序章 いきなり死にました。
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ユーザー名→@AMAKUSARIKI
今日も二人の少年と少女は平和に暮らしていた。
片方は半吸血鬼で、もう片方は中途半端なリッチーといった不思議な組み合わせだが。
二人共世界最強レベルの力を持っていて、神からも絶大な信頼を得ているのだが、この二人は特に気負う事もなく、仲良くイチャついたり旅したりと、悠々自適に暮らしていた。
でもたまにはちゃんと冒険をしたりと、しっかりと神の信頼は繋ぎ止めている。
そんな太々しい彼らだが、始めはこんな事は無かった。
少なくとも普通の人間だったし、普通の冒険者だった。勿論最強レベルの力だって持ってなかった。
これから話すのは、そんな二人の始まりの物語。
二人の終わりと始まりを描いた…物語だ。
(こんな始まり方だけど、メインはこれじゃありません笑)
✿
───大変な事になった。
俺の目の前には、身長2メートルはあるんじゃないかと思われる鬼のような化け物が一体。
そんな化け物が俺に近づいてくる。
距離にして約10メートル程で、この化け物なら一瞬で到達できるのでわないかと思われる。
場所は薄暗い森の中。恐らく俺の知っている場所では無いだろう。
「おいおい…仮にこれが異世界召喚だった場合、スタートが鬼畜すぎるだろ…」
俺は独り言をぼやきながら冷や汗を拭う。そして、考えた。
戦うか?それとも逃げるか?…と。
…戦うは論外だな。体格差がありすぎるし、まず武器がない。100%死ぬな。
逃げるのも…無理だな。絶対逃げ切れない。
背を向けた瞬間に終わりだ。死ぬ。
これは…詰んでますね。はい。
いやいや!あきらめるなよ俺!童貞のまま死ねるはずがないだろ!そう、思いだすんだ!例えばゲーム!オンラインゲームで格上相手とエンカウントした時、俺はどうした?
強い相手を倒す方法…
…ヒット&アウェイ戦法か?それでちまちま削って倒したな。あとは固定ダメージの毒とか。回復薬連打でゴリ押ししたこともあったなぁ~
ってそんなこと考えてる間に化け物がかなり接近してきてる!!
「く、クソッたれぇぇ!」
ヤケになった俺は自分から化け物に殴りかかった!
これには化け物も驚いたのか、一瞬動きが止まる。
チャンスだ!
「喰らえ!おっらぁぶう゛ぇし」
しかし、止まったのはほんの一瞬で、俺はすぐに反撃を喰らい、吹っ飛ばされ木にぶつかる。
さらにその木すらもへし折って俺は吹っとんでいく。
木を10本程折って止まった時には、既に俺は瀕死の重傷だった。
体のあちこちから血が噴き出し、肋骨も何本か折れてるだろう。
極め付きはこれだ。左腕がない。
化け物が何かを咀嚼していることから、俺の腕をあの一瞬のうちに食べたんだろう。
「あぁ…あれだな。ここまでの重傷だともはや痛いじゃなくて熱いなんだな。ハハハ…笑えねぇ」
そのまま化け物は俺の方に近いてくる。これは…俺の腕が美味しかったのかな?とりあえずあれは言っておきますか。
「お、俺なんか食べでも、お、美味しくは…ないですよ…?」
震えながら声を出す。
しかし、接近してきた化け物は俺をもち上げ、頭からバクリと俺の頭を噛み砕いた。
一瞬とてつもない痛みが走った気がしたが、それは意識の途絶えと共に、忘れてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「と、いうことがあったんだ。」
「自分が食われたっていう記憶なのに、なんで君はそんな気楽にいられるのかな?」
と、俺の話を聞いていた男は言った。
俺が化け物に食われたって思った瞬間、俺はこの部屋にきていた。
既に傷は無く、腕もちゃんと生えている。
俺が今いる所は非常に生活感溢れる部屋で、とても落ちつく。日本の少し古めのアパートみたいな感じ?
そんで俺の前にいるのが神様。地球やさっきの世界など、約30個の世界を束ねる神様だという。
「…悪かったな。」
「え?なんで?なんでいきなり謝るんですか?」
「お前がこちらの世界に突然飛ばされたのは僕のミスなんだ。本当にすまない。」
「あぁ…別に大丈夫です。だって帰れるんでしょ?」
俺が当然の事のように聞くと、神様は黙ってしまった。
「…もしかして…あれ?もう日本には帰れないとかそういうやつですか?」
すると神様は、その言葉にゆっくりと首を縦に振る。
「え?それじゃあ俺はこの世界で生きていくんですか!?」
「…そうなるな」
「まじで!?じゃああれ?あれは!?チートくれたりするんですか!?」
「へ?チート?…あぁ。残念ながらチートは上げれない。これでも天界のルールは厳しくてな?」
「そうですか…」
俺は膝から崩れ落ちる。
だって、これからあんな化け物がいる世界で生きていくんだろ?しかもチート無しで。異世界召喚の意味が…チーレム無双の夢が…
呆然と崩れ落ちている俺を見た神様は、さすがに悪いと思ったのか何かいい方法はないかと考えだす。
そして…
「おい。もし、お前がチートで貰えるならどんな能力が欲しい?」
「え?えーと…例えば…創造…とか?あとはレベルがあるなら経験値増量チートとかも良いかもしれないです」
「創造と経験値チートか…」
神様は少し考えた素振りをすると、
「…今から言うのは、お前が言ったチートの代わりみたいなもんだ。これをやる。」
「どんなの…ですか?」
「まずは創造の代わりの物だ。造形魔法か召喚魔法。どっちがいい?」
「えと…まずは造形魔法の説明を。」
造形魔法とは。
普通の魔法と違い、魔力を使って好きな形を作ることができる魔法だ。“自由の魔法”と呼ばれる。
詠唱も自由。別に言わなくてもいいが言ったほうがイメージがしやすくて造形しやすい。
使い手によってかなり強さが変わる。
造形魔法を使う人は事を造形魔導師と呼ばれ、数はそれほど多くない。
魔法属性は、光と闇を除く全ての属性を使える。(火水風土氷雷木)(特別な属性も除く。影など。)
弱点は爆発的な火力が出せない事と、生物は作れないこと。
「なるほど。次は召喚魔法をどうぞ」
召喚魔法とは。
自分のアイテムボックスから好きな物を出せる魔法。生物も召喚可能で、主に使い魔などを出すなどに使われる。
武器の換装も可能。
弱点は魔力消費が多いことと、召喚可能で強い物をもってないとなんの意味もなくなる事。
「…造形魔法で頼む。召喚魔法は使いづらそうですし。」
「りょーかい。とりあえずお前の魔力量も増やしとくから好きなように使えるぞ。次に経験値チートだが…経験値リンクでどうだ?」
経験値リンクとは。
パーティを組んだ相手と、経験値を共有できる。しかも取得経験値は減らない。
「おお!これは素晴らしい!仲間をめちゃくちゃ作ったら最強じゃないか!」
「それは禁止だ。最高一人まで。」
「え~…まあしょうがないか。」
その後、この森で行き残れる程度のレベル(25)と、このレベルに似合う装備(かなり軽装)、マジックバック(見た目より沢山物が入る鞄。)食料を貰う。そして…
「あとこれ、冒険者カード」
「冒険者カード?」
「冒険者登録してる証明書だよ。レベルと名前が書いてある。名前は自分で登録しな。」
「いろいろありがとうございます。じゃあ、行ってきます。」
「おう。次は死ぬなよ。…お前、名前は?」
「一条葉月。ちゃんと覚えてて下さいね!」
俺は振り返ってそう言った。
※1 創造とは。
創造とは、考えただけで物を具現化できる能力。ただし、生物は創造出来ない。
(例)
「お金よ出ろ!」
ドサッ!(一万円の札束)
「炎よ出ろ!」
ゴアォォァァァ(物の燃える音)
「いでよ可愛いメイド!」
シーン
こんな感じ。