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モブ→ヒーロー計画  作者: 齋藤和馬
計画チュートリアル
2/14

「主人公」

「では、この子の学校案内を...」

 これは。

 学校案内中にトラブルが起こってそれを解決し、イチャイチャ出来る例のアレではなかろうか。

 だとしたらここは目立っていない僕が選ばれるのが定石---

「佐藤くん、お願いできるかしら?」

 違った。さっきまでの僕の気持ちを返せ。周りの男子も同様の反応をしていた。おぉ、同志よ。

 この時僕の中に、少しだけ悔しいという感情が芽生えていた。恐らく他の男子も同様だろう。おぉ、同志よ。

「ええ、もちろん。」

 そんな何の得にもならない考察を繰り広げていると、例の転校生を迎えにその人物が立ちあがる。

 その人物は、礼儀正しく担任の川島先生の指示を了承して、例の転校生の前に立つ。

 佐藤翔。さとうしょうと読む人が大半だろうが、かけると読む。明らかに顔が整っており、それでいて運動能力もずば抜けている。その上その能力を自慢することはなく、謙遜する能力もしっかり携えている。

 僕はこの人物がどうしても好きになれない。理由を問われるならば、ただ一つ。

 主人公の素質を明らかに持っているからだ。

 主人公をどうしても好きになれない性質でもあるのか、僕は明らかな主人公を好きになれない。

「じゃあ行こうか、マリ」

「あっ、ありがとうございます!」

 佐藤が手を出して手を繋ぐようマリをエスコートする。

 少し、頬を赤らめながらマリは手を繋いだ。

 この時、周りは「いきなりニューカップル誕生かぁ?」「まだ分からんぞ、俺がマリを独占するかもしれないしな」「馬鹿、お前には渡さねえっての」「あの娘、なかなか可愛いわね?フフフ...」など、同志諸君の発言から明らかな伏線のような言葉まで、いろいろな言葉が飛び交っていた。

 しかし、その中に、今回だけは紛れることがどうしてもできなかった。

 何故か、無性に、悔しかったから。

 何故か、悔しいという感情が、高まっていた。なんだか、好きなものを持っていかれた時の感情に似ていて---

「あれ?---」

 僕は、生まれて初めて、平凡な日常を自分から壊そうとしている事に気が付いた。

 それは---。

「正気かよ、僕は---」

 僕は、モブの分際なんだぞ---

 そう言いかけた時、心の中にある強い感情に気が付いた。

 (やっぱりひまわり、みたいだな)

 後ろ姿を見つめながら、再び、心の中でそう言い放つ。

 この時、僕の中で一つの目標が明確に生まれた。

 思えば、この目標にどれだけ振り回されて、泣いたことか---

 その話はもう少し段階を踏んでから話すとしよう。

 僕の目標、それは---

「あの子の、マリの物語の、主人公になりたい」

 ボソッと呟いた。今度こそ、誰にも聞こえない声で。



 この時、僕の人生が歪み始めたのは、言うまでもない---

今回も読んでいただいてありがとうございます!

評価やアドバイスなどございましたら、どんどんお寄せ下さい!

次回の制作の励みになります!

それでは、今回も読んでいただき、本当にありがとうございました!

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