「幼馴染」
一言でポジティブになろうといっても、ポジティブという概念がどのようになっているのか、僕は分からない。
「あぁ...この哀れなモブに救済をぉ...」
「なに嘆いてるのさ、カズマ」
「あぁ、なんだ奈留か」
「なんだってなによ!なんだって!」
幼馴染の奈留だ。僕が二才の時から一緒にいたらしく、もはや家族のようなものだ。
周りから見たら多少は可愛いのかもしれないが、所詮僕の兄弟のようなもので、こいつもモブのような存在である。この同志の存在は無くてはならない心の支えになっており、ある日突然佐藤と付き合ったなんて話になったらその日から僕は抜け殻のように生きるだろう。
だからこそ、今のうちに「こっちの世界」に引きずり込んでいるのだ。
「なぁ奈留、ポジティブって、なんだと思う?」
「私に聞いて分かると思った?」
「...聞ける人が奈留しかいないんだよ」
「あぁ、そうだよね...ぼっちで、年中クラスの空気になってるんだもんね...大変だね...泣けてきちゃった...」
「真面目に答えてくれたら今度パフェでも奢ってやるけど」
「ホントに!?」
「お、おうよ。どんな豪華なパフェでも良いぞ」
「やったぜ。えーと、ポジティブっていうのは自分の考えかたからするとただ前向きになるってことじゃなくてだねぇ...」
非常に単純な人柄である。この性格が憎めず、高校まで一緒に生活している訳である。
「とにかく、自分の中のポジティブっていうのは...って、聞いてる?」
「すまん死んでた」
「なんなのよ!!」
いつもの雑談を交わしながら、本題に入る。
「それでね、ポジティブっていうのは単純に明るくなれば良いんじゃなくて、人と積極的にコミュニケーションをとることが重要だと思うのよ。」
「コミュニケーション、ねぇ...」
「そ。だからまずは、マリーさんとかどう?あの娘すっごく可愛かったじゃない!!」
「いきなりハードルが100cm上がった気がするのは俺だけか」
「それでも乗り越えるのだ、男ならーっ!!」
「奈留がそこまでやれって言うならやるけどさ...」
「よし決まり!さぁさぁ行った行った!!」
「分かったから、分かったから押さないでくれ」
奈留の言ったことを実行すると、大体のことが上手くいく。
そんな噂が広がっていたから今は奈留の言う事を信じることにした。
さぁ、勝負だ。
---自分の中のコミュ力よ。
投稿が遅れてしまい、大変申し訳ございません。
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