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序章 人間を辞めた日

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ユーザー名→@AMAKUSARIKI

人には、絶対に超えられない壁がある。絶対に勝てない状況だってある。

例えば、戦闘経験もない素人が、完全武装の歴戦の兵士に勝てるはずがない。

歴戦の兵士でも、1000人の普通の兵士には勝てない。

1000人の兵士でも、一つの大国には勝てない。


このように、人は所詮人なのだ。

物語の主人公みたいにはなれない。


次に人ならざる者が敵ならどうだろう。

例えば、吸血鬼とか。人を超えた化け物とか。


結論はこれだ。

諦めろ。それには勝てない。


しかし、人にはこれができない状況だってある。大切な人を守る為とかな。だったら………


諦めず、最後まで抗え。そして、大切な者だけは死んでも守りぬけ。


これだけできれば、それでいいい。



俺…死ぬな。


それを一瞬で察した俺は、すぐに頭を回転させる。 そして、必死に考える。


ハルをここから逃がす方法を。


俺が死ぬ気で時間を稼ぐか?

いや、一瞬で殺される未来しか見えない。


交渉するか?

これならワンチャンあるかも。しかしどうやって?俺に交渉に使えるような手札は無い。


…諦めてカッコよく自殺?


…けど、これだとハルが死ぬよな。


「ハズキ」


「…なに?」


俺が必死に考えていると、ハルが声をかけてくる。


「もう、これはどうしようもないよ。」


「…諦めるの早すぎない?」


「だからさ、最後まで一緒にいよ?」


そのハルの言葉に、俺の体から力が抜ける。

考えてみれば、ハルが俺を置いて逃げる訳が無いな。きっとこいつなら、俺がいくら逃げろって言っても逃げないだろう。…逃げないよな?


…そうと決まればやることは1つ


「お?作戦会議は終いか?それで、どうするのじゃ?戦うのか?」


「律儀に待ってくれてありがとな?まあ、作戦会議なんてことはしてないけど、方針は決まった。」


「うん。私達のこれからの方針は1つ!」


そこまで言うと、俺とハルは背中を合わせグランヒルデに向かって指を指し…


「「死んでもお前に一撃くれてやる!」」



「ウィンドメイク"鎌鼬”!!」


俺は傷だらけの体を引きずりながら魔法を唱える。俺の魔法の中で、かなり殺傷能力に優れた造形だ。

しかしグランヒルデは、そんなの気にしないかのように魔法を手で弾く。

手は魔法によってズタズタに切り裂かれるが、吸血鬼特性の治癒能力により、一瞬で再生する。

そのあまりにも凄い化け物っぷりに、心が折れそうになるのを必死に堪えながら、また次の魔法の造形を始める。


「氷の精霊よ!我が契約に従い力を!哀れなものに終焉を!穿て!!"氷ノ終焉(アイス・ジ・エンド)”!!」


かつて、ハルがオーガにトドメを刺す時に使った大規模魔法が、グランヒルデに襲いかかる。

それをグランヒルデは片手で受け止めた。

もちろんその腕は氷つくが、それをグランヒルデは自分で折る。するとそこから新しい腕が生えてきて…


「って、吸血鬼反則すぎないか!?」


「カカ。普通の吸血鬼はここまでじゃない。妾が凄いだけじゃ。」


と、グランヒルデは笑いながら答え…高速で俺に接近し、思いっきり殴る。


「うぇぷし!」


「もっとマシな悲鳴は上げられないのかのぉ?」


俺は宙を三回転しながら吹っ飛ぶ。


「ハズキ!!」


ハルの悲鳴のような叫びを聞きながら、俺は愚痴をこぼした。


「こいつ…手ぇ抜いてやがる。」


「当たり前じゃ。すぐに死んではつまらんからのぉ。」


「!!?」


いつの間にか真横に来ていたグランヒルデにまた殴られ、地面に叩き付けられた。


「ハズキ!!大丈夫!?」


「…かなりしんどい。割とやばいかも。」


「…そっか。」


実際今の攻撃のせいで、体中の骨という骨が折れた気がする。とゆうか折れたのだろう。体が全く動かない。


「ハル…ポーションかけて。」


「分かった!」


ポーションは、かけることによって骨折などにも効くのだ。流石にここまで酷いと完治はしないが…


ポーションを掛けてもらい、何とか動けるまで回復した俺は、グランヒルデを見る。


奴は何が可笑しいのか知らんが、カラカラと笑っている。


そのまま俺達の方に近ずいてきて…

ふと真顔になって一言


「飽きた」


「え?」


「お主ら弱すぎじゃ。戦ってて面白くない。もう殺していいかの?」


「…はは」


知らず知らずの内に笑い声が漏れていた。

あれだけ必死に戦って、散々痛めつけられて、飽きたら殺される。

どっかの女騎士みたいだな。別にエロ系な仕打ちは喰らってないけど。


横を見ると、ハルもなんだか諦めたような顔で儚く笑っている。

そんなハルを見てると、無力な自分に殺意が湧いてきた。しかし、ハルは俺がそんな事を考えないようにと、首を横に振る。そして…


シュン と、音が聞こえた。


その音のすぐあとに、 バタっ という鈍い音が聞こえ、目の前が赤1色に彩られる。


「え?」


俺は反応できなかった。

ハルも、驚愕の表情をしながら地面に倒れている。

そのハルの胸には、小さな風穴が開いていて、反対側が見えてしまっている。

そしてそのハルのすぐ横をには、黒髪の吸血鬼がいて…

そしてそいつが俺に向かって何かを言い、そのまま凄い早さで接近してきて…


目の前の赤がハルの血だと気づいた時には、既に俺は地面に倒れ伏していた。




俺は朦朧とする意識のまま、何とか体を動かそうと努力する。

しかし、体はピクリとも動かない。

視界のはしにギリギリ写っているハルも、全く動いていない。


コツリ コツリと足音が近ずいてくる。


俺の側まで来たグランヒルデは、俺の髪を掴んで顔を強制的に上げさせた。


「…なん…だよ。」


「お主、妾が昨日言ったことを覚えらんのか?」


「き…のう?」


昨日…確か昨日は…

南の森の偵察に行って…確かそこでグランヒルデと会ったんだ。

…その時に言われたこと?確か…


”妾の眷属にしてやっても良い。"


俺は気づいた。今からグランヒルデがやろうとしていることを。


「お前…まさか。」


「お?気づいたか。光栄に思え、お主を妾の眷属にしてやる。感謝しても良いのだぞ?」


「…ハルも眷属にしてくれるのか?」


「ハル?そこの小娘の事か?うむ。別にしてやってもいいのだがのぉ。流石に、既に死んでいる者は無理じゃよ。」


……………え?


「ハルは…死んだ?」


「妾が殺したからのぉ。即死じゃったよ。」


その瞬間、俺の目から色が消えた。


「…じゃあいい。俺はここで死ぬ。」


「ほぉ。眷属にならんでいいのか?凄まじい力が手に入るのじゃぞ?」


「ハルがいないなら、俺は生きてく価値を見い出せない。お前が殺してくれないなら、俺は自分で死ぬ。」


「カカ。まあ、それも一興じゃの。じゃが…」


嫌な予感がした。


そこまで聞いて、俺はすぐに動いた。

体は動かなかったが、すぐに魔法を使って自殺を図る。

しかし、俺の自殺は失敗に終わる。なぜなら…


「…自殺はさせん。勿論殺しもせん。お主は妾の眷属になるのだ。」


そこまで言うと、グランヒルデは自分の腕を切った。そこからはおびただしい量の血が溢れ出す。


「…くそ!」


俺は最後の抵抗に、舌を噛みきって自殺を狙った。

口から凄い血が溢れ出す。ほっとけばあと数分で死ぬだろう。

しかし、それをグランヒルデは許さない。


「ほら、口を開けい。」


「…カハッ」


無理やり開けさせられた口からは嗚咽混じりの声が出る。その口にグランヒルデの血が入って………


「……グガァ!?」


突然体に激痛が走った。

全身を血液が、沸騰しているのかというくらい走り周り、体の内側から針で刺されたかのような痛みが襲ってくる。

心臓は怖いくらいに激しく動き、全身にこれまででは考えられないような血液を回す。そして………


心臓が…止まった。

先程まで怖いくらい全身を走りまわっていた血液も、恐ろしい程早く動いていた心臓も、全く動いていない。俺は死んだ。更にそれを………


俺は自覚した。


自分で、自分の心臓が動いてないのが分かってしまった。


「あ、あぁ。」


体を動かす。

傷は全て癒えていて、以前よりも感覚が敏感になっているのが分かる。

周りを見てみる。

目が良くなったのか、周りの景色の色という色がとても綺麗に感じる。

体を触る。

体は冷水のように冷たく、少なくとも生きている人の体温では無くなっていた。

そして口からは…


綺麗な牙が生えていた。




この時、俺に最後の理性が何やら叫んでいた


落ち着けって叫んでた。




…ふざけんな


落ち着け


……………あぁ



落ち着け


…………………………もう



落ち----


…………………………………駄目だ



落-------------



………………………………………………俺は












………………………………………………………壊れる





「あ あぁ あぁぁ あぁぁぁぁぁ!!!!」


俺は髪を掻きむしりながら、膝をついて喚く。

自殺を図るが、傷つけた瞬間にその傷は癒えていく。

腕を魔法で焼いたすぐに癒えた氷で壊死させたすぐに癒えた短剣で喉仏を突き刺したすぐに癒えたそれからも自分の体を傷つけるすぐに癒える傷つけるすぐに癒える傷つける癒える傷つける癒える傷つける癒える。喉仏を引き裂き眼球を潰し口内を焼き両足を切断それが治るのを見る前に次は自身の首を落とし空中で造形した氷の塊を自身に落とした。しかし潰れた場所はまるでスライムが如く蠢き集合を始め手が足が首が眼球が体が一瞬で完治する。雷で感電させ水で溺れさせ炎で燃やし木で締め上げ氷で壊死させ風で切り刻み土で埋れる。そして吸血鬼はその全てを一瞬で完治し続ける。体の中に潜む吸血鬼が自殺はさせまいと全力で治癒に力を注ぐ。これが何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何どものども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何ども何どもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども



…………………あぁ



俺は絶望したまま嘆く。


ふと横を見る。

そこには胸に風穴の空いたハルの死体があって……


「おぉ?落ち着いたか?」


すぐ横に、ハルを殺した張本人がいた。


…あぁ。良かった。




…………すぐにこいつを殺せるね





「…殺す」


俺の頭の中には、この二文字しか残っていなかった。


俺は神器をもってグランヒルデに襲いかかる。

それは今までにない速さと強さをもっていた。その俺の一撃を……


「カカ…カカカ!」


グランヒルデは心底嬉しそうに、楽しそうにしながら真っ向から向かい撃つ…




この日 俺は人間を辞めた。


割と展開早めだね。けど、こうしないといつまでたっても本編に辿りつけないからさ…

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