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序章 森の中で②

僕は銀髪ヒロインが好きだぁ!


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@AMAKUSARIKI←Twitterの垢

深夜の森を、俺はハルを背負って全力で駆けていた。

周りに鬼火を浮かべ、さらにその周りに氷の盾で囲みながら。


俺が盗賊から全力での逃亡を始めてから、かれこれ1時間以上である。

盗賊達は夜目が利くのか、暗い森を走り周りながら俺の方に的確な攻撃を放ってくる。

対しておれは夜目が効かないため、不利とは分かっていても周りに火を浮かべるしかなく、さらに敵の位置も把握できてないため、反撃も出来ない。さらにハルを庇いながらの逃亡である。これじゃあ後手にまわるしかない。


「…くそ!あいつらちょこまかと…」


俺は飛んできた弓を氷の盾で防ぎながら悪態をつく。

今はまだ逃げていられるが、魔力が尽きたらそこまでだ。実は今はもう危ない感じである。

詳しくは分からないが、なんとなく魔力の残量が分かるのだ。恐らく今は全快時の10%程しかない。

このまま逃げるにしても盗賊達を振り切るか、倒すしかないのだ。

一応倒す算段はついているが、それを実行するまで逃げきれるか?…

そんな風に考えていた俺に、ハルがおずおずと喋りかけてきた。


「あのぅ…どうしてそこまで頑張るんですか?私とハズキは初対面なのに…」


「え?…そういえば何でだろう…」


考えてみればそうだ。初対面の子を助ける為に、何で俺はこんなに頑張ってるんだ?何故だ?………


愚問だったな。

…決まってるだろ。そうだ。俺が頑張る理由は…


「そこにフラグがあったから。」


「へ?」


「盗賊に捕まってる子を助けるっていうのは異世界あるあるの1つだからな。当然のことだ。」


そうだ。ここは異世界で、俺は偶然とはいえ召喚された身だ。可愛い女の子を助けるのは当たり前のことだ!


「…半分以上言ってる意味が分かりませんが、褒められる理由じゃないのは分かりました。」


「まあ、普通そんなもんだろ?」


「そうだね。…でも大丈夫ですか?かなりつらそうですけど。」


「ぶっちゃけ逃げるのはキツいかな…だからここで迎え打つ。」


「え?」


間に合った。

俺が来たのは、後ろが高い崖になっている空き地のような場所だった。そこにハルを降ろしてその周りを氷の盾で覆う。

ちょうどそこまでやった時に、盗賊が現れた。


「へへ、やっと追い詰めたぜ。」

「どんな風にバラしてやろうかな。」


盗賊の数は5人になっていた。

そんな5人の男が自分の武器を手に持ち、こちらに近づいてくる。

こいつらは俺を追い詰めたとでも思っているのか、全員がニヤニヤ笑っている。

だけど俺は、盗賊の方を見ながら余裕の表情で喋り出す。


「いや~1時間弱もお疲れさま!ここまで頑張ってくれてなんだけど、お前らはここでやられて貰うぞ?」


俺がそう言うと、盗賊達の間で爆笑が起こる。

そんな相手を見ながら俺は、手に氷の剣を造形し、肩に担ぐ。


「追い詰められた次は強がりか!1時間も必死に逃げ回ってたくせにな!」


「強がりかどうかは、戦かってからにしようぜ?」


そう言ってみせるが、俺は内心はどきどきしていた。

俺の作戦通りになれば恐らく勝てると思うが、魔力がどこまでもつか分からない。

さて、やってみますか!


「いくぜ…アースメイク“クリエイトアースゴーレム”!」


「「「「「え!?」」」」」


俺の残り少ない魔力のほとんどをつぎ込み、ゴーレムを作る。

このゴーレムがどれくらい強いかは分からないが、稼働時間を減らして、ただ強いゴーレムを作ったからそれなりに強いと思う。…強いよな?


「ゴゴゴゴゴコ」


「“ファイアーボール”!…あれ!?」

「まじか!なんだコイツ!魔法が効かねえ!」


俺の作ったゴーレムが、変な音を出しながら盗賊達を襲い始める。

想像以上に有能だな。よし………


「そんじゃあ俺も行くぞ!!」


俺はゴーレムに襲われ、半狂乱状態の盗賊に向かって叫び、襲いかかった!




「「「「「すみませんでした!」」」」」


俺の目の前では、傷だらけの盗賊5名が土下座をしていた。

そんな盗賊の前で俺は、氷の剣を肩に担ぎ、上から目線で見下ろしている。


「いや~俺は別に被害にあってないからな?謝るなら俺じゃなくて、ハルに謝るのが筋だと思うぞ?」


「「「「「ハルさん!すみませんでした!」」」」」


「…謝るくらいなら早く私の装備を返してください。あとお金も。」


しかし盗賊は、少し困った顔をすると、その内の一人がおずおずと喋りだした。


「あの、えっと…ハルさんの装備ですが…そこの旦那に全て燃やされました。」


「え?」

「!!?」


「奇襲された時の炎の魔法と雷の魔法によって…」


まじか!確かに結構本気で撃ち込んだとはいえ全部燃えた!?

恐る恐るハルを見ると、ハルは少し絶望した表情をしていた。盗賊に犯されそうになっていた時程ではないが、それでも目は死んでいる。


「私の装備が…あの中に全財産入ってたのに…」


「ごっごめん!悪かった!ホントにごめん!」


「いいですよ。命が助かっただけマシです…」


やばい!どうしよう!

……………そうだ!


「おい盗賊!お前ら今、金どのくらい持ってる!?」


「え!?おい、お前らいくらもってる!?」

「俺は…8万G」

「俺5万」

「俺11万」

「2万」

「俺が20万だから…合計46万Gです!」


…こうゆう場合は、ほとんどが1G1円計算だ!

てことは46万円!


「それを全部差しだせ!」


「はい!分かりました!おら!早く出せ!」


俺が巻き上げた金をハルに渡すと、ハルは凄い勢いでそれを断った。


「46万!?そんな大金全部は貰えません!」


「え?けど装備殆ど無くなったんだろ?」


「あれはそんな凄い装備じゃありませんよ!半分!半分でいいです!」


そのあともハルが金を受け取らないため、妥協としてハルに30万。俺が16万になった。



「ホントに逃がしてくれんのですか!?」


「別にいいよ。金とか沢山貰ったしね。けど、俺達には手を出すなよ?」


「あ、ありがとうございます!」


俺は結局盗賊を逃がす事にした。俺には人殺しなんてできないし、街に連れてくのも面倒だ。

他の人達が被害に遭うかもしれないが、そんなこと俺は知らない。



盗賊を逃がしたあと、俺達は街に向かっていた。

ハルの怪我が結構酷く、盗賊達が持っていた薬じゃ、応急措置程度にしかならなかったからだ。


「すみません。こんな迷惑かけて…」


「別に気にすんな。…ハルは冒険者仲間とかいないのか?クエストには一人で来てたみたいだけど。」


「…私、ジョブは魔法使いなんですけど…氷の魔法しか使えないんです。そのせいで、中々パーティを組んでくれる人が少なくて…」


「…え?そんだけ?」


俺の中では、一人一つの属性が普通だぞ?

そんな反応をした俺に、ハルはこう言った。


「普通の魔法使いなら、火、水、風、土の四属性が使えるんです。その他に、雷や氷、光、闇、木などの副属性の魔法を一つ程覚えてる人が多いです。けど、私は氷魔法以外の魔法が覚えられなくて…」


…大変だったんだろうな。

俺はハルの話を聞いてそう感じた。

…よし!


「じゃあ俺とパーティ組むか?」


「え?」


俺の提案を聞いたハルが、びっくりした顔でこちらを見てくる。


「いや、俺としては別に使える魔法属性が一つだけでもあんまり気にならないし。それに、俺のジョブ造形魔道士だから、光と闇以外なら使えるしね。」


「ホントですか?…ならお願いします。」


「おう。よろしくな。」


…俺がハルを誘ったのにはもう一つ大きな理由がある。

そう。ハルはかなりの美人なのだ。年は俺とそんな変わらないかんじで、身長は160センチ程。長い銀髪に青色の目。胸は…ギリCあるかなってところだ。今、ハルをおんぶしているのだが、しっかりと胸の柔らかさが伝わってくる。このままなら、あと数時間はおんぶしていられる気がするね。


しかし、そんな幸せの絶頂にいた俺に、ハルが爆弾を落としてきた。


「けど、ハズキも大変ですよね。造形魔道士なんて。」


「え?今なんと?」


「え?えっと、造形魔道士って大変だよねって…」


「…なんで?」


「いや、造形魔法って決定力というか、火力が低いじゃないですか。それに、一つ一つの威力が、普通の魔法より低いですし…」


「まじで!?そうなの!?」


「知らなかったの!?造形魔道士は、最弱職の冒険者の次に弱いとされてるジョブですよ?基本的に造形魔道士は、建築や芸術系の仕事で人気ですし。冒険者をやってる造形魔道士はかなり少ないはずです。」


マジか。

…まあ、薄々気ずいてたけどな!なんか器用貧乏な魔法だな~って!

俺の表情が落ちこんでいるのに気がついたハルが少し慌てたようにフォローしてくる。


「けっけどハズキは剣も使えるし、魔力も多いから大丈夫だよ!別に造形魔法が弱い訳じゃないから!ただ、少し器用貧乏なだけだから!」


そのフォローにまた傷つきながら、俺は街を目指した。




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