序章 負け戦 (後半設定集。)
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ユーザー名→@AMAKUSARIKI
南の森の氾濫。それは、この街の終わりが決定するようなことだ。
この街にいる冒険者は、中級冒険者と呼ばれる者ばかりで、平均レベルは31。対して、南の森のモンスターは全員が推薦レベル30越えで、40・50越えも珍しくない。
この街で一番強い冒険者でも、レベルは53だ。
こちらの戦力は、レベル50越えが4人。40台が38、30台が約160、20台が約300だ。計500ちょい。
対して、南の森のモンスターは、推定2000越えらしい。しかも、敵全員が推薦レベル30越えなため、レベル20台じゃ歯がたたない。そのため、戦力になるのはたったの200名弱だ。戦力差は、10倍にもおよぶ。
4時間後には援軍が到着するらしいのだが、それまで耐えきるなんて不可能だろう。グランヒルデが、本気でこの街を潰そうと考えているのが分かる数だ。
ギルド内では、職員とマスター。そして、各パーティのリーダーが集まって作戦会議を開いた。
しかし、あまりにも絶望的な戦力差に加えて、時間も無かったため、非常に苦しいものになった。
考えられた作戦がこれだ。
“レベル35を越えてる冒険者のみ、街に残って防戦せよ。これは強制である。しかし、後方支援のできるジョブの冒険者は、25以上が残れ。それ以外の冒険者と民間人は避難せよ。”
高レベルの冒険者が時間を稼ぎ、民間人や低レベル冒険者を逃がす。ただ、それだけの作戦だ。残った冒険者が生き残ることは考えられていない。さらに、避難する民間人がどこに避難すればいいのかも言われていない。こんなおざなりで、作戦とも言えないようなことしかできないのだ。つまり…
「負け戦…か。」
「そうだね…」
既に民間人は避難し、ここに残っているのは防衛を命じられた冒険者だけだ。
その全員が街の外に陣取っている。
彼らは、これから負け戦をする。しかも、2000を相手に100人弱でだ。冒険者の顔には悲壮感が漂い、士気は低い。
「…こんなことなら、無理やりでも昨日やっとくべきだったな。」
俺が軽いかんじで話かける。
「血で凄いことになると思うけどね…。けど、ここで生き残ればまたできるじゃん。」
「生き残れたらな?」
俺とハルは、こんな軽口をたたきながら士気を落とさないようにしている。が、やはりこれからの事を考えると気がめいってくる。
それから15分後くらいだろうか?
「…来たか。」
魔物が見えてきた。まだここからは遠いが、砂煙がハッキリとみえる。
周りの冒険者達も気ずいたのか、各々武器を抜き、戦闘態勢に入る。
俺も、昨日神様からもらった短剣を持ち、形状を日本刀に変える。宿す属性は、とりあえずまだいっか。
横ではハルも杖を持ち、いつでも魔法が使えるように準備している。
「ハル」
「…なに?」
「俺から離れるなよ?せめてお前だけは守りたいから。」
「…だったら、ハズキも私から離れないで?私が守ってあげるから。」
そう言ってハルは、俺を見ながらニコッと笑い…
「ん…」
キスをした。身長が足りないため、背伸びしてのキスだった。突然の出来事に俺は驚いたが、すぐに自分からも舌を絡める。
10秒程舌をからめ、ゆっくりと離す。
「…続きは生き残ったらしようね?」
「当たり前だ。今夜は寝かせないぜ?」
「きゃーこわ~い!」
そう言ってまた笑いあう。
そして…!
「野郎ども!!!突撃だぁぁ!!!!街を守るぞぉぉぉ!!!!!」
「オォォォォォ!!!!!」
ギルドマスターの声とともに、俺達の戦いは切って落とさせれた。
♢
「グギャァァ!」
俺の攻撃によって、また一体の魔物が死んだ。しかしそのすぐあとには、五体程の魔物が隊列を組んで突っ込んでくる。
それをハルが魔法で動きを鈍らせ、俺が接近して殺す。するとまた魔物がやってきて…
さっきからこの繰り返しだ。まだ、戦いが始まってから15分も経ってないはずなのだが、既に50を超える魔物を殺していた。しかし魔物は一向に減らず、永遠と突っ込んでくる。
冒険者側には、既に負傷者も多数でており、前線もかなり下がってきていた。
俺はまた突っ込んできた魔物を、短剣を大剣に変えてぶったぎり、遠くの魔物をハルが潰す。すると、一瞬だけ魔物の攻撃が止んだ。その瞬間を逃すことなく俺とハルは後退し、態勢を整える。
ちらっと周りを見ると、やはり冒険者側が押されているのが分かった。このままいくと、もう30分程で総崩れしそうだ。
一瞬の空白が、すぐに騒音にかき消される。その声は、数体のオーガが発したものだった。オーガは俺達を見つけると、咆哮を上げながら突っ込んできた。計6体のオーガが、咆哮を上げながら突っ込んでくる。これだけで、かなりトラウマになりそうな光景だったが、俺はなんてことでもないように…
「サンダーメイク“雷撃”」
魔法を放ち、前方の2体を吹き飛ばす。
「氷の精霊よ。敵を砕け。“エターナルクラッシュ”」
さらにハルの魔法によって、また2体が絶命した。仲間が一瞬でやられたことに驚いたのか、オーガが動きを止める。
俺はその隙を逃すことなく接近し、一瞬で2体を切り裂いて、その勢いのまま周りの魔物も殺した。
すると次は、銀狼の登場だった。銀狼とは、推薦レベル40越えの魔物で、白狼の上位互換だ。群れで行動するためオーガよりも危険度は高いが、一体一体はそれほど強くない。
銀狼は、15体程の群れだった。俺はすぐに突っ込んで3体殺す。そして後退しながらも2体を殺す。
「…穿て“氷撃”」
既に詠唱を追えいたハルの範囲攻撃魔法が炸裂し、銀狼は一匹残らず絶命した。
銀狼を倒してから周りを見渡すと、状況はかなり悪くなっており、前線がまた下がっていた。このままだと、俺らが孤立してしまう。
「ハル!後退するぞ!」
「分かった!」
俺達は、妨害の魔法を使って魔物を一旦足止めしてから後退する。
すると、ギルドマスターからの伝令がきた。
「一時撤退です。魔法職が全力で魔障壁を作ってから撤退します。すぐに準備してください。」
「りょーかいです。」
その後、魔障壁を張ったたあと、俺達は街まで戻った。
♢
「…疲れた。」
「そうだね…」
俺達はいま、街で休憩中だ。
ちなみに魔障壁とは、この街を守る最後の砦のようなものだ。魔力を最大まで込めることで、30分間だけ最強の障壁を作るというもの。
なぜ最初から使わなかったかは、使えるようになるまでに大量の魔力が必要だからだ。その時間を稼ぐため、俺達はわざわざ街の外に出て戦っていたのだ。
街の中では、一時の休息をとる冒険者で溢れていた。幸い、死者はまだ出てないみたいだが、怪我人の数はかなり多く、治癒術士が大忙しみたいだ。
怪我をしていない冒険者は、しっかりと休息を取る者がほとんどだ。
…たく、なんだかなぁ
そんな事を嘆きながら、俺はポーションを飲み干す。そして神様からもらった神器を見ながら、この後の事を考えていた。
俺達以外の冒険者の多くが、わずか30分にも満たない戦闘で、かなり劣勢になっていた。この様子だと、魔障壁が解けたあとの戦いは15分と持たないだろう。そうなると、援軍を待つどころの話じゃない。すぐにでも街を捨てて逃げたいところだが…
「それが出来ないんだよな…」
さっき言ったと思うが、この街には魔障壁がある。大量の魔力さえ込めれば、最強の壁になるあれだ。恐らく、グランヒルデがこの街を襲ったのは、魔障壁があるからだろう。
グランヒルデ程のレベルなら、魔障壁に必要な魔力なんて一瞬で集まる。そのため、もしこの街がグランヒルデに占領されてしまうと、攻め落とすのが非常に困難になる。
つまりこの戦いの真の目的は、民間人を逃がすではなく、援軍がくるまで街を守ることなのだ。
この事実はつい先程、ギルドマスターによって冒険者の耳に入った。
そのため、俺達に撤退の2文字は無い。
「冒険者の皆さん!あと5分で魔障壁が消えます!すぐに準備してください!」
俺の思考タイムは、職員の一声によって終わりを告げる。
「…さて。また頑張りますか。」
「そうだね。…援軍がくるまで、何とか生き残ろうね。」
「おう。当たり前だ。」
おれとハルは、お互いを見ながら頷き合うと、街の外に向かって走りだした。
…援軍がくるまで、あと1時間。
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本編は終わり。こっから下は、文字数の埋め合わせです!
すまん。区切り良く終わるには、これしか方法が無いんだ…
ハズキ設定。
日本生まれの16才。身長172センチ
趣味は料理とラノベ&アニメ鑑賞。
顔は上の下程で、そこそこのイケメン。
運動神経も良い方で、学校では残念なイケメンで通っていた。
学力は普通だが、社会だけは学年でトップ。逆に英語は学年ワースト10の常連。
ソフトS。
ある日、買い物に行こうとして家を出ると、突然異世界に飛ばされた少年。
飛ばされた異世界でいきなりオーガに殺されたが、神様のお陰で復活。以後、冒険者として活動する。
後に半吸血鬼となる。
ハル設定
銀髪碧眼の少女で16才。身長162センチ。
魔法使いだが、氷属性しか使え無い。
凄い美人だが、胸は大きく無い。
ソフトS。
西にある、小さな村の小さな一族の生まれ。
本人は自覚してないが、とんでもない魔力を保持している。生まれた一族になにか関係が…?
氷属性しか使えないのも、その一族の生まれだから。(本人は知らない。)
北の森でのクエスト中に盗賊に襲われ、ハズキに助けられた少女。実は、ハズキに一目惚れしていた。
その後、ハズキとパーティを組み冒険者として活動する。
ハズキが童貞を卒業した相手。
後に中途半端なリッチーになる。
家を出ると、そこは不思議の異世界でした。に、ついて。
この作品は、作者が好き勝手に書いている小説です。実は、これからの展開も、二人が人間じゃなくなる以外は、ほとんど考えてません。逆ハーレムは無いと思うけど。
どうなるかは、僕の気分しだい!