「黒ずくめ」
作戦初日。
割と夜は暗いこの街で行動するのは、やはり高校生でも少し勇気がいる。
現在の時刻は8時40分、あと20分もすれば奈留がこちらへ来る。
服装はなるべく目立たないように全体的に黒いものにした。上下ほとんど柄の入っていない黒いジャージである。
奈留を待ちながらスマホをいじっていると、後ろから弓美が話しかけてくる。
「お兄ちゃん、そんな恰好してどうしたの?」
そんな恰好、と言われたことが引っ掛かった。
「そんなに変な格好に見えるのか?」
「うん、まるで危ない薬の密売人」
「ひどい...お兄ちゃん悲しいよ...」
本気で泣くぞ。なんだその例え。
半分本気で泣いている表情を見せると、
「あぁごめんごめん!お兄ちゃんはいつでもかっこいいよ!」
などと適当なフォローを入れられた。そういうの、一番傷つくんだぞ?妹よ...
「で、どこかに行くの?」
「ん?あ、あぁ、ちょっと奈留の家に行くだけだ。一時間ちょっとくらいしたら戻ってくる」
この作戦はあくまでも極秘。誰かから伝って佐藤の耳に届くことを恐れたからだ。
「奈留ちゃんの家?...お兄ちゃん、何もしないでね...?」
「何もしないよ!!ってか、昔から遊んでただろ?」
「まぁそうだけど...」
少しだけ、昔の記憶を思い出して感慨に浸っていた。あぁ、奈留って昔っからアホだったなぁ...
と、無粋なことを考えているとインターホンが鳴り、奈留が来た。一時間もの余裕をもって集合したので、奈留をいったん自宅へ上げた。
「カズマ、何その恰好?」
...もう服装の話はやめてくれ...
ネタが出てきません、齋藤和馬です。
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追記
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