「作戦決行」
休み時間。今、自分の中に潜む新たな力を覚醒させて、この行動に移ろうとしている。
本当に危ない賭けに出ることは自分でも分かっている。しかし、大切な仲間が後ろで見守ってくれているのだ。ここで逃げる訳にはいかない。
僕は、渾身の力を最後まで振り絞って、こう言った。
「あ、あのっ、マリさんっ」
少女漫画に出てくるヒロインか僕は。なんて乙女チックな呼びかけ方なんだ。
そう、僕は今、マリに声を掛けるという、奈留が推奨した「ポジティブになる計画」の第一弾を実行しているところだ。
「どうしたの?...カズマくん、だっけ」
「あっ、覚えててくれたんですね...!」
僕の名前を覚えていてくれた---
「うん、一応クラスの人の名前くらいは覚えないとって思ったからね。」
少し変な期待をしてしまった僕を殴りたい。「カズマくんが特別だから...」とか言ってギャルゲー的展開を考えていた五秒前の自分を殴りたい。
「それで、何か用事があったんじゃないの?カズマ君」
そこで、マリが話題を元に戻してくれる。
と、ここで僕は、一つのミスに気が付いた。
話題を準備していなかった。緊張から硬直する僕に、マリが不思議そうな、どこか心配そうな目で僕を見てくる。なんていい子なんだ...
しかし、このまま硬直し続けるとマリに迷惑をかけてしまう。何とかしなければ...
「あっ、あ、あ...アメリカの政治って、どう思う!?!?」
馬鹿か僕は。アメリカの政治なんて、僕が全く興味の無い項目だ。これで真面目に話されたら、僕は本当に硬直してしまうかもしれない。
「アメリカの政治...これはまた随分唐突な話題...」
しまった。完全に真面目に考えてる。これは詰んだ---
「カズマ君って、面白い人...フフッ...」
え---?
「僕なにか面白いことしましたか...?」
「とっても面白いよ、とっても...フフッ」
何がツボに入ったのかは分からないが、とても楽しそうに笑っている。
その笑った顔も、とても愛おしくて、今すぐにでも自分のものにしたくなってしまう。
その顔を眺めていると、ちゃんとしなければ、という感情が高まった。
「...実は、特に話題は持ってきていなかったんだ!ごめん!ただ、雑談を、してみたくて...」
ありのままを伝えてみた。言葉が幼い上に、正直すぎて引かれるかもしれない。それでも、僕は雑談がしたかった。それだけだった。
マリの反応を少々怖がりながら見ていると、満面の笑みでこう放った。
「そんなの見てたら分かるよ。フフッ...本当に、カズマ君って面白いね!」
その笑顔に、僕は安堵の表情とともにマリと一緒に笑っていた。
最近忙しくて、投稿のペースが落ちてきてしまった齋藤和馬です。
本当に最近は忙しくて、個人用PCを触れない日が続いていました。
でも、もう大丈夫です。投稿が遅れてしまって、申し訳ございませんでした。
次回からはアイデアに行き詰らない限り、出来るだけ毎日更新したいと思いますので、どうかよろしくお願いします。
今回も読んでいただいて、ありがとうございました!!