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序章 1つの終わりと始まり。

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ユーザー名→@AMAKUSARIKI

「やあ、遅くなってごめんな?けど、助けに来たぞ。」


そう、神は言った。

さながら物語の主人公のように。さながらヒーローのように。そして、英雄のように。


けど、俺の心は晴れなかった。

それどころか、どうしてこんなに遅いんだ!と、文句を言いたくなってしまう始末だ。


神様は俺の心を読んだのか、顔を一瞬暗くし、こう言った。


「…ごめん」


「え?」


「僕がもっと早く行動していれば、あの子は助かったかもしれない…。ホントにごめん。」


俺は何も言わずに下を向いていた。しかし、その後の神の言った言葉は、俺にとってはとてつもないことだった。


「けど、あの子を生き返らすことなら出来るかもしれない。」


「な!?」


「可能性の話だけどな?それも、真っ当な方法じゃない。」


「…聞かせてくれ。」


「方法は…」


しかし、この会話は突然途切れることになる。アイツのせいで。


「…妾をほっといて何をやっておるのだ。おい。神様よ。実は妾は、神殺しというのをやってみたかったところなのじゃ。どれ、妾と本気でやり合ってみないか?」


突然の提案だが、それを聞いて神は立ち上がる。俺に一言告げて。

それを見てグランヒルデは、戦闘開始とでも思ったのか、神に突っ込んでいき…


「何俺のこと忘れちゃってんだよ。てめぇの相手は俺だろうが。」


その神の一言のおかげで、やる気になった俺に弾き飛ばされた。


「…うお。ホントに力が上がってる。神様。まじありがとう。」


「別にパワーアップさせようと思ってやった事じゃないけどねな?まあ、()()()()()()()()()()そんぐらいにはなるわな。…これってチートに入るのかな?」


「さあ?けど、ありがたく頂戴致します。」


そう言って俺は、神様から貰った短剣を持つと、それを刀の形にして、グランヒルデに突っ込んでいく。


突然の俺のパワーアップに驚いていたグランヒルデは、俺の斬撃に反応するのが少し遅れ、まともに斬られる。


「くっ」


「確か吸血鬼は血を流し過ぎるとやばいんだったっけ?さっきの戦闘で、お前もかなり血を流してるよな?どこまで持つかな!?」


俺は、以前の倍近いスピードでグランヒルデを切り裂いていく。いくら動きにムラがあろうとも、それをカバーする身体能力があればまったく問題ないのだ。


「ファイアーメイク!«爆裂»!ウィンドメイク«竜巻»!!サンダーメイク«雷撃»!!!」


俺の造形で造られた3つの魔法は、それぞれの個性を生かしながら合わさっていく。言ってしまえば、造形魔法を、また造形したようなものだ。今、即興で考えた魔法にしては中々の出来だろう。名前は…


(ライトニング)(トルネード オブ)(エクスプロージョン)!!」


…長いか!?そして技名のセンスが無さすぎる!


そんな変な名前の魔法だが、威力はそれはもうやばかった。

初撃の雷で体が麻痺し、トルネードによって体が空高く舞い上がり、爆裂によって体がボロ雑巾のようになる。

以前なら、このくらいの傷なんかはすぐに治るせいであまり魔法に期待はしていなかったが、吸血鬼の弱点が分かったため、かなり期待出来る。


空中で爆破されたグランヒルデは、自由落下しながら傷を癒していく。心無しか、傷の治りが遅く感じた。


そんな隙を俺が逃すことなく、吸血鬼化と神の血のおかげで身体能力が格段にアップした俺は、自由落下してくるグランヒルデに対して追撃を行っていく。


「おらァ!ファイアーメイク«爆裂»!!」


「ぐふっ!!」


一瞬でグランヒルデの横に並んだ俺は、至近距離での爆裂をお見舞いした。

流石にこの距離だと俺もくらうが、そんなの吸血鬼の治癒力で一瞬で治る。

それに対して、俺との戦闘で血を流しすぎたグランヒルデは、やはり治癒力が下がってきているのか、回復が遅い。


しかし、流石は世界最強の冒険者。

体中から血が出ていようと、血が足りてなかろうと、空中でしっかりと態勢を整えて地面に着地する。


勿論俺もなんの危なげも無く着地するが。


「…で、グランヒルデ。もうそろそろ限界たんじゃねーか?」



「…カカ。とうに限界など迎えておるわ。お主と違って妾は回復してないしのぉ。それに…神の血を飲んだ奴に勝てる訳なかろう。」


…神の血ってそんなに凄い物なのか?

疑問に思った俺は、神の方を向く。


「…神の血は、それはもう凄いんだよ。傷にかければすぐに治るし、荒れた地にかければすぐに豊かな土地に変わる。アンデッドの類にも効果敵面だ。リッチーだって一瞬で浄化しちゃう。…勿論、吸血鬼もね。」


「…え?吸血鬼にも効く?それじゃあなんで俺は平気なんだ?」


「それはお主が眷属だからじゃ」


俺の質問に答えたのは、グランヒルデだった。


「眷属…半吸血鬼。つまり半分は人間なんじゃよ。そのおかけで、神の血を飲んでも平気じゃった。」


…つまり半分は人間だから大丈夫だったと。


「まあ、基本的に僕は地上には降りない。そんな、超プレミアでスーパーな血液なんか飲んだら、凄まじい力が出るわな。」


「なるほど。」


…つまり俺は超強いということか。



<>



「…そろそろ終幕といくか」


「そうだな。」


そんな俺達の前にいるのは、世界最強の冒険者で、吸血鬼の貴族で、俺を半吸血鬼にした、グランヒルデ・L・スカーレット。


…あのあと本気を出したグランヒルデは、かなり強かった。


地上にいるせいで力が弱まっているとはいえ、神様とも互角以上に戦ったのだ。もし、俺がノックアウトしていたら、本気でグランヒルデが神殺しを達成していたかもしれない。


「カカカ。お主を眷属化したのは正解だったかもしれんな。」


グランヒルデは、地面に倒れながらそう言って笑う。

恐らく、グランヒルデの悲願だったであろう自殺が達成できそうなんだからな。


「それじゃあグランヒルデ。お前はもう眠れ。」


「…そうじゃな。」


神様は自分に手をサクッと切り、その血をグランヒルデにかける。

すると、グランヒルデは血をかけられた場所から消えていった。

グランヒルデが完璧に消え去るまで、5分もかからなかった。



<>



「ハルをリッチー化させる!?」


その言葉を聞いた時、俺はかなり驚いた。

しかし神様は平然として、ハルのリッチー化の準備を進める。


「正確には半リッチー化だけどな?」


「…けど、確かリッチーって、大魔法使いが禁呪を使ってなる物じゃなかったっけ?少なくとも、ハルは大魔法使いでは無いぞ?」


「だから半リッチーなんだよ。ハルは元々高い魔力を持ってたからな。多分そのくらいならなれると思う。それとも、ゾンビの方がいいか?はたまたグールか。」


「リッチーでお願いします。」


そう言った後、俺はハルの死体を見る。

まだ死んでから1時間もたっていないから、そこまで違いは分からない。しかし、胸に空いた穴が、ハルの死を物語っている。


「…出来た。ほら、ハズキ下がって。今から始めるから。」


「あっうん。」


先程まで、ハルの周りに何か書いていた神様が、俺のいた近くに立つ。そして、何やら詠唱を始めた。


そして…


《йдаЬе югсыйеъ ЯЮЩХШФХПЕДЖ!!》


何やら最後に大きな声でなんかを叫ぶと、ハルの周りに書いてあった物が光だした。


あれは…魔法陣か!!


その魔法陣は、どんどん光量が増していき、目を開けるのが辛くなるレベルまで明るくなった瞬間!!その光が弾けた。


まるで、目の前でビックバンが起こったかのような光量だった。

光が弾けた後の魔法陣では光は発生しておらず、そのあまりにも大きな明るさの違いのせいで、目が眩んでしまう。


そして、ようやく目が慣れてきたころに…


魔法陣から1人の少女が起き上がった。


その少女は、目を擦りながら左右を見ている。

長い銀髪がぴょこんと跳ねており、右左を見るたんびに、ぴょこぴょこ揺れている。


その少女と目があった。透き通るような碧眼が、俺のことを見てる。


そして…


「…ハズキ?」


そう、言った。その声を聞いた瞬間、俺は吸血鬼の身体能力を全力で駆使してハルに飛び込み、思いっきり抱きついた。そのスピード。まるで瞬間移動の如く。


「ハル!!!!」


「え!?ちょ!?ハズキ!?いきなりどうしたの!?って痛い痛い痛い!!抱きしめ過ぎ!」


「え!?あ、ごめん!痛かった?」


「そりゃあね…って!ハズキ!グランヒルデは!?」


そう言ってハルは周りを見渡す。しかし周りを見ても、既にグランヒルデはいない。その代わりに、ハルにとっては初対面の少年がいるのだが。


「…ハズキ。あのひと誰…?」


「あの人?…あぁ。神様だよ。ね?神様。」


「どうも。神です。ちなみに君を甦らせたのは僕だから(^^)」


「蘇らせた?…あっ!そうじゃん!!私、確かグランヒルデに殺されて…」


「そして、その後に俺も死にかけて、けどグランヒルデに吸血鬼化させられて、それでもピンチになった時に、神が来た。」


「そして、ハズキと僕で協力してグランヒルデを倒し…ハルをリッチーとして蘇生した。」


「「そして今に至る。」」


「…は?」


あまりにも一気に言ったせいか、ハルの頭がオーバーヒートしたらしい。

ハルは少しの間頭を押さえた後、俺達に質問を開始した。


「…まず1つ。グランヒルデはもう倒したのね?」


「うん。倒したというか…」


「僕の血を使って消滅させた。」


「…あ、神様の血か。確か神の血には浄化作用があるというし。…次、ハズキは…吸血鬼になったの?」


「あぁ。なんかグランヒルデに、眷属にしてやる~みたいなこと言われて、血を飲まさせて吸血鬼になりました。」


「正確には半吸血鬼だけどな?」


「そうだった。半吸血鬼だ。」


「…そう。ホントに吸血鬼になったんだ。…そして最後に。」


そこで、ハルは一旦深呼吸し…


「…それで、私はリッチーになったんだっけ?」


「「正確には半リッチーだけどな。」」


俺と神の声がハモる。


「それってそんなに大事!?リッチーも半リッチーも大した違いないじゃん!僅かに本家リッチーが強いだけじゃん!」


「いや、君はそんなことは無い。神である僕が全力を持ってリッチー化させたんだ。多分本家リッチーを軽く超える強さと魔力量だと思うよ?ハズキとも互角に渡り合えるだろうね。」


「…それって相当強くないですか?確かハズキってグランヒルデと互角に戦ったんですよね?」


「そうだね。つまり今の君達は、この世界でトップクラスの強さってことだよ。良かったね!」


そんな、超能天気な神様を見ながら、俺とハルは苦笑いする。


確かに、強さを手に入れたのは嬉しいのだが、世界最強クラスともなると気後れしてしまう。それも、他人から貰った力だし。


「…まあ、力があるならいっか!とりあえず、早く家に帰ってゆっくり休みたい。」


「確かにね。それじゃあ帰ろっか?」


「じゃあ僕も帰るとしますか。ハズキ、ハル。これから大変だと思うけど、頑張ってね?それじゃあ!」


そう言って神は消える。


…大変だと思う?


「…ハル。何が大変なのかな?」


「さあ?とりあえずまずは街にかえ…あ。」


街の方を見たハルが固まった。

続いて俺も街の方を向くが、俺も固まる。


そう。俺達の視線の先では…


崩れたした防護壁。そして、崩壊した街が広がっていた。


…そーいえばこうなってたね!!




吸血鬼を殺せるのは吸血鬼だけ…と、書いたのに神様によって殺されたグランヒルデ。

だけど、ホントは吸血鬼を殺せるのは吸血鬼だけです。その方法は、相手の血を最後まで吸うこと。

ハズキが狙ってたのもこれです!

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