ。落ち着け…
この間約1秒
一瞬で、俺の雄の部分を封じ込めた俺はゆったりとハルに近づいていく。
ハルもこっちに気ずいたのか、小さく手を振っていた。
「ごめん。遅かった?」
「全然平気ですよ。それじゃあ次行きますか。」
「え?次って?」
「私の新しい杖を買うんですよ。ハズキは、替えの服でも買います?」
「あぁ。そゆこと。俺も替えの服欲しかったから丁度いいね。」
風呂屋を出ると、既に少し薄暗くなっていた。
時間的には4時くらいなのかな?気温はそんなに寒くない。
「そういえばハル。今の季節ってなんなんだ?」
「季節ですか?おかしな事を聞きますね…今は花ですよ。」
「…花?ちなみに他にはなにがあるんだ?」
「え?えっと、今が花で、次が火。その次が土で、最後が氷。花から氷にかけて寒くなっていきますね。」
つまりこういうことか?
花が春。火が夏。土が秋。氷が冬。
そんで今が春みたいなものか。
「…もしかしてハズキは、かなりの世間知らずなのですか?」
「あ~うん。他にも色々質問してもいい?」
質問の結果がこれだ。
・1年は日本と同じで12ヶ月。一月は全て30日。
・時間も日本と同じ。
・化学も日本程では無いが進んでおり、魔法とのハイブリッドによって、日本より進んでいる分野もある。
♢
「つきました。ここです。」
俺達が来たのは、武器屋というよりはなんでも屋みたいな感じで色々売っている店だった。
「30万もありますからね…少し高いのを買っちゃいますか。」
そんな事を言いながらハルは杖の売り場に行ってしまう。
しょうがないので、俺は服でも選びに行きますか。
既に装備が一式ある俺は、適当に普段着を選んでいく。
シンプルな服が好きな俺は、白や黒といった単色の物を選ぶ。
ズボンも革製の単色の物をいくつか選び、そのままレジへ向かう。
「…お?」
レジへ向かう途中に、ちょっと気になる物を見つけた。
黒のローブである。
俺の今の装備は、どちらかというと軽戦士や盗賊のような、かなりの軽装備だ。魔法職には見えない。
けど、このローブを着れば魔法使いみたいだろう。
ハルは白いローブだったから色もかぶらないしね。
俺は服とローブをレジに持って行った。
「…このローブ高いけど、あんた買えるのかい?」
「え?ちなみにいくらですか?」
「8万Gだよ。こっちの服と合わせて8万6千Gだね。」
「あ、なら大丈夫です。お願いします。」
「あら?あんた見かけによらず金持ちだねぇ。ローブは今着るかい?」
「はい。着れるなら着たいです。」
俺はその場でローブに着替え、ハルの所へ向かう。
所持金は半分に減ったが、いい買い物ができたな!
ハルは杖の前で悩んでいた。2本の杖を見比べながらうんうんうなっている。
「おーい。こっちはもう買ったぞ~。」
「あ!またせてしまいましたか?」
「全然。今買ったとこだし。」
「あ!ローブも買ったんですか!私は白ですけど、黒もいいですね!」
「だよな!俺も結構気にいってる!」
それだけ言うと、ハルは2本の杖を持ってまた悩みだす。
「ねえハズキ。そのローブっていくらでした?」
「え?8万だけど…なんで?」
「8万!?そんなに使っちゃっていいんですか?」
「いや、安い物を沢山買うより、高い物を一つ買ったほうがいいからな。所持金は半分になったけど…」
「…!なるほど!確かにそうですね!」
「…もしかして、それで悩んでたのか?」
「はい。10万の杖と、5万の杖どちらにしようかなって。」
その後、ハルは高い方の杖を買ってご機嫌そうに店を出るのだった。
「お腹すきましたね…ご飯にしませんか?」
武器屋を出たハルの一言目がこれだった。
「別にいいよ。俺も腹減ったし。何食べる?」
「ラーメンとかはどうです?」
「ラーメンあるんだ…うん。俺はそれでいいよ。」
まさかラーメンがあるとは…この世界って所々地球の面影あるよな…
♢
「おいしかったですね!」
「うん。普通にうまかった。」
異世界のラーメンだから、凄いキワモノとかあるのかと思っていたが、そんな事はない普通のラーメンだった。
醤油ラーメンを俺は食べたのだが、あっさりめのスープに細めの麺がしっかりと合い、つけ合わせのメンマやチャーシューまでうまかった。普通に日本で店を出せるレベルだ。
「もう暗くなりましたね~そろそろ帰りますか。」
「おっ、おう。そうだな。」
おっと、忘れかけていたがこれからあの小さな小屋で二人で寝るのか。………鎮まれ。鎮まれ俺の雄の部分よ…
ハルと適当に喋っているうちに小屋についた。
ハルはなんの躊躇も無く中に入っていき、少し遅れて俺も入る。
「ふわぁ~ここにきたら急に眠くなっちゃいました…」
「そ、そうだな。俺も眠くなってきたよ。」
「じゃあもう寝ますか…」
そこまで言うと、ハルはコテンとシーツの上に倒れ、あいてる方をポンポン叩いている。
…ここで寝ろってことか。
俺がそこに寝ころぶと、ハルはニコっと笑い、そのまま眠りについた。…無防備すぎだろ。
…俺も寝よう。
俺は昂ぶる気持ちを抑えつつ、眠りについた…
男性に賢者タイムは必須だよね!