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序章 吸血鬼の弱点

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ユーザー名→@AMAKUSARIKI

人が人で無くなってしまうということは、どういうことだろうか?

例えば、人が鬼になったとする。

見た目は厳つい感じで、角もしっかりと生えている。これだけだと普通の鬼と変わらないが、彼の心は人間である。鬼が元々どんなに冷酷で、冷徹で、人を食料としか思わない存在だとしても、心が人間ならそれは人ではないだろうか?

見た目が化け物でも、人と同じように暮らし、嬉しいことは嬉しい。嫌なことは嫌。辛いことは辛いなどの感情があれば、人として生きていけるのでは無いのだろうか?

例え見た目が化け物でも、心が人間だったら人間として生きていけるのだ。

家族や友人と一緒にバカ騒ぎしてもいい。一丁前にボランティアなどで世間の人の役にたつでもいいのだ。


では逆に、人のまま人を辞めるとどうなるのだろうか?

この答えは簡単だな。

その者は孤独になる。

いくら見た目は人間でも、心が人間で無ければ誰も寄ってこない。


なんでいきなりこんな話をするのかって?


なんとなくだよ(๑• ̀ω•́๑)✧



<>



前略 ハズキは吸血鬼になった。

正確には半吸血鬼だけどな。


ちなみに吸血鬼と半吸血鬼の違いって皆んな分かるか?


ん?治癒力?

残念。治癒力に大きな違いは無い。


吸う血の量?

確かに多少は半吸血鬼の方が少ないが、そこまで大きな差は無い。


不死性?

まあ、正解っちゃ正解かな?普通の吸血鬼の寿命は500年、吸血鬼の貴族グランヒルデなどは軽く1000年。それに比べて半吸血鬼(主に眷属など)は、精々300年ってとこだからな。


だが、もっと大きな違いがある。教えて欲しいか?


…正解は目の色だ。

普通の吸血鬼の目は赤(例外もいる)

それに対して、半吸血鬼はオッドアイだ!かっこいいだろ?基本的には右目が吸血鬼特有の赤色で、左目が元々の目の色。

つまりハズキの場合は、右目が赤、左目が黒という非常に厨二心をくすぐる見た目だ。


それともう1つ違いがある。


体の脆さだ。

半吸血鬼は体が非常に脆い。何の運動もしてない理系大学の研究員並に体が脆いのだ。

元々吸血鬼という種族は体があまり強くない。

まあ、傷付いてもその瞬間から治っていくから全く問題はないのだが。

しかし、その分他の性能が非常に高い。

身体能力に頭の回転。直感にいたるまで本家の吸血鬼よりも高い性能を持つ。


これを聞いて、こう疑問を持った人は多いだろう。


なんで吸血鬼は眷属なんか作るんだ?と。


名前は眷属だが、それには主従関係を強制する能力は無い。もし眷属が裏切れば、危ないのは作った本人なのだ。

では何故吸血鬼は眷属を作るのか?


答えは、死ぬ為である。


吸血鬼というのは、非常に長命な種族で、さらに治癒力もかなり高い。簡単に言えば死ねないのだ。勿論寿命はあるが、それは非常に長い。その為、死にたくなった吸血鬼が、自分で眷属を作るのだ。

基本的に眷属は、作った本人より強い。それに、吸血鬼を殺せるのは()()()()()()()()

自殺にはもってこいである。


ここまで聞いたら、この長ったらしい前書きの意味が分かっただろう。


まあ長話もここらで終いにしますか。


では あなたが吸血鬼に狙われないことを祈って…



<>



俺とグランヒルデの戦いは、戦いと呼べるものでは無かった。

言ってしまえば、ノーガードの撃ち合いみたいなもんだ。


お互いが不死者であるため防御を必要とせずに、至近距離でやり合っている。


グランヒルデの裏拳が俺の頬を捉えた。喰らった瞬間に頬は爆散し、派手に血が吹き出す。

しかしその僅か後には傷1つない綺麗なほっぺたが現れる。

仕返しとばかりに俺は爆裂を撃ち込む。

グランヒルデは一瞬でズタボロの雑巾みたいになるが、もちろん即治癒完了。


こんな戦いが、小一時間程続いている。


吸血鬼になったおかげか体力が切れる様子もなく、魔力も全然大丈夫だ。

しかし、どうしても決定力が足りない。

このままだと、グランヒルデを殺すことが出来ない。


いや、1つだけ手が無いことは無い。

俺が日本で大好きだったライトノベルシリーズでの中で、今の俺と同じような状況で戦うシーンがあった

あの時の決着方法が、もしかしたらグランヒルデにも効くかもしれない。


俺は意識を目の前に戻す。

相変わらずグランヒルデは笑いながら拳を振るってきている。

この状態を上手く切り抜けてあれをするにはちょっと無理があるな。どうにかして、意表をつけないだろうか…。


「なあお主。ちょっと質問していいかの。」


「は?いきなりなんだよ」


俺は攻撃の手を緩めることなく言う。しかしグランヒルデは、そんなことを全く気にしないで普通の質問を始めた。


「どうしてお主はそんなに必死になって、妾を殺そうとしておるのだ?」


「…言わなきゃ分かんないのか?」


「なんとなくは分かっているのじゃがなぁ。けど、それがどうして妾を殺すことに繋がるのかが分からんのじゃ。」


「………」


確かにそうだ。たとえグランヒルデを殺したとしても、ハルは生き返らない。そう考えると、この戦いは何の意味もない戦いになる。グランヒルデが疑問に思うのもしょうがないことだろう。


……それでも


「お前を殺せば、少なくともハルの仇うちにはなるからな。とりあえずそれが理由だ。」


「…つまらん理由じゃのお。」




くだらない話の時間は終わった。


また、さっきみたいな戦いとは言えない戦いが始まる。


…しかし、戦いは明らかに変わった。


グランヒルデから笑顔の消えたのだ。

さっきまではカラカラと笑いながら攻撃してきたのに、今は非常につまらなそうな表情だ。

攻撃のスピードも変わった。

明らかにさっきの攻撃とは比べ物にならないレベルの攻撃速度だ。いくら吸血鬼特有の治癒力があるとはいえ、痛みはあるし、治癒するまでには一瞬のラグがある。

さらに、戦闘経験の差も大きい。

元々ちゃんとした武道をやってなく、レベルやら神からのプレゼントとかで強くなった俺なんかじゃ、世界最強の冒険者として数々の修羅場を潜ってきたグランヒルデには勝てるはずもない。

いくら吸血鬼の眷属が、作った本人よりも高い性能を持っていようとも、それを使いこなせなければ一瞬の隙が生まれてしまう


その一瞬の積み重ねによって、俺は徐々に押され始めた。


「お前…手抜いてやがったな。」


「悪いかの?…お主も期待外れじゃったか。いつになったら妾を殺せる者が現れるのかのぉ?」


「…自殺志願なら自分で勝手に死んでくれ。」


「吸血鬼が自殺出来ないのはお主が身をもって体験しておるじゃろう?」


「…確かにな」


さっきのグランヒルデの質問のお陰で少し冷静になれた。

…さて、どうやってこいつを殺そうかねぇ。


そんな事を考えている間でも、グランヒルデの攻撃は止まらない。

俺はそれに何とか食らいついて耐える。いくら体中がズタボロになろうとも、そんなのはすぐに治るのだから。


「…そろそろかのぉ。」


「え?」


グランヒルデがそう呟いたのに俺が気づいた瞬間、俺の体から急速に力が抜けていくのを感じた。


突然の脱力感に俺は焦りつつも、すぐにバックステップでグランヒルデから距離を取る。

しかし、さっきまで羽のように体が軽かったのが嘘のように体がだるく、酷い頭痛もする。


そして………


喉が凄く乾いてきた。


その乾きが非常に辛い。まるで何週間も水を飲んでいないかのような乾きだ。

けど、水が飲みたい訳ではないのだ。酒でもない。しかし、俺は本能で分かった。人間としての本能では無い。吸血鬼としての本能だ。


「…血が…飲みたい…?」


「そうじゃろうな。お主は勘違いしてるかもしれないが、決して吸血鬼は最強では無いのじゃぞ。血を流し過ぎれば勿論血が足りなくなる。そして吸血鬼には、血が絶対的に大事な物じゃ。足りなくなれば血を吸わねばならん。」


グランヒルデがそんな事を言ってたような気がするが、俺の耳には入らない。

既に俺の思考には、血を飲みたいとしか考えられなくなっていたからだ。


「血…血が…血が飲みたい。」


「カカカ。辛いじゃろお?吸血鬼にとって乾きは一番辛い物じゃからなぁ。」


既に俺は呻くことさえ辛くなり、ただ地面に横たわっているのが限界になっていた。

そんな俺の事を見下しながら、グランヒルデは大きく溜息をこぼす。


「…結局今回も駄目じゃったか。いつになったら妾を殺せる者が現れるのかのぉ。」


そう。今回グランヒルデがこの街を襲った理由がこれだ。街を限界まで荒らし、それを何とか食い止めようと、最後まで抗った者を眷属化して自分を殺して貰う。

これだけのためにグランヒルデは数百人の冒険者を殺した。



「次はもっとマシな街に攻め込むかのぉ。」


そう言ってハズキにトドメを刺そうと違いていく。恐らくほっといてもいずれ死ぬが、どうせなら自分の手で殺したい。血が足りない吸血鬼に不死性なんかないからな。


しかし…


「させないよ?」


「…な!?」


それを阻む者がいた。


その者が現れた瞬間、グランヒルデは大きく後ろに飛び退いた。それ程までに、現れた者が強い殺気を放っていたから。


「いやぁ…流石に今回のはやりすぎだよ、グランヒルデ。僕は彼を殺してなんか言ってないんだけどなぁ?」


「…奴が勝手に抗っただけじゃ。妾が警告したのにも関わらずな。」


彼はグランヒルデの言葉を軽く聞くと、ハズキの方に近いていく。そして、


「ほらハズキ。僕の血を飲みな。」


「…血!?」


ハズキは差し出された腕にたどたどしく噛みつき、血を吸った。すると、すぐにハズキは顔色を戻し、その者の顔を見た。


そして、驚愕した。


「…!?かっ神様!?」


「やぁ。遅くなってごめんな?けど、助けに来たぞ。」



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